「チャレンジャーとして挑む新世代」EURO2020ドイツ代表の戦力と注目選手を解説

4-2-3-1をベースにカウンターとポゼッションをミックスさせた戦術を得意としています。
長年に渡ってゴールマウスを守ってきた守護神のマヌエル・ノイアーや中盤の要トニ・クロースなどのベテラン勢以外にも、カイ・ハヴェルツやセルジュ・ニャブリなど近年急速な成長を見せている若手選手も多数揃っています。

ドイツ代表のチーム紹介

ロシアW杯終了後に開催されたUEFAネーションズリーグ2018ー2019でのドイツ代表はW杯グループリーグ敗退を引きずったままチームのパフォーマンスが上がらない状態が続き、結果は1勝も上げれずグループ最下位に終わりました。これまで安定した強さでロシアW杯の優勝争いの本命とみられていたサッカー王国がすっかり「勝ち方を忘れた」チームへと変わり迷走してしまったのです。

2006年から長期間ドイツ代表を率いるヨアヒム・レーヴ監督がチーム再建へ向けまず行ったのは長年中心としてドイツ代表の黄金期を支えてきたジェローム・ボアテング、マッツ・フンメルス、トーマス・ミュラーの3選手に対して代表引退勧告を告げ、積極的な世代交代を行うという決断でした。

所属クラブで結果を残している若手選手に積極的にチャンスを与えた結果、チームは徐々に自信を取り戻しEURO本大会出場を決め、昨年2度目の開催となったUEFAネーションズリーグ2020ー2021においてもスペインに次いで2位でのフィニッシュとなり、かつての強さを取り戻しつつあります。

ドイツ代表EURO2020予選戦績

7勝1敗の圧倒的な強さで13大会連続13回目のEURO本大会出場を決めたドイツ代表は、予選でオランダ・北アイルランド・ベラルーシ・エストニアと同居するグループCに入りました。その中でもグループ最大のライバルでもあるオランダはこれまで何度も「死闘」を繰り広げた過去があり、注目を集めました。

今回はそんなドイツ代表のEURO本大会に向けた「予想される代表メンバー」「チームの戦術」「注目選手」などを徹底解剖し、皆さんにご紹介したいと思います。

優勝候補として挑んだ2018年ロシアW杯では、ドイツ史上初となるグループステージ敗退という屈辱の結果に終わりました。W杯後に大胆な世代交代を決断した「新生ドイツ代表」が、新型コロナウイルスの影響により1年延期された今年のEURO本大会でどのような戦いを見せてくれるのか注目されます。

【ドイツ代表のEURO予選結果】

HOME AWAY
第1節 オランダ 2-3 ドイツ
第2節 ベラルーシ 0-2 ドイツ
第3節 ドイツ 8-0 エストニア
第4節 ドイツ 2-4 オランダ
第5節 北アイルランド 0-2 ドイツ
第6節 エストニア 0-3 ドイツ
第7節 ドイツ 4-0 ベラルーシ
第8節 ドイツ 6-1 北アイルランド
順位 チーム 試合
1 ドイツ 8 7 0 1 30 7 23 21
2 オランダ 8 6 1 1 24 7 17 19
3 北アイルランド 8 4 1 3 9 13 -4 13
4 ベラルーシ 8 1 1 6 4 16 -12 4
5 エストニア 8 0 1 7 2 26 -24 1

ドイツ代表の基本フォーメーション

代表チームが採用するフォーメーションは4ー2ー3ー1がベースとなっています。
状況に応じて3バックを敷く3ー4ー3や4ー1ー4ー1システムも併用します。

■ドイツ代表予想メンバー

GK マヌエル・ノイアー バイエルン・ミュンヘン
テア・シュテーゲン バルセロナ
ベルント・レノ アーセナル
ケヴィン・トラップ フランクフルト
DF マティアス・ギンター ボルシア・メンヒェングラットバッハ
ロビン・ゴセンス アタランタ
ニクラス・ジューレ バイエルン・ミュンヘン
マルセル・ハルステンベルク RBライプツィヒ
ベンヤミン・ヘンリヒス RBライプツィヒ
ティロ・ケーラー パリ・サンジェルマン
ロビン・コッホ リーズ・ユナイテッド
フィリップ・マックス PSV
ルーカス・クロスターマン RBライプツィヒ
アントニオ・リュディガー チェルシー
ニコ・シュルツ ボルシア・ドルトムント
ニクラス・シュタルク ヘルタ・ベルリン
ジョナサン・ター レヴァークーゼン
フェリックス・ウドゥオカイ アウクスブルク
MF/FW エムレ・ジャン ボルシア・ドルトムント
ナディエㇺ・アミリ レヴァークーゼン
ユリアン・ブラント ボルシア・ドルトムント
マハムード・ダフード ボルシア・ドルトムント
セルジュ・ニャブリ バイエルン・ミュンヘン
レオン・ゴレツカ バイエルン・ミュンヘン
イルカイ・ギュンドアン マンチェスター・シティ
ヨナス・ホフマン ボルシア・メンヒェングラットバッハ
ヨシュア・キミッヒ バイエルン・ミュンヘン
トニ・クロース レアル・マドリード
カイ・ハフェルツ チェルシー
マルコ・ロイス ボルシア・ドルトムント
ユリアン・ドラクスラー パリ・サンジェルマン
フロリアン・ノイハウス ボルシア・メンヒェングラットバッハ
レロイ・サネ バイエルン・ミュンヘン
ルカ・ヴァルトシュミット ベンフィカ
ティモ・ヴェルナー チェック完了

ドイツ代表の特徴・戦術

統率のとれた守備陣と連動性

守備から攻撃への素早い切り替えが特徴でバックラインから丁寧に攻撃を組み立て、チーム全員が連動したコンパクトな動きから効率の良いサッカーで得点を奪いにいきます。

精度の高いパスからの流れるようなショートカウンターを得意としており、運動量豊富なサイドバックの選手が積極的に攻撃参加します。

多彩な攻撃パターンと豊富に揃う若き逸材たち

攻撃面では世界屈指の中盤のペアから放たれる長短のパスから攻撃を組み立て、相手ディフェンダーに的を絞らせず前線の選手が流動的にポジションチェンジを行うのが特徴です。

近年は偽9番を置いたゼロトップシステムを採用しており、若くスピードに定評のある選手を前線に数多く揃えています。サイド、中央から多彩な攻撃パターンで相手守備陣を攻略します。

ドイツ代表の注目選手

注目選手 ① トニ・クロース

東ドイツ出身のクロースは現ドイツ代表の「心臓」であり、パスの展開力においては世界屈指のプレーヤーと言っていいでしょう。戦術眼の高さを活かして低い位置から味方選手に正確なパスを供給し、チームに攻撃のスイッチを入れます。ショートパス以外に逆サイドへの大きなサイドチェンジやグラウンダーのパスなど状況によってパスを使い分ける非常にクレバーな選手です。

また空いたスペースから時折放つミドルレンジからの正確なシュートも持ち合わせています。チームではフリーキックを担当する場面も多く、大きく枠を外してしまうシーンはあまり見られないように思います。

現在の代表チームでは、ヨシュア・キミッヒと非常にバランスの取れた中盤のコンビを形成しています。ドイツ代表の生命線とも言えるクロースの活躍がチームの上位進出に向けて鍵となるでしょう。

注目選手 ② ニクラス・ジューレ

195cm、90kgの恵まれた体格を生かした圧倒的なフィジカルの強さが特徴の選手で代表の最終ラインを支えています。

身体の強さ以外に25歳とは思えない冷静な判断力と足元の技術の高さも特徴の選手で、現在ヨーロッパ中から注目される若手センターバックです。

ビルドアップセンスの高さとチームを鼓舞するリーダッシップも魅力的なジューレが、これまで長年代表チームを支えてきたボアテングやフンメルスの後を継ぐ選手にまで成長した点はドイツ代表にとってプラスに働くでしょう。

初のEURO出場で彼がどのようなプレーを見せてくれるか楽しみです。

注目選手 ③ カイ・ハフェルツ

ハフェルツは現在21歳の若さながら、すでにドイツ代表に定着している注目の攻撃的ミッドフィールダーの選手です。

彼のプレースタイルは189cmの長身を生かしたポストプレーと長身ながら足元の柔らかいボールタッチでチャンスも演出できる「得点とアシスト」の両方でチームに貢献できる選手です。

左足から生まれる繊細なボールタッチとタメを作り味方選手にボールをさばくプレーなど、状況によって変化を加えることができる選手です。

トップ下以外にウイングでもプレー可能なユーティリティ性も魅力的でプレー1つ1つにセンスを感じる選手です。中央であればライバルにマルコ・ロイスがおり、ウイングにも優秀な選手が多いドイツ代表でスタメンの座を確保できるのか注目されます。

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注目選手 ④ セルジュ・ニャブリ

コートジボワール人の父とドイツ人の母を持つニャブリは近年ブレイクを果たしたドイツ期待のアタッカーです。

クラブでは主にウイングでのプレーが多い選手ですが、高い決定力と得点パターンの豊富さから代表チームでは中央の位置でプレーする機会も増えています。

ウイングで見せるキレのあるドリブルからの鋭いカットインと正確なシュート技術は非常に高いレベルで「ワールドクラス」と評価される程の選手に成長しました。

また175cmと小柄ながら大柄な相手ディフェンダーにも当たり負けしないフィジカルの強さも魅力的な選手です。強力なアタッカー陣を擁するドイツ代表において現在のところ、近年結果を残しているニャブリがファーストチョイスとなるのではないでしょうか。

EURO2020ドイツ代表の見どころ

監督を悩ませるGK大国ドイツの正守護神争い

長年キーパー大国として数々の優秀なゴールキーパーが活躍してきたドイツ代表ですが、現在の代表チームも他国が羨むようなワールドクラスのキーパーが複数います。

EURO予選ではチームキャプテンのマヌエル・ノイアーがほとんどの試合で出場しましたが、その他にバルセロナのテア・シュテーゲンとアーセナルのベルント・レノ・フランクフルトのケヴィン・トラップ等の実力者がおり、今後の所属クラブでのパフォーマンス次第ではレギュラーを変更する可能性も考えられます。

キーパーの1枠がどの選手が掴むのか気になるところです。大会直前までレーブ監督の頭を悩ませることでしょう。

タイプ別に豊富に揃う豪華な中盤

現在のドイツ代表の中盤は主にトニ・クロースとヨシュア・キミッヒのコンビを多く採用していますが、その他にもタイプが違う優秀な選手がいます。

つなぎ役として正確なパスを供給できるマンチェスター・シティ所属のイルカイ・ギュンドアンやフィジカルを活かした守備と闘志あふれるプレーが魅力のボルシア・ドルトムント所属のエムレ・ジャンなどがベンチに控えており選手層が充実しています。

対戦国や試合状況によって変化を加えることができる点が大きな強みであると言えるでしょう。

タレント豊富な攻撃陣が生み出す豊富な得点パターン

メスト・エジルやトーマス・ミュラーなど前線でこれまで代表チームに貢献してきた選手が去った現在の代表チームですが、実力のある若手選手がおり世代交代もスムーズに進んでいる状況です。

前線であれば複数ポジションでプレー可能な選手が多いので攻撃のバリエーションも豊富です。レロイ・サネ・マルコ・ロイス・ユリアン・ブラント等スキルの高い選手がどのようなプレーでサッカーファンを沸かせてくれるのか注目されます。

ドイツ代表EURO2020の展望

【グループステージ】

グループC:ドイツ・フランス・ポルトガル・ハンガリー

第1戦 6/16  ドイツVSフランス

2018ロシアW杯で優勝したフランス代表との初戦になります。2012年から指揮をとるデシャン監督の下、安定した強さをフランス代表は見せています。大会屈指のタレント力を誇る強国に対して初戦でドイツ代表がどのような戦術を取るか注目です。

第2戦 6/20  ドイツVSポルトガル

2戦目は前回大会のEURO2016で見事初優勝したポルトガル代表との戦いになります。破壊力抜群のショートカウンターが特徴です。高い決定力を誇るチームの絶対的エース、クリスティアーノ・ロナウドに仕事をさせないようドイツ守備陣の高いパフォーマンス力が求められます。

第3戦 6/24  ドイツVSハンガリー

グループリーグ最終戦はEURO予選でプレーオフを勝ち進み、見事2年連続の本戦出場を果たしたハンガリー代表との戦いになります。堅守速攻型の戦術を特徴としておりチームにまとまりがあります。ハンガリーの逸材ドミニク・ショボスライは技術力が高く警戒が必要です。

【決勝トーナメント】 対戦国未定

グループF1位通過の場合  :  グループABCいずれかの3位チームと対戦
グループF2位通過の場合  :  グループD1位チームと対戦

監督や戦術について

ドイツ代表が入ったグループFは「死の組」で今大会最も注目されているグループとなっています。現在のFIFAランキング上では2位フランス・5位ポルトガル・13位ドイツ・40位ハンガリー(2021/2/22時点)となっており、どの国が決勝ラウンドに進むのか予想がつかないグループです。

ドイツにとってはランキング上位国との厳しい戦いが待っていますが、3戦全ての会場がミュンヘンのアリアンツ・アレーナで開催されます。バイエルン・ミュンヘンの所属の選手が多いドイツ代表にとってはホームスタジアムでの試合は大きなアドバンテージとなるはずです。

チームに勢いをもたらすためには初戦のフランス戦で最低でも引き分け以上の結果が欲しいところです。レーブ監督がどのようなシステムとメンバーで挑むのか非常に注目されます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は「EURO2020ドイツ代表の戦力と注目選手を解説」と題してお伝えしました。

今回ご紹介した選手以外にも、ドイツ代表には注目の選手が多く揃っています。ドイツのストライカーでは珍しい「スピード型」タイプのティモ・ヴェルナーは本戦で起用されればゲームの流れを変えるプレーを見せてくれるはずです。

また怪我による長期離脱から復帰したレロイ・サネも非常に注目の選手で相手ディフェンダーを一気に剥がす縦へのドリブルとシュート技術はワールドクラスです。サネは2018年ロシアW杯では代表漏れとなっているので今回のEURO出場メンバーに選ばれる事を目標としているでしょう。

若手への世代交代を進めたドイツ代表チームがEUROにおいてどのような成果を見せてくれるのか非常に楽しみです。全てがうまく機能すれば長らく遠ざかっている1996年大会以来の優勝に近づくのではないでしょうか。

エキサイティングな試合と感動を与えてくれるEURO2020で「ディー・マンシャフト」がどのようなプレーで世界のサッカーファンを沸かせてくれるか開催が待ち遠しい限りです。