ケビン・デ・ブライネ徹底解剖 – これを読めば世界最高MFの全てが分かる!?

もはや世界でケビン・デ・ブライネの名前を知らないサッカーファンなど存在しないだろう。全てをコンプリートしたフットボーラーであり、ここまで弱点が見当たらない選手は見たことがない。18/19シーズンは怪我で苦しみ出場機会を減らしたが、19/20シーズンのプレミアリーグでは鬱憤を晴らすかのような復活を遂げ、ティエリ・アンリに並ぶプレミアリーグアシスト最多タイ記録となる20アシストを叩き出した。(※2021年01月07日時点)

ロストフの悲劇。日本人としては文字通り悲劇となった2018年FIFAワールドカップ日本 vs ベルギーでも赤い悪魔を牽引し続けたのはデブライネだった。

今回は「ケビン・デ・ブライネ徹底解剖」と称し、ケビン・デ・ブライネが歩んできたキャリアからプレースタイルや挙げた成績まで彼の全てに迫りたい。

デブライネのプロフィール

名前 ケヴィン・デブライネ(デブルイネ)
生年月日 1991年6月28日
国籍 ベルギー
出身 ヘント(ベルギー)
身長 183cm
体重 70kg
利き足 右足
ポジション CM・CAM
背番号 マンチェスター・シティ:17
ベルギー代表:7
個人タイトル
ドイツ年間最優秀選手:1回 (215)
PFA年間ベストイレブン :2回 (17/18,19/20)
プレミアリーグ・プレイメイカー・アワード(アシスト王):2回(17/18, 19/20)
UEFAチーム・オブ・ザ・イヤー :2回(2017, 2019)
FIFAワールドカップ ドリームチーム: 2018
マンチェスター・シティ年間最優秀選手賞:19/20
プレミアリーグ年間最優秀選手賞:19/20
PFA年間最優秀選手賞:19/20
UEFAクラブ・フットボール・アワード最優秀MF賞:19/20
FIFA FIFPro男子ワールドイレブン:20/21
デブライネはペップが指揮を執るマンチェスター・シティに移籍後、プレミアリーグ・UEFA・FIFA全てのタイトルを獲得したことがある世界トップレベルの選手。プレミアリーグでは歴代最多タイのアシスト記録保持者でもある。

デブライネが歩んできたキャリア

ベルギーの至宝として注目されKRCヘンクでプロデビュー

現在、29歳でキャリア絶頂期を迎えているケビン・デブライネのキャリアは母国ベルギーのKAAヘントから始まった。

デブライネは、幼い頃から”デブライネ”だった。同一人物のため至極当然ではあるのだが、プレースタイルの原型は幼少期から変わっていない。ベルギー中のクラブから引く手数多となったデブライネはKRCヘンクへと活躍の場を移した。現在、伊東純也(前所属:柏レイソル)も所属するヘンクでトップチームデビューを果たしたデブライネは113試合出場17ゴール36アシストとチームの成績を残しチームにとって欠かせない存在となったのだ。

▽ KAAヘント時代のデブライネ

ブレーメンでもチームの攻撃を牽引する存在に。

これだけの活躍をする才能をビッククラブが放っておくわけがない。オファーが届いたのはプレミアリーグの強豪チェルシーからだった。勿論、このビッククラブからのオファーを断るわけがなくチェルシーとは5年半契約にサインを交わしたものの、当時のチェルシーはアザールら同ポジションでのライバルが多く12/13シーズンはブレーメンへのローン移籍で経験を積むことになった。ブレーメンでは34試合に出場。強靭なフィジカルを活かし、ブンデスリーガにも適用。10ゴール・10アシストとローン移籍ながらまさに助っ人という活躍を魅せた。

▽ ブレーメン時代のデブライネのプレー集

出場わずか3試合。チェルシーで過ごした不遇なシーズン

13/14シーズンにはチェルシーへの復帰が決まった。しかし結果を見るとプレミアリーグ出場はたったの3試合。当時指揮官を務めていたモウリーニョは、デブライネの才能を見出すことができなかった。モウリーニョの失態と言ってよいだろう。当時、ウィリアンやオスカル、ファン・マタなど多くのタレントを擁していたチェルシー。指揮官から直々に「6番手MF」のレッテルを貼られたデブライネはヴォルフスブルクへの移籍を余儀なくされた。事実上のクビ宣告「放出」である。エリート街道を歩んできたデブライネにとっては、初めて過ごした不遇なシーズンとなった。

ヴォルフスブルクで披露したデブライネ劇場。移籍金最高額でマンチェスター・シティへ

デブライネはヴォルフスブルクで3シーズンを過ごした。73試合20ゴール37アシストと「デブライネ劇場」を披露した。チェルシー時代の挫折とも言える経験をもろともせず大暴れしてくれた。

ヴォルフスブルクは前日本代表キャプテンの長谷部誠が所属していた08/09シーズンに優勝を経験して以来、成績は低迷していた。あわや2部降格というシーズンもあった中、デブライネが加入した2014-2015シーズンは、彼がチームを牽引し2位という好成績で締めくくる結果となった。

「チームを勝利に導く男」。止まることを知らないデブライネに再度、イングランドへの挑戦の機会が訪れる。

届いたのはマンチェスター・シティからの破格のオファー。2015年の夏の移籍市場において最高額となる100億円(推定7400万ユーロ)のオファーを受け取った彼はプレミアの舞台へ満を持して舞い戻ってきた。その後の活躍は皆さんの記憶にある通りだ。

▽ ヴォルフスブルク時代のプレー集

ベルギー代表・赤い悪魔を率いW杯3位に導いた男

ここまでクラブチームでのキャリアを言及してきたが、デブライネは代表歴も長い。U-18から代表常連だ。

19歳と1ヶ月でA代表デビューを飾ってから、78試合出場・20ゴール・37アシストと赤い悪魔を率いている。

2018年FIFAワールドカップでの日本代表との対戦は記憶に新しい。ロストフの悲劇と呼ばれたあの14秒間。デブライネによって日本代表の夢は打ち砕かれた。試合終了後、岡崎のインタビュー中にひと声かけて立ち去る紳士ぶりも披露。ベルギー代表を3位に導いたのはデブライネと言っても過言ではないだろう。

幼少期からベルギーの至宝として大注目され、17歳でプロデビュー. 19歳ベルギーA代表デビューを果たすほどのエリート街道を歩む。途中、チェルシー時代は不遇のシーズンを過ごすが、屈しずマンチェスター・シティへは2015年の夏の移籍市場において最高額となる約100億円で移籍。

マンチェスター・シティで残した功績

▽ マンチェスター・シティ加入後、5シーズンの全体成績

スタッツ 15/16 16/17 17/18 18/19(怪我) 19/20
出場 25 36 37 19 30
ゴール 7 6 8 2 11
アシスト 9 18 16 2 17
シュート 49 86 94 31 88
パス 1,127 1,801 2,693 725 1,624
スルーパス 15 31 41 91 27
クロス 181 275 248 10 259

18/19シーズンこそ成績低迷となったが、それを除くと成績は右肩上がり。19/20シーズンはゴール数はキャリアハイ、アシスト数も20とプレミアリーグ歴代最多タイ記録をマークした。

16/17シーズンにペップ・グアルディオラが指揮官となったことで戦術も大きく変化し、デブライネがボールに関与する機会が増えたことがスタッツからも見て取れる。CAMの片割れダビド・シルバとの連携も時を重ねるごとに強まり、パス、スルーパス、クロスの数は年々増加傾向にあるが、19/20シーズンはシュート数が増加していることからプレーエリアがアタッキングサード寄りになり、ゲームメイクからフィニッシュに直結する役割へと変化したと考えられる。

デブライネのプレースタイルと適正ポジション。現代最高の司令塔と呼ばれる理由

デブライネの適正ポジションはCAM。4-2-3-1が起用される時はトップ下でのプレーも多いが、基本は2列目を務める。RWマフレズとRSBカイル・ウォーカーのポジションニングと連動して、ハーフスペースを支配する。マフレズやウォーカーがサイドライン際でプレーしている時は、ここぞとばかりに相手CBとSBの間に飛び込んでいくスタイルで相手DFの驚異となる。

両足から繰り出される正確無比なクロス

そして現代最高の司令塔として呼び声が高いのは、どこからでも両足から正確無比に放たれるキック精度の高さ・アシスト力が理由だろう。ハーフスペースで受けての高速クロスは、もはやデブライネのお家芸・代名詞となった。シティ全体としてもデブライネのクロスのタイミングは共通認識となり、阿吽の呼吸でジェズス、スターリングらが必ず飛び込んでくる。

▽ デブライネのお家芸「ハーフスペースで受けての高速クロス」

フォーデンのクロスも優しくて好きだけど、その前のデブライネのパス
あの距離のスルーパスをパーフェクトに通されたらDFはどうしようもない https://t.co/4DcrfnbnS0

— とくながゆーま (@aviyuma126) November 29, 2020

デブライネのクロス毎回ドキドキするわ

— さいもん (@SimonMUFC10) January 6, 2021

相手を恐怖に貶めるフリーキックとミドルシュート

高速クロスに象徴されるようにデブライネのプレーの中心にはキックがある。両足から放たれるシュートも脅威そのもの。たった一歩分のスペースも見逃さずに振り抜かれたシュートがゴールに突き刺さるシーンは幾度となく目にしてきた。フリーキックはもはや大砲である。キーパーや壁を作るディフェンダーの気持ちになって考えると、ゴールの恐怖を超えて、身の危険すら感じてしまう。

デブライネがフリーキック蹴るだけでもう怖い #MCILIV

— やる気元気しょーきち (@ND10SajlUCzLZWE) November 8, 2020

規律を乱さない献身的な守備

デブライネは守備も献身的。ペップシティにおいては1人の選手が守備を怠ると全体のバランスが崩れていくため、デブライネほど攻撃で結果を出していようが怠惰な守備は許されない。規律高い選手だ。フィジカル◎・パス◎・シュート◎・スタミナ◎・スプリント◎。正直、これだけ全てを兼ね備えた選手は歴史を振り返っても思い浮かばない。歴代最高MFの呼び声高いジネディーヌ・ジダンをも超越するのではないだろうか。

今日のデブライネの守備の
貢献度えぐくないすか?
この人なんでもできますよね

— なまずん (@meru_1112) December 5, 2020

デブライネこれほどのプレーするのに守備もしっかりするのエグいよな

— Cipher (@Cipher_FCB322) January 3, 2021

正確無比なキックを武器に、アシストを量産。数々の個人タイトルをものにし、19/20シーズンはプレミアリーグ最多タイ記録をマーク。現代最高の司令塔としてジネディーヌ・ジダンをも凌駕する勢いの活躍を見せている。

デブライネは今後どこまで登りつめるのか

FFP違反疑惑により移籍の噂も耐えなかった19/20シーズン。29歳とサッカー選手として最も脂の乗った時期を過ごすデブライネは今後どこまで登りつめるのか。FFP移籍違反により、チャンピオンズリーグへの参加権利が剥奪されそうになっていたため、移籍候補としてレアルマドリードやパリ・サンジェルマンが上がっていた。しかし結果として、FFP違反は免れたこと、そしてデブライネを一段階上のフェーズに引き上げた指揮官ペップ・グアルディオラの2023年までの契約延長が発表されたことから、デブライネ自身も2025年までの契約が延長されることが濃厚となっている。

精神面での成長を遂げ、キャプテンマークを巻く存在へ

マンチェスター・シティでも支柱を務める彼が見つめる頂きはどこになるのか。これまで現代最高の司令塔という言葉で形容してきたが、そんなデブライネでも唯一の欠点と呼べる部分がある。メンタル面だ。時折、感情的になった時に制御が効かないことが散見された。

プレー面での貢献度は圧倒的だがチームをまとめるキャプテンというタイプでもない。マンチェスター・シティを率いる指揮官ペップも苛々を募らせることが幾度となくあったとか。

これまでのマンチェスター・シティは、ヤヤ・トゥーレ、コンパニー、ダビド・シルバら、シティに10年捧げてきたレジェンド達によって束ねられてきた。いつだってピンチの時の精神的支柱は彼らだった。だから”レジェンド”になり得たのだ。

しかし彼らはもうクラブを去った。そんな状況がデブライネに火を付けたのか、19/20シーズンは所謂”子供っぽい”シーンを目にすることも減ってきた。ダビド・シルバが欠場した試合<ではキャプテンマークを巻く存在へと成長を遂げたのだ。

バロンドール受賞に最も近い男。残すはビックタイトルのみ

フットボーラーなら最高の名誉である「バロンドール」。しかし近年のバロンドールはメッシとクリスティアーノ・ロナウドの2人の生ける伝説のためのトロフィーと化している。2人だけの賞に待ったと言えるのはケビン・デ・ブライネかファン・ダイク(リヴァプール)以外存在しないだろう。ディフェンダーの受賞は正直ハードルが高い為、デブライネの方がアドバンテージを得ている。足りないのはビックタイトルだろう。2018年ワールドカップでは3位、17/18から2年連続でプレミアリーグを制しながらもチャンピオンズリーグでは望んだ結果は得られていない。

ファンはペップシティでの集大成として、チャンピオンズリーグ優勝を心から待ち望んでいるだろうし、デブライネ本人も焦点は定まっているだろう。パーフェクトフットボーラーが欧州No.1に輝く瞬間に胸を膨らませたい。

EURO2020でのベルギー代表としての結果にも期待が高まる

新型コロナウイルスにより、2021年夏に延期が発表されたEURO2020。グループBでデンマーク、フィンランド、ロシアと対戦するベルギー代表は比較的突破が容易だと予想されているグループとなっている。2018年ワールドカップの時と大きくメンバーは変わらないため、世界3位に上り詰めた戦力はそのまま欧州の頂きに向かう赤い悪魔。渇望する欧州1のタイトルをデブライネは勝ち取ることができるのかにも期待したい。

2025年までマンチェスター・シティでのプレーすることが濃厚なデブライネ。残すはビックタイトルとバロンドールのみ。チャンピオンズリーグ優勝とEURO2020優勝へチームを導けるかに大きな期待がかかる。

まとめ

現代最高の司令塔として名を馳せるデブライネ。彼が歩んできたキャリアは一見順風満帆に見えるものの、挫折も乗り越えてきた過去があった。持ち前のフィジカル・キックを武器に個人としてチームとして文字通り「世界最高」となれるか。ビックタイトルを掲げる絵を夢に見ながら、これからも彼の活躍を目に焼き付けていきたい。