【最先端のサッカー戦術家】ペップ・グアルディオラの戦術を徹底解剖

サッカー界を牽引する戦術家として知られるペップ・グアルディオラ。現役時代にはヨハン・クライフのもとサッカーIQを高め、監督としても輝かしいキャリアを送っています。この記事では、ペップ・グアルディオラの現役時代や監督としてのキャリアについて解説。またバルセロナ、バイエルン、マンチェスター・シティでの戦術についても解説します。ペップ・グアルディオラがなぜサッカー界のトップに立ち続けられるのか。現役時代までさかのぼって見てきましょう。

ペップ・グアルディオラのプロフィール

 

生年月日 1971年1月18日
国籍 スペイン
出身 サンパドー
身長 180㎝
体重 76㎏
利き足
ポジション MF
背番号 バルセロナ:4
スペイン:4
タイトル ・FCバルセロナ
プリメーラ・ディビシオン:6回(1990-91、91-92、92-93、93-94、97-98、98-99)
コパ・デル・レイ:2回(1996-97,、97-98)
スーペルコパ・デ・エスパーニャ:4回(1991、1992、1994、1996)
UEFAチャンピオンズカップ:1回(1991-92)
UEFAカップウィナーズカップ:1回(1996-97)
UEFAスーパーカップ:2回(1992、1997)
・U-23スペイン代表
夏季オリンピック:金メダル1回(1992)指導者
・FCバルセロナB
テルセーラ・ディビシオン:1回(2007-08)
・FCバルセロナ
プリメーラ・ディビシオン:3回(2008-09、09-10、10-11)
コパ・デル・レイ:2回(2008-09、11-12)
スーペルコパ・デ・エスパーニャ:3回(2009、2010、2011)
UEFAチャンピオンズリーグ:2回(2008-09、10-11)
UEFAスーパーカップ:2回(2009、2011)
FIFAクラブワールドカップ:2回(2009、2011)
・バイエルン・ミュンヘン
ブンデスリーガ:3回(2013-14、14-15、15-16)
DFBポカール:2回(2013-14、15-16)
UEFAスーパーカップ:1回(2013)
FIFAクラブワールドカップ:1回(2013)
マンチェスター・シティ
プレミアリーグ:2回(2017-18、18-19)
FAカップ:1回(2018-19)
EFLカップ:3回(2017-18、18-19、19-20)
FAコミュニティ・シールド:2回(2018、2019)
・個人
ドン・バロン・アワード最優秀監督:2回(2008-09、09-10)
ミゲル・ムニョス賞:2回(2008-09、09-10)
プレミアリーグ年間最優秀監督:2回(2017-18、18-19)
リーグ監督協会年間最優秀監督:1回(2018)

ペップ・グアルディオラの現役時代

監督のイメージが今では強いが、現役時代は、バルセロナで活躍していたグアルディオラ。

バルセロナのドリームチームでプレー

グアルディオラはバルセロナのホームスタジアムであるカンプノウのすぐ近くで生まれ育ちました。バルセロナの下部組織から順当に昇格し、トップチームで活躍します。当時ヨハン・クライフが率いるバルセロナはドリームチームと呼ばれ、リーグ4連覇を達成しました。グアルディオラは20歳からチームの中心として活躍し、ヨハン・クライフのサッカー哲学のもと英才教育を受けていました。バルセロナでは全12シーズン479試合に出場。クラブの歴史にグアルディオラの名前が深く刻まれたことは間違いないでしょう。

スペイン代表としては物足らない活躍

バルセロナでは輝かしい活躍を見せたグアルディオラですが、スペイン代表としては歴史に残るような活躍は見せられませんでした。スペイン代表でのタイトルはU-23でのバルセロナオリンピック金メダルのみ。1994年ワールドカップには2試合出場はしたものの、その後はケガの影響などもありワールドカップとは縁のない現役時代を過ごしていました。また、地元であるカタルーニャ代表としても7試合に出場しています。

ペップ・グアルディオラの監督経歴

現役時代の次は、監督経歴だ。

バルセロナではスペイン初の3冠

現役引退後は指導者の道に進んだグアルディオラは、2007年にバルセロナに戻りBチームを率いました。初年度でチームを昇格させたことが評価され、2008-09シーズンからはトップチームの監督に抜擢されます。当時のバルセロナはクラシコ連敗などもあり、沈んだ雰囲気がありました。しかしグアルディオラの改革により、リーグ、コパ・デル・レイ、CLの3冠を達成します。この3冠はスペイン史上初の快挙となりました。その後はメッシやイニエスタを中心にチームを作り、数々のタイトルを手にしました。

常勝軍団バイエルンでも哲学を見せる

バルセロナで輝かしい監督キャリアをスタートしたグアルディオラが次に務めたのは常勝軍団バイエルンの監督でした。当時のバイエルンは前年度に3冠を果たした勢いがありました。中途半端な改革は逆効果になってしまう状況でも、グアルディオラは自身の哲学をもとに緻密な戦術を定着させます。初年度ではブンデスリーガ史上最速の優勝を果たし、クラブワールドカップも制覇。監督としての腕を知らしめるシーズンになりました。翌年度はロッベンやリベリーなど複数の怪我人を出しながらも独走でリーグ制覇を達成。スペインだけでなくドイツでも通用するサッカーを作り出しました。

マンチェスター・シティで3カ国目の制覇

バルセロナとバイエルンでは初年度からタイトルを獲得したものの、強豪ひしめくプレミアリーグでの初年度である2016-17シーズンは厳しい時期になりました。グアルディオラの戦術がチームにもリーグにもフィットしない状況が続き、タイトルには手が届きませんでした。その後ベルナルド・シウバやエデルソンなど足元の技術に定評がある選手を獲得し、チームが機能するようになると、グアルディオラの実力が見えはじめます。クラブ記録である9連勝や公式戦15戦無敗を記録し、史上初の勝ち点100での独走優勝を果たしました。さらに2020-21シーズンには公式戦21連勝達成。長期体制でありながらもマンネリ化せず、常に新しい戦術オプションを作り出し、リーグを牽引しています。

ペップ・グアルディオラの戦術

グアルディオラの華麗なる戦術の核心について言及する。

バルセロナでの戦術

バルセロナでの戦術はショートパスでの組み立てによって爆発的な攻撃力を生み出しました。当時の戦術を表現した「ティキタカ」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。当時のバルセロナはイニエスタやシャビを中心に足元の技術が高い選手が揃っていました。その選手たちが常に細かい三角形を作ってパスワークをすることで、相手のポジショニングを徐々にズラして着実にチャンスを生み出します。ボールを奪われない美しいサッカーは当時の話題を独占しました。また、このパスワークは「攻撃は最大の防御」という言葉をまさに表現していました。イニエスタとシャビがボールを動かし、底を支えるブスケツの安定感によって、相手に攻撃をさせないパスワークが生まれました。そして語らないわけにはいかないのは、メッシの”ゼロトップ”起用でしょう。ゼロトップとはCFのメッシが下がり目のポジショニングで自由にパスワークに参加することで数的優位が生まれる戦術のこと。メッシ、イニエスタ、シャビ、ブスケツがボールを保持し、ダニエウ・アウヴェスやアビダルなどがサイドを支配、そしてビジャなどのストライカーが決めきる形は幾度となく見られました。このゼロトップはグアルディオラが現在まで好んで使うオプションとなりました。また、ボールを奪われてから5秒間のプレッシングにこだわる「5秒ルール」もバルセロナで定着し、それ以降のグアルディオラのチームを支える戦術になります。

ペップバルサのプレー集

バイエルンでの戦術

バイエルンではバルセロナでのパスサッカーを活かしながらも新しい戦術を生み出しました。就任時にはバルセロナからチアゴ・アルカンタラを獲得。グアルディオラの戦術の基盤を固めました。バイエルンでの戦術で特徴的だったのが、常識を覆すサイドバックの使い方です。その改革はポゼッション時に中央に入る「アラバ・ロール」から始まります。SBがタッチライン際でボールを受けたときにパスコースが制限されることに着目したグアルディオラは、アラバが中盤に入ってCBがサイドへ、アンカーがCBの位置に入ることで自陣でのビルドアップでも数的優位が作れる状況を生み出しました。ボールを受けたアラバにはサイドへ流れたFWへの供給や、近くの選手との細かい連携など複数の選択肢が生まれます。そのおかげでパスワークに安定感が増し、攻撃・守備両方にメリットをもたらしました。このアラバ・ロールをチームとしての戦術に切り替えた形が「偽サイドバック」です。サッカーIQが高く縦へのボール供給が得意なラームが同様のポジショニングを行うことで更に厚みが増し、前線もよりアクティブに動けるようになりました。また、バイエルンといえばノイアーのポジショニングも特徴的です。ボールを保持して攻め込むグアルディオラ相手には、カウンターでDFの裏を狙うチームが多いです。しかしノイアーが高い位置をとって11人目のフィールドプレイヤーとしてカバーリングをすることで、DFの裏という弱点を克服しました。

ペップバイエルンのプレー集

マンチェスター・シティでの戦術

マンチェスター・シティでは、バルセロナとバイエルンでの経験を活かしたハイブリッドな戦術を生み出しています。マンチェスター・シティの中盤にはバルセロナ時代のイニエスタ・シャビ同様に、パスが得意なデブライネとダビド・シルバがいました。そのため、パスワークの基盤はある程度できていたと言えます。就任後のグアルディオラはノイアーの例を活かし、フィールドプレイヤーとしてのGKを求めます。そこで目に止まったのはエデルソンでした。足元の技術に定評があるエデルソンが加わったことで、ビルドアップの安定感が生まれました。続いてアラバとラームの経験を活かし、サイドバックへのテコ入れを行います。グアルディオラ就任後、メンディ、ダニーロ、ウォーカー、カンセロを獲得していることからもサイドバックへのこだわりが伺えます。とくにウォーカーとカンセロは偽サイドバックの成功例と言えるでしょう。2020-21シーズンにはアラバ・ロールに対抗する「カンセロ・ロール」という言葉が生まれ、5レーンをうまく使ったサイド攻撃に磨きがかかりました。足元の技術が高い中盤や偽サイドバック、フィールドプレイヤーとしてのGK、5秒ルールなど、バルセロナとバイエルンの戦術がうまく融合した新しい戦術が生み出されています。

ペップシティのプレー集

ペップ・グアルディオラの規律

グアルディオラ監督といえば、規律の厳しいチーム作りでも有名です。今回はとくに有名な規律をエピソードとともに紹介します。

徹底した自己管理

グアルディオラのチームでは、プロ選手として意識の高い自己管理が求められます。自己管理の1つの例が体重制限です。グアルディオラのチームでは規定の体重をオーバーした選手は試合はもちろん、練習まで参加できないというルールがあります。適切な体重をキープすることで90分間走り続けられるようにする意図があるそうです。実際、サミル・ナスリが体重をオーバーして練習に参加できず、プレシーズンマッチを欠場したこともあります。体重制限という脅しではなく、実際に欠場させるところにグアルディオラの厳しさを感じます。さらにはピザやジュースなど高カロリーで身体の栄養にならない食べ物は禁止。栄養士のもと厳しい食事指導を行っているようです。

スマホの利用制限

グアルディオラといえば、ロッカールームのWi-Fiを切ったことも有名なエピソードです。試合や練習の前後でのケアの途中での”ながらスマホ”を嫌っているそうです。また、3G回線まで制限をかけ、まったく使えなくしたというエピソードもあります。当時所属していたサバレタは「独房のようだ」と表現しています。

全員揃っての食事

練習・試合日の朝食と昼食はチーム全員揃っての食べるというルールもあります。身体作りに効果的な栄養が含まれた食事を決まった時間に食べることで、体重制限によるパフォーマンス向上につながります。また、グアルディオラは時間にも厳しく遅刻者は罰金というルールもあります。規則正しく健康的なサッカーのための生活が、グアルディオラのチームを強くしているのでしょう。

ペップ・グアルディオラの名言

ペップ・グアルディオラはさまざまな名言を残しています。ここからはグアルディオラが残した名言をいくつかのポイントから紹介します。

サッカーに対する名言

『私のサッカー哲学にシークレットはない。必要なのは、才能ある選手と日々のハードトレーニングだけだ。』

『私が経験した最も教育的ツールは、このスポーツだった。自分よりベターな相手への敗北を受け入れること、うまくできなかった後に立ち上がること、そしてより良くするために努力することを学んだ。』

『パスより速いドリブルはない。』

『サッカーは、重要でないものの中で一番重要。』

サッカーについてのグアルディオラの名言を集めました。組織的なパスワークを主流とするサッカー哲学や、人生におけるサッカーの重要性が伺えます。とにかくサッカーが好きということが伝わってきますね。

監督としての名言

『調子の悪かった選手は許せるが、努力をしない選手は絶対に許せない。』

『選手たちをモチベートできなくなったとき、それは去るべき瞬間が来たと悟るべきとき。』

『選手達はバカじゃない。監督の迷っている姿を見たら、すぐに気づく。すべき事がはっきりしない時は、彼らと話してはいけない。家に帰ったほうがいい。』

『良い監督の条件?それは全てが終わったときに、選手が監督にかける言葉に現れるよ。』

監督としての在り方やメンタリティについての名言を集めました。言葉の1つひとつから自身や選手に対する厳しさが伺えます。

サッカー以外にも通ずる名言

『明確なのは、楽しく笑顔が生まれる環境ほど、物事は成功しやすいということだ。我々はそういった環境を作り出そうとしている。』

『才能があっても、トレーニングの積み重ねが必要なことに変わりはない。』

『全てを疑ってかかる者が、最も的中させる者。』

『君がある場所でトレーニングを行うとき、君が感じることを伝える努力をしなければならない。』

サッカー以外にも通ずる名言を集めました。世界最高峰の選手であり監督であるグアルディオラは、常に客観的に物事を分析しています。グアルディオラの達観した思考は、サッカー以外の日常生活でも参考にすべきかもしれません。

参照記事

https://super-crack.com/learn_reading/pep_frases
https://grapefruitmoon.info/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%A9.html

ペップ・グアルディオラの今後について

マンチェスター・シティの監督ペップ・グアルディオラの今後に迫る。

マンチェスター・シティとの契約を延長

ペップ・グアルディオラは2020-21シーズンでマンチェスター・シティとの契約が満了することもあり、バルセロナやバイエルン復帰が噂された時期もありました。しかし、2020年11月に現行契約を2023年まで延長したことを発表。契約満了まで務めれば7年間の長期体制となります。厳しい規律を重んじるグアルディオラではあるものの、選手からの不満は少なく、関係も良好だと言われています。そのため、今後も現存戦力が相次いで退団していくことはないでしょう。新戦力も加わったマンチェスター・シティで悲願のCL制覇に期待がかかります。

 

代表監督も視野に入れる

ペップ・グアルディオラはキャリアのなかで代表監督を務めることも夢見ていると言われています。現役時代はスペイン代表でプレーしていたものの、カタルーニャ独立支持であるため、スペイン代表復帰の可能性は低いでしょう。現役時代にプレーしたメキシコやイタリア、監督として住んでいたドイツやイングランドなど、どの国の監督になるのか楽しみです。

まとめ

ペップ・グアルディオラの現役時代や監督としての戦術について解説しました。グアルディオラは間違いなく世界最高峰の監督であり、常に革新的な戦術を生み出しています。今後もどのチームでどんなサッカーを作り出すのかに注目しましょう。また、マンチェスター・シティではCL制覇にも期待がかかります。まだ50歳でありキャリアも長く続くことが予想されるので、サッカーファンを楽しませてくれるでしょう。