これまでの4バックから近年は3−4−2−1のフォーメーションを多く採用しています。1トップに2シャドーを置くことでタレント豊富なアタッカー陣の攻撃力を最大限に生かしたシステムでゴールを奪います。
現在の代表チームは、ベルギー史上最強世代の呼び声が高い選手が揃っています。特に注目する選手は近年の主要大会において黄金世代としてチームを引っ張ってきたゴールキーパーのティボー・クルトワ、ディフェンスラインを支えるトビー・アルデルヴァイレルト、長短精度の高いパスを供給するケヴィン・デ・ブライネ、絶対的ストライカーのロメル・ルカクなどワールドクラスの選手が各ポジションに揃っています。
目次
ベルギー代表のチーム紹介
予選を10勝無敗の圧倒的な強さで2大会連続6度目のEURO本大会出場を決めたベルギー代表。同じグループに入った強国ロシアとスコットランド戦も危なげない試合運びで勝利を挙げ、終わってみれば予選出場国の得点数で最多の40得点、失点数も最小の3失点と完璧な結果で予選を通過しています。
今回はそんなベルギー代表のEURO本大会に向けた「予想される代表メンバー」「チームの戦術」「注目選手」などを徹底解剖し、皆さんにご紹介したいと思います。
2016年EUROでベスト8、2018年ロシアW杯で3位と近年着実に結果を残し続けているベルギー代表。全盛期を迎えている黄金世代と新たな新戦力が加わったEURO2020の結果への期待は高まるばかりです。
新型コロナウイルスの影響により1年延期された今年のEURO本大会でどのような戦いを見せてくれるのか注目されます。
ベルギー代表のEURO2020予選結果
HOME | AWAY | ||
第1節 | ベルギー | 3-1 | ロシア |
第2節 | キプロス | 0-2 | ベルギー |
第3節 | ベルギー | 3-0 | カザフスタン |
第4節 | ベルギー | 3-0 | スコットランド |
第5節 | サンマリノ | 0-4 | ベルギー |
第6節 | スコットランド | 0-4 | ベルギー |
第7節 | ベルギー | 9-0 | サンマリノ |
第8節 | カザフスタン | 0-2 | ベルギー |
第9節 | ロシア | 1-4 | ベルギー |
第10節 | ベルギー | 6-1 | キプロス |
順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 点 |
1 | ベルギー | 10 | 10 | 0 | 0 | 40 | 3 | 37 | 30 |
2 | ロシア | 10 | 8 | 0 | 2 | 33 | 8 | 25 | 24 |
3 | スコットランド | 10 | 5 | 0 | 5 | 16 | 19 | -3 | 15 |
4 | キプロス | 10 | 3 | 1 | 6 | 15 | 20 | -5 | 10 |
5 | カザフスタン | 10 | 3 | 1 | 6 | 13 | 17 | -4 | 10 |
6 | サンマリノ | 10 | 0 | 0 | 10 | 1 | 51 | -50 | 0 |
ロシアW杯後にキャプテンを務めていたヴァンサン・コンパニやマルアン・フェライニなどの主力選手が代表引退をしたベルギー代表ですが、新たに台頭した選手も加わり戦力を維持している印象です。
現在開催中のUEFAネーションズリーグ2020ー2021においても、同組になったイングランド・デンマーク・アイスランド相手に5勝1敗と安定した強さを見せ決勝ラウンドに進んでいます。
2016年から監督を務めるスペイン人のロベルト・マルティネスの手腕によりベルギー代表は2018年ロシアW杯で同国史上初の3位躍進を果たしました。
現在のFIFAランキングトップを走るベルギー代表の強さは、マルティネス監督のデータやスポーツ科学に基づいた分析と、選手にピッチ上で自由な表現を求める現代的な監督手腕が現在の代表チームにしっかりと浸透している証拠ではないでしょうか。
今大会のEUROで優勝を目標に掲げている指揮官に選手が応えられるか注目されますね。
ベルギー代表の予想メンバー・フォーメーション
ベルギー代表が採用するフォーメーションは3−4−2−1(3−4−3)がベースとなっています。押し込まれる場面ではウイングバックを下げた5バックで守備的な戦術を取ります。
■ベルギー代表予想メンバー
GK | クーン・カステールス | ヴォルフスブルク |
ティボー・クルトワ | レアル・マドリード | |
シモン・ミニョレ | クラブ・ブルージュ | |
ヘンドリク・ヴァン・クロムブルッヘ | アンデルレヒト | |
DF | トビー・アルデルヴァイレルト | トッテナム |
ティモシー・カスターニュ | レスター | |
セバスティアン・ボルナウ | ケルン | |
デドリック・ボヤタ | ヘルタ・ベルリン | |
ジェイソン・デナイヤー | リヨン | |
トーマス・ヴェルマーレン | ヴィッセル神戸 | |
レアンデル・デンドンケル | ウォビク | |
ブランドン・メシェレ | クラブ・ブルージュ | |
ヨリス・カイェンベ | シャルルロワ | |
トーマス・ムニエ | ドルトムント | |
ジーニョ・ファンフースデン | スタンダール・リエージュ | |
ヤン・フェルトンゲン | ベンフィカ | |
MF | ヤニック・フェレイラ・カラスコ | アトレティコ・マドリード |
ナセル・シャドリ | バシャクシェヒル | |
ケヴィン・デ・ブライネ | マンチェスター・シティ | |
デニス・プラート | レスター | |
アレクシス・サレマーカーズ | ミラン | |
ユーリ・ティーレマンス | レスター | |
トルガン・アザール | ドルトムント | |
レアンドロ・トロサール | ブライトン | |
ハンス・ファナーケン | クラブ・ブルージュ | |
ヤリ・フェルスハーレン | アンデルレヒト | |
アクセル・ヴィツェル | ドルトムント | |
FW | ミシー・バチュアイ | クリスタルパレス |
クリスティアン・ベンテケ | クリスタル・パレス | |
ジェレミー・ドク | アンデルレヒト | |
アドナン・ヤヌザイ | レアル・ソシエダ | |
エデン・アザール | レアル・マドリード | |
ドディ・ルケバキオ | ヘルタ・ベルリン | |
ドリース・メルテンス | ナポリ | |
ディヴォック・オリジ | リヴァプール | |
ロメル・ルカク | インテル |
ベルギー代表の特徴・戦術
運動量豊富なウィングバックを生かした厚みのある攻撃
ベルギー代表の守備面の特徴はボールを失った直後に素早いプレッシングを行い攻撃へと転じるところです。サイドの選手は上下運動を試合中に何度も行い、攻撃の際には高い位置を取り数的優位を作り出します。トーマス・ムニエやトルガン・アザール以外にもカスターニュ、カラスコ、シャドリなど運動量が豊富で守備・攻撃の両面で貢献できる選手がいることが、チームの強みとなっています。
変幻自在な動きと高い個人技で相手チームを翻弄するアタッカー陣
攻撃面でポゼッション重視のスタイルが多いベルギー代表は多くの得点パターンを持っています。デ・ブライネを中心に攻撃へのスイッチが入り、彼の長短のパスからサイドや中央からの攻撃を行いチームが連動します。組織と個の両方が高い完成度を誇っており、前線の選手は自由なポジションチェンジを行いながら相手ゴールに迫ります。
ベルギー代表の注目選手
注目選手 ① ルカク
コンゴ出身の元サッカー選手の父を持つルカクは190cm、93kgと屈強な体を持つベルギー代表のストライカーです。大柄ながら足元の技術が高くスピードもある身体能力の非常に高い万能型フォワードです。
現役選手において世界最高のフィジカルを持つと言われるルカクの特徴は、体の強さを生かした空中戦の他に優れた動きだしの良さがありオフザボールの動きに定評があります。
また近年は味方選手を生かすプレーの回数も増えており、クレバーな一面も兼ね備えています。現在の代表チームの得点源であるルカクが本大会でベストパフォーマンスを見せることができればベルギーの上位進出の可能性が高まるはずです。
注目選手 ② デブライネ
世界最高峰のMFと評され、ベルギー代表の司令塔である彼の活躍がEURO本大会の成績の鍵を握ると言えます。針の穴に通すかのような非常に正確なパス技術を持っており、ピッチのどこにいても違いを作れる選手です。
シンプルにプレーしながらスペースをうまく使い、相手ゴールに迫るプレーには無駄がありません。
またアシスト以外に、得点を奪える能力も高く強烈はミドルシュートは見応え十分です。現代的なプレーメーカーの芸術的なスルーパスが大会で見られるのか非常に楽しみです。
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注目選手 ③ アザール
長年代表チームの主軸としてプレーしてきたアザールの最大の特徴はドリブルです。重心の低いドリブルから緩急を巧みに使いこなして相手ディフェンダーを抜き去る姿は非常に見応えがあります。
身長は高くありませんがガッチリとした体格で、大型ディフェンダーに負けないフィジカルの強さとゴールを奪うフィニッシャーとしての能力の高さも持っています。
ロシアW杯で3位に貢献したアザールが、持ち前を発揮できれば相手チームにとって脅威になることは間違いありません。
注目選手 ④ ティーレマンス
ベルギー人の父とコンゴ人の母を持つティーレマンスは16歳でチャンピオンズリーグにデビューするなど、10代から「天才」と期待されてきた才能溢れる選手です。中盤を本職としており、高いボールキープ力とパス技術で攻撃にリズムをもたらします。
攻撃面を得意としており、代表チームで多くペアを組む守備的なヴィツェルと良いバランスに保ちながらチームに貢献しています。またシュートコースが空いている場合には積極的に高精度のシュートを放ちます。
ベルギーの「次世代のスター候補」が黄金世代が多く揃う代表チームにどのようなエッセンスを加えられるか非常に興味深いです。
ベルギー代表の見どころ
ゴールマウスに鍵をかける絶対的守護神
レアル・マドリードに所属し、「タランチュラ」の異名を持つ守護神クルトワの特徴は199cmの長身を生かしたリーチのあるセービングとハイボール処理能力の高さです。
少年時代に左サイドバックとしてプレーしていた影響で、足元の技術もあり積極的にビルドアップにも参加します。
ロシアW杯でゴールデングローブ賞を獲得した世界屈指のゴールキーパーがEURO本戦でハイパフォーマンスを見せることができるか楽しみです。
予選最小失点数を誇る強固な守備陣
出場国中最小失点で予選通過を果たしたベルギー代表ですが、本戦出場する強豪国相手に安定した守備を披露できるかが鍵となります。
アルデルヴァイレルト・フェルトンゲン・ヴェルマーレンはベテランと呼ばれる年齢に差し掛かっているため、今後新たなディフェンスリーダーが求められます。リヨン所属のデナイヤーなど若手の活躍に期待したいところです。
控えも大会トップクラスの強力アタッカー陣
強力な攻撃陣を擁するベルギー代表ですが、ルカクやアザール以外にも注目のアタッカー陣がベンチに控えています。
高速ドリブルを武器にサイドから仕掛けられるメルテンスはクラブでは偽9番としてセンターでのボジションでもプレーしており、戦術の幅が広がります。その他に、共にプレミアリーグのクリスタルパレスに所属するベンテケとバチュアイのコンビやリバプール所属のオリギなど相手チームにとっては勢いに乗せると怖い選手が揃っています。
ベルギー代表EURO2020の展望
【グループステージ】グループB:ベルギー・デンマーク・フィンランド・ロシア
第1戦 6/13 ベルギーVSロシア
EURO2008ではベスト4、2018ロシアW杯ではホスト国としてベスト8に進出したロシア代表との初戦になります。堅い守りからのカウンター攻撃を得意とするロシア代表は、近年イタリアリーグで好調を維持しているアタランタ所属のミランチェクやスペインバレンシアのチェリチェフなど前線に能力の高い選手がおり、初戦から油断できない相手との戦いとなるでしょう。
第2戦 6/18 ベルギーVSデンマーク
ベルギーに次いでFIFAランキング2番手のデンマークとの2戦目は拮抗した試合展開となるかもしれません。各ポジションに4大リーグでレギュラーとして活躍している選手が揃っており、攻守のバランスが非常に安定しているチームです。守護神シュマイケルやディフェンダーのケアー・クリステンセン・ヴェスターゴーアがいる守備陣から簡単にゴールは奪えないでしょう。また「魔法のタッチ」を持つと称されている司令塔のエリクセンはゲームメーク能力が高い選手ですのでベルギーの守備陣は注意が必要です。
第3戦 6/22 ベルギーVSフィンランド
グループリーグ最終戦の対戦国はEURO本戦初出場となるフィンランドです。実力的には圧倒的にベルギーが有利な状況ですが、チームに勢いのあるフィンランドは今回初出場で失うものはないので、ベルギーに対して勇敢に粘り強く試合に挑んでくるでしょう。思わぬミスによる失点などは避けたいところです。2004年にEURO2度目の出場で優勝をしたギリシャのようにジャイアントキリングが起こる可能性もあります。レバークーゼンの守護神でもあるキーパーのフラデツキーとエースで代表チームの得点源のノリッジ・シティ所属のテーム・プッキは注目選手です。
【決勝トーナメント】 対戦国未定
グループB1位通過の場合 : グループADEFいずれかの3位チームと対戦
グループB2位通過の場合 : グループ A2位チームと対戦
監督や戦術について
グループステージの予想は出場国の戦力でいうと、今のところベルギーが頭一つ抜けており2位争いをロシアとデンマークで争うといったところかと思います。(フィンランドにも頑張ってもらいたいです)
しかし、今回のEUROは欧州12カ国での開催となっています。グループBではデンマークとロシアがホスト国になっており、グループステージ3試合中デンマークは全ての試合、ロシアは3試合中2試合を自国のスタジアムで行えるのでベルギー・フィンランドにとってはアウェイでの2試合となるので不利な状況で試合に望まなくてはなりません。
ベルギーとしてはアウェイでの2連戦となりますが、守備的な布陣ではなく予選通り攻撃的なスタイルで挑むのではないでしょうか。圧倒的な攻撃力を誇る前線のタレント軍団が普段通りのプレーをピッチで表現できれば、きっと良い結果に繋がるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は「EURO2020ベルギー代表の戦力と注目選手を解説」と題してお伝えしました。
今回ご紹介した選手以外にもアンデルレヒトの新星ヴェルスハーレン、得点力に優れたウイングのトロサール、左足から高いテクニックで細かなタッチとドリブルで仕掛けられるヤヌザイなどがおり、最終メンバーに選出されるのか注目されます。
成熟の時を迎えつつある現在FIFAランキング1位のベルギー代表チームが初めての国際タイトルに最も近い位置にいると言っても過言ではないでしょう。
ベルギー史上最強世代の華麗なプレーに世界中から注目が集まることでしょう。今後長期離脱の怪我人などが出ず、本戦には是非ベストメンバーが選ばれることを期待したいです。
エキサイティングな試合と感動を与えてくれるEURO2020で「レッド・デビルズ」がどのようなプレーで世界のサッカーファンを沸かせてくれるか開催が待ち遠しい限りです。