「チェルシーのテクニシャン」ハキム・ツィエクの経歴・プレースタイルを解説

2020-21シーズンのプレミアリーグはマンチェスター・シティが今のところ独走状態となっていますが、2位以降はまだまだ激化しています。

一時は低迷していたチェルシーも、勝ち点50でチャンピオンズリーグ権内の4位まで追い上げました。

そんなチェルシーは今シーズン大型補強をしましたが、その中にはアヤックスで活躍した左利きのチャンスメイカー、ハキム・ツィエクも獲得しています。

シーズン序盤に怪我をしてしまい、なかなか出場機会を得られていないものの、左脚から繰り出させるパスやシュート、テクニックはチェルシーの中でも突出している選手です。

そんなハキム・ツィエクがどんな選手で、これまでにどんなサッカー人生を歩んできたのか、気になる人もいるのではないでしょうか。

ここでは、ハキム・ツィエクの経歴やプレースタイルについて詳しく解説します。

ハキム・ツィエクのプロフィール

生年月日 1993年3月19日
国籍 モロッコ、オランダ
出身 ドロンデン
身長 181㎝
体重 70㎏
利き足
ポジション RSH・OMF・RWG
背番号 チェルシー:22
モロッコ:7
タイトル KNVBカップ優勝
エールディヴィジ優勝

ハキム・ツィエクの経歴

卓越したテクニックを持つハキム・ツィエクは、チェルシーでの今後の活躍が期待されてる選手です。そんなハキム・ツィエクは、これまでにどんなサッカー人生を歩んできたのでしょうか。ここでは、ハキム・ツィエクの経歴についてもう少し詳しく解説していきますね。

オランダで生まれ地元チームでサッカー人生をスタート

ハキム・ツィエクは、オランダ中部のフレヴォランド州にあるドロンテンで生まれました。

8人兄弟の末っ子として育ったハキム・ツィエクは、10歳の頃に父親を亡くしてしまい、その後は母親や兄・姉たちのサポートを受けながら育てられます。

そんなハキム・ツィエクは、幼少期から周囲の子たちとは違うサッカーの才能を秘めていました。

その才能を発揮するために、2001年に地元チームのリアルドロンテンに所属します。

その後、2004年にはASVドロンテンのユースチームへ所属し、技術を磨いていきました。

オランダの名門SCヘーレンフェーンへ加入

ASVドロンテンで技術を磨き成長していったハキム・ツィエクは、2007年にオランダの名門SCヘーレンフェーンの下部組織に加入しました。

SCヘーレンフェーンに所属してからは、順調にカテゴリーを昇格していきます。

ユースカテゴリーでの活躍が認められたハキム・ツィエクは、2012年8月2日のUEFAヨーロッパリーグ・FCラピド・ブカレスト戦でトップチームデビューを飾りました。

19歳の若さでトップチームデビューをしたハキム・ツィエクは、同年の8月12日にはエールディヴィジでデビューもしています。

翌シーズンの2013-14はトップチームに定着し、スタメンでの出場機会が増えていきました。

持ち前の高いテクニックとパスセンス、広い視野を活かして多くのチャンスを演出。

当時所属していたストライカーのアルフレズ・フィンボガソンとのコンビが強烈で、一気に注目を集めることになります。

2013年11月8日に行われたRKCヴァールヴァイク戦では圧倒的なプレーを披露し、フットボール・インターナショナル紙の週間最優秀選手に選出されました。

公式戦36試合に出場し11ゴール10アシストという好成績を収めると、「黄金の左足を持つクラシカルな10番」と評され、SCヘーレンフェーンの中心選手として活躍。

スタメンを確約されたFCトュウェンテへ移籍

SCヘーレンフェーンで活躍し注目を集めたハキム・ツィエクは、オランダの名門フェイエノールトからのオファーを断り、10番のポジションでスタメンが確約されたFCトゥウェンテへ移籍。

背番号10を着けたハキム・ツィエクは、シーズン当初こそパフォーマンスが低迷していたものの、徐々に存在感を発揮していきます。

シーズン後半はチームを牽引していき、13ゴール16アシストを記録しました。

初シーズンからチームの中心選手として活躍したハキム・ツィエクは、翌シーズンの2015-16開幕前にキャプテンに就任。

チームは低迷していたものの、その中で唯一違いを作り出せる選手として活躍し、公式戦34試合で17ゴール17アシストを記録。

2015-16シーズンのエールディヴィジて最も得点に絡んだ選手となり、FCトゥウェンテの全得点43ゴールの8割に絡むプレーを披露しました。

2016-17シーズンになってもチームの低迷はなかなか修復できなかったものの、ハキム・ツィエクはゴールやアシストでチームを牽引。

評論家であるフーゴ・ボルストからは、「クライフを思い出させてくれた」と絶賛されました。

アヤックス・アムステルダムへ移籍

2016年8月30日に、アヤックス・アムステルダムがチームの成績不振により急遽、ハキム・ツィエク獲得に乗り出します。

2日間の交渉の末、1100万ユーロ(およそ14億円)+ボーナスの移籍金で加入が決定しました。

加入したシーズンから華麗なテクニックやパスセンスを披露すると、公式戦46試合で12ゴール20アシストを記録。

アヤックスでも印象に残るプレーを魅せ、今後の活躍も期待されていました。

2017-18シーズンも圧倒的なプレーを披露し、「エールディヴィジのベストプレイヤー」と評価されます。

一方で、プレーにムラがありボールロストも多い試合が続くと、毎試合のようにサポーターからブーイングされ始めました。

アヤックスファンとの衝突が問題となったり、ドゥシャン・タディッチ加入により背番号10を略奪されたりすると、ハキム・ツィエクはアヤックスからの移籍を目指しました。

しかし、アヤックスが求める移籍金を支払うクラブが現れず、個人合意していたASローマへの移籍も叶わず、最終的に2018-19シーズンもアヤックス残留が決定。

背番号は10番から22番に変更されました。

ハキム・ツィエク大躍進のシーズン

昨シーズンはさまざまな衝突があったハキム・ツィエクですが、2018-19シーズンが始まると個人としてもチームとしても大躍進の年となります。

ハキム・ツィエクは当時在籍していたフレンキー・デヨングやマタイス・デ・リフトらとともに、中心選手として活躍。

エールディヴィジ優勝とカップ戦優勝、そしてチャンピオンズリーグ準決勝進出という好成績を残しました。

とくに、チャンピオンズリーグ1回戦レアル・マドリード戦でのハキム・ツィエクのプレーは圧巻で、2試合連続でゴールを決めるなど存在感を発揮。

最終的に公式戦49試合で21ゴール24アシストを記録し、ハキム・ツィエク最高のシーズンとなりました。

5年契約でチェルシーFCへ移籍

2020年2月13日にプレミアリーグの名門チェルシーFCへの移籍が決定しました。

5年契約で移籍金は4000万ユーロ(およそ48億円)で、パフォーマンスに応じて最大4400万ユーロ(およそ52億円)まで上がる契約です。

背番号はアヤックス時代に背負っていた、22番と決定しました。

チェルシーFCはハキム・ツィエクについて、「コンパクトな守備陣を切り裂くスキルを持ってる」と評価し、高いゴールスキルも持ち合わせていると期待を寄せています。

怪我も重なり現状トップパフォーマンスは見せれていませんが、間違いなくチェルシーFCの中でも違いを生み出せる選手です。

サポーターが最も期待している選手の1人といえるでしょう。

オランダ代表ではなくモロッコ代表を選択

ハキム・ツィエクはオランダとモロッコの国籍を取得しており、U-19・U-20・U-21のカテゴリーではオランダ代表としてプレーしていました。

しかし、2015年9月にはモロッコ代表を選ぶことを決断。

その理由として、19歳以下でもオランダ代表では試合に出られず、A代表のセレクトからも外されたことに失望し、信頼を感じられなかったことを挙げていました。

しかし、2017年のアフリカネイションズカップでは、監督の構想に入れず招集外が続きます。

その後、2018年FIFAワールドカップのモロッコ代表メンバーに選出されると、背番号7を着用しスタメンとしてプレー。

しかし、モロッコ代表はグループステージで敗退してしまいました。

ハキム・ツィエクのプレースタイル・特徴

ハキム・ツィエクはLSHやLWGを主戦場とし、OMFとしてもプレーできる左利きのチャンスメイカーです。相手の守備陣を切り裂くパス精度の高さや、圧倒的なテクニックを活かして、多くのチャンスを作り出せます。ここでは、ハキム・ツィエクのプレースタイルや特徴についてももう少し詳しく解説していきますね。

決定機を作り出せるチャンスメイク力

ハキム・ツィエク最大の武器は、右サイドから決定的なチャンスを作り出すチャンスメイク力です。

カットインからのシュートや相手DFライン裏へのスルーパス、ドリブル突破、サイドチェンジなど、攻撃のバリエーションが非常に多彩。

どんな状況からでも1つのプレーで局面を変えられるので、相手からすれば対応が難しい選手です。

とくに、2018-19シーズンにアヤックスが大躍進を見せたのも、ハキム・ツィエクの活躍があってこそでした。

チェルシーFCでもアヤックス時代のようなチャンスメイクが増えていけば、絶対的な選手として活躍していくでしょう。

シュートセンスの高さ

決してストライカー並みの得点力は持ち合わせていないものの、1シーズンで二桁得点は期待できるほどのシュートセンスも持ち合わせています。

とくに、右サイドからドリブルを開始し、カットインからシュートを決めるのは1つの形となっており、ハキム・ツィエクの武器ともいえるでしょう。

ミドルシュートの精度も非常に高く、遠い位置からでもゴールを奪える選手です。

これまでに所属してきたSCヘーレンフェーン、FCトゥウェンテ、アヤックスでもコンスタントに得点を決めています。

チェルシーFCがプレミア制覇をするためには、ハキム・ツィエクの得点力がポイントになってくるかもしれません。

テクニックがある反面ボールロストも多い

ハキム・ツィエクはボールタッチが柔らかく、テクニックの高さが魅力的な選手である一方、ボールロストが多い選手ともいえます。

アヤックス時代にも、高いパフォーマンスを披露する反面、ボールロストの多さに不満が残るサポーターも多かったです。

ハキム・ツィエクは多くのチャンスを作り出せる選手なので、どうしても難しいコースを狙ってスルーパスを出したり、狭い局面でドリブル突破を試みたりすることも多数あります。

そのチャレンジの多さが、ボールロストの多さにも繋がっているのかもしれません。

ハキム・ツィエクが今後1つ1つのプレー精度がさらに高まっていけば、世界最高のチャンスメイカーとしてさらに飛躍していくのではないでしょうか。

滑らかなボールタッチ

ハキム・ツィエクのボールタッチは非常に滑らかで、ドリブル中も足元からボールが離れません。

キレキレなドリブルというよりは、スルスルと抜き去るドリブルが特徴的です。

その左足から繰り出させる滑らかなボールタッチは、かつて世界最高のMFと評されたメスト・エジルと似ています。

ボールタッチだけでなく、パスやサイドチェンジなどのボールも味方に合わせた美しく優しいパスを出しますし、サッカーセンスの高さが一目でわかる選手です。

ハキム・ツィエクの今後について

もうすぐ28歳を迎えるハキム・ツィエクは、選手としてピークを迎えているといえるでしょう。

怪我での離脱も重なり、新天地ではなかなか出場機会が得られていないものの、今後チェルシーやモロッコ代表での活躍も期待されている選手です。

そんなハキム・ツィエクの今後について、もう少し詳しく解説していきますね。

チェルシーFCでは監督の信頼を勝ち取れるかが鍵

ハキム・ツィエクは2020年2月にチェルシーFCへ5年契約で移籍し、当時監督であったランパードからも絶大な信頼を寄せられていました。

しかし、怪我をして離脱が重なり、なかなか試合に出られない状況に陥っています。

監督がトーマス・トゥヘルに代わって以降はFAカップのバーンズリー選手で出場したものの、リーグ戦ではほとんど出場機会を得られていません。

チェルシーFCの中心選手としてプレーするためには、まずトーマス・トゥヘルの信頼を勝ち取ることが重要となってくるでしょう。

モロッコ代表ではチームを牽引する存在

モロッコ代表では中心選手としてプレーし、チームを牽引していく存在といえるでしょう。

2018年FIFAワールドカップではグループリーグ敗退してしまい、ハキム・ツィエク自身も悔しい思いをしたはずです。

モロッコ代表が2022年FIFAワールドカップに出場しグループリーグを突破するためには、ハキム・ツィエクの活躍が必須となるでしょう。

モロッコ代表には、アヤックスDFヌサイル・マズラウィやインテルDFアクラフ・ハキミ、アヤックスFWザカリア・ラビアドなど、実力のある選手も多数選出されています。

チームが上手くフィットしていけば、ワールドカップでも良い成績を収められる能力を秘めたチームといえるでしょう。

移籍の可能性も否定できない

新天地のチェルシーFCでは出場機会を得られていないハキム・ツィエクに対して、セリエAのACミランとユヴェントスFCが興味を示していると報道されていました。

チェルシーFCとしてもハキム・ツィエクには大きな期待を寄せているでしょうし、簡単に放出するとは思えません。

しかし、今後再び怪我での離脱が増えたり、パフォーマンスが向上しなかったりした場合、他のチームへ放出される可能性もあり得ます。

チェルシーFCでの今後は、ハキム・ツィエクの今後のパフォーマンス次第といえるでしょう。