基本フォーメーションの4−3−3をベースに、前線のスピードのある選手を活かしたショートカウンターで仕掛けて得点に繋げる戦術を得意としています。
前回大会同様、チームをまとめるのはキャプテンのクリスティアーノ・ロナウドです。ベテランの彼が中心選手であることに変わりはありませんが、期待の若手選手ルベン・ディアスやジョアン・フェリックスなど注目の若手選手が新たに加わり、前回大会を上回る戦力と言われています。
目次
ポルトガル代表のチーム紹介
現在の代表監督はこれまでギリシャリーグ・ポルトガルリーグの数々のクラブで指揮を執ってきたポルトガル出身のフェルナンド・サントスです。初の代表監督として挑んだブラジルW杯ではギリシャ代表を率いてベスト16進出を果たしました。ギリシャ代表がW杯で決勝トーナメント進出を果たしたのはこれが初めての事で、これをきっかけに評価を上げW杯終了後の2014年にポルトガル代表監督に就任しました。
監督就任後、初の主要大会となった2016年のEUROで初優勝し、その2年後に開催された2018年ロシアW杯では接戦の末ウルグアイに敗れてベスト16に終わりました。
しかし、W杯後に初開催となったUEFAネーションズリーグ2018−2019でオランダとの決勝を制して再び優勝するなど安定した結果を残しています。フェルナンド・サントス監督は、ポルトガル代表をこれまでより1ランク上のチームに導いた名監督と言えるでしょう。
就任当初から偉大なキャプテンでエースのクリスティアーノ・ロナウドの持ち味を活かしたチーム作りを徹底していました。強みである高い決定力を誇るロナウドを攻撃に専念させ、ハードワークできる選手を組み合わせながら攻撃と組織的な守備をミックスさせた戦い方をチームに植え付けました。
サントス監督の戦術がしっかりとチームの結果に結びついているので、今大会も期待できるのではないでしょうか。
ポルトガル代表のEURO2020の予選戦績
7大会連続8回目の本大会出場を決めた前回王者のポルトガル代表は、予選ではスタートから強豪国との2連戦となりました。初戦、2戦目とも引き分けで終わり3戦目で初勝利を挙げました。
グループBでは、現役時代ACミランで活躍した母国の英雄アンドリー・シェフチェンコが率いるスター選手不在ながらまとまりのある安定した強さを誇るウクライナ代表や、4大リーグ所属選手が多くタレント豊富なセルビア代表など強豪国と同居しました。ポルトガルは厳しい試合を戦い抜いてウクライナに次ぎグループ2位で本戦出場を決めました。
今回はそんなポルトガル代表のEURO本大会に向けた「予想される代表メンバー」「チームの戦術」「注目選手」などを徹底解剖し、皆さんにご紹介したいと思います。
ポルトガル代表は前回の2016大会では低調なスタートを切ってグループステージ3位から決勝トーナメントに進出しました。決勝トーナメントでも苦しい試合を制して決勝まで勝ち進み、チームワークで優勝候補のフランスを破り念願の主要大会での初優勝を果たしました。
新型コロナウイルスの影響により1年延期された今年のEUROにおいて、ディフェンディングチャンピオンとして大会2連覇に挑むポルトガル代表がどのような戦いを見せてくれるのか注目されます。
【ポルトガル代表のEURO予選結果】
HOME | AWAY | ||
第1節 | ポルトガル | VS | ウクライナ |
第2節 | ポルトガル | VS | セルビア |
第3節 | セルビア | VS | ポルトガル |
第4節 | リトアニア | VS | ポルトガル |
第5節 | ポルトガル | VS | ルクセンブルク |
第6節 | ウクライナ | VS | ポルトガル |
第7節 | ポルトガル | VS | リトアニア |
第8節 | ルクセンブルク | VS | ポルトガル |
順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 点 |
1 | ウクライナ | 8 | 6 | 2 | 0 | 17 | 4 | 13 | 20 |
2 | ポルトガル | 8 | 5 | 2 | 1 | 22 | 6 | 16 | 17 |
3 | セルビア | 8 | 4 | 1 | 2 | 17 | 17 | 0 | 14 |
4 | ルクセンブルク | 8 | 1 | 1 | 6 | 7 | 16 | -9 | 4 |
5 | リトアニア | 8 | 0 | 1 | 7 | 5 | 25 | -20 | 1 |
ポルトガル代表のメンバー・予想フォーメーション
■ポルトガル代表予想メンバー
GK | ルイ・パトリシオ | ウォルバ―ハンプトン |
アントニー・ロペス | リヨン | |
ルイ・シルバ | グラナダ | |
DF | ジョゼ・フォンテ | リール |
マリオ・ルイ | ナポリ | |
ペペ | ポルト | |
リカルド・ペレイラ | レスター | |
ネウソン・セメド | ウォルバーハンプトン | |
ラファエル・ゲレイロ | ドルトムント | |
ルベン・セメド | オリンピアコス | |
ジョアン・カンセロ | マンチェスター・シティ | |
ドミンゴス・ドゥアルテ | グラナダ | |
ルベン・ディアス | マンチェスター・シティ | |
MF | ジョアン・モウティーニョ | ウォルバーハンプトン |
ダニーロ・ペレイラ | パリ・サンジェルマン | |
ウィリアン・カルバーリョ | ベティス | |
セルジオ・オリベイラ | ポルト | |
アンドレ・ゴメス | エヴァ―トン | |
ブルーノ・フェルナンデス | マンチェスター・ユナイテッド | |
ルベン・ネービス | ウォルバーハンプトン | |
レナト・サンチェス | リール | |
FW | クリスティアーノ・ロナウド | ユベントス |
パウリーニョ | ブラガ | |
ベルナルド・シウバ | マンチェスター・シティ | |
ディオゴ・ジョッタ | リヴァプール | |
ジョアン・フェリックス | アトレティコ・マドリード | |
フランシスコ・トリンコン | バルセロナ | |
ペドロ・ネト | ウォルバーハンプトン | |
アンドレ・シウヴァ | フランクフルト | |
ゴンサロ・ゲテス | バレンシア | |
ピッツィ | ベンフィカ |
ポルトガル代表の戦術・特徴
新たなディフェンスリーダーと攻撃力のあるサイドバック
守備陣は新たなディフェンスリーダーのルベン・ディアスを中心に堅守速攻のスタイルを徹底しています。両サイドバックに攻撃に定評のあるサイドバックを配置し、サイドから攻撃にアクセントをつけ得意のカウンターへと繋げます。
前回大会より選択肢が増えた多彩な攻撃バリエーション
新たに代表に加わったブルーノ・フェルナンデスが前線の中心となっておりチームの特徴であるショートカウンターからの崩し以外に、サイド・中央から組織的に連動して相手守備陣を崩すパターンも増えました。両ウイングにはスピードとテクニックに優れた選手を配置して個人の崩しで得点を奪うシーンもあれば、スペースを見つけミドルレンジからのシュートで積極的にゴールを狙います。
ポルトガル代表の注目選手
注目選手 ① クリスティアーノ・ロナウド
代表チームキャプテンでもあり、オフェンスの中心選手です。以前はスピードに乗ったドリブルを特徴としたウインガータイプの選手でしたが、現在は前線でのフィニッシュに絡む回数を増やして得点を量産するストライカータイプの選手になりました。
相手選手との駆け引きや裏への抜け出し、ポジショニングの取り方などストライカーに求められる部分を高いレベルでこなし、あらゆるパターンで得点を奪える世界最高のゴール・マシーンと言えるでしょう。
その他に身体能力を活かした打点の高いヘディングシュートや両足から精度の高い強烈なシュート、当たり負けしない強靭なフィジカル、日々の徹底したトレーニングと食事管理によって怪我の少ない選手である等、欠点が見当たらない選手です。
前回のEUROで初優勝に大きく貢献した衰え知らずの絶対的ストライカーが、36歳で迎える今大会で再びチームを優勝へ導くことができるか注目したいと思います。
注目選手 ② ブルーノ・フェルナンデス
現在26歳のB.フェルナンデスはトップ下やインサイドハーフを主戦場とするチャンスメイクに優れた選手です。
精度の高いパスと細かいタッチでかわすドリブル技術を持っており、相手守備陣にとっては対応が難しい選手です。
また得点能力も非常に高い選手で、ボックス外から強烈なシュートで得点を奪うシーンも多いです。2列目から前線に飛び出してゴールを奪ったり、フリーキックからの絶妙なコースに決めるなど得点パターンが豊富な選手です。
ポルトガルが上位進出を果たすためには、今回が初のEUROとなる彼の味方を活かす創造性とテクニックがチームにとって必要不可欠です。
注目選手 ③ ベルナルド・シルバ
「ポルトガルの魔術師」と言われる独特のリズムと細かなボールタッチで相手を抜き去る非常に高いドリブル技術を持ったレフティーです。
インサイドハーフ以外に右ウイングでのプレーも得意としており、ウイング起用の際は鋭いカットインから中へ切り込み、決定機を演出するパスや精度の高いシュートで自らゴールを決めることができます。
またスタミナ切れを起こさない運動量も彼の特徴で、攻守に貢献できる選手として現在のポルトガル代表にとって欠かせない存在です。
注目選手 ④ J.フェリックス
現在21歳のJ.フェリックスの強みは足下の技術の高さにあります。ボールを受けやすいスペースに走り込みながら巧みなボールタッチから決定機に繋がるプレーを見せることができます。
キック精度が高くテクニカルなドリブルでサイドから正確なクロスを入れ得点をアシストできる点や、センタフォワード・セカンドストライカー・ウイングなど様々なポジションでプレーが可能なユーティリティ性の高いモダンな選手です。
年齢が若い選手ですのでパフォーマンスの波が激しい点など精神面での課題はありますが「クリスティアーノ・ロナウドの後継者」と呼ばれる逸材が、今大会アイデアあふれるプレーで観客を沸かせてくれるはずです。
ポルトガル代表EURO2020の見どころ
個性派攻撃陣を影で支える汗かき役
タレント豊富な攻撃陣に注目が行きがちなポルトガル代表ですが、中盤にチームの汗かき役となれる選手がおり、チームにバランスを与えています。
その中でも守備面で中盤を支えるダニーロ・ペレイラ・ルベン・ネービス・アンドレ・ゴメスはキック精度の高さ以外に対人戦に強く運動量も豊富な選手です。中盤を動き回る存在感と迫力は必見です。
派手なプレーは少ないですが、代表チームに落ち着きとバランスを与える汗かき役の選手の働きぶりにも注目です。
「戦術:クリスティアーノ・ロナウド」からの脱却
前回大会のポルトガル代表はエースのクリスティアーノ・ロナウドを中心とした彼にボールを届けるために周りが役割を果たすチーム戦術で初優勝を果たしましたが、現在のチームにはその他の強みも増えてきています。
フレッシュな若手や近年ブレイクした選手が加わったことにより豊富なバリエーションで相手チームにとっては、より対戦しづらいチームに変わりました。
タレント豊富な選手が増えたことにより、もしかするとベテランのクリスティアーノ・ロナウドをオプションとして起用する試合も今回見られるかもしれません。
厚みが増した前線の激しいメンバー争い
前線の豪華な選手層が特徴の現在のポルトガル代表ですが、初のEURO本大会のメンバー入りを目指す注目選手たちがいます。
その中でも特に前線選手のアンドレ・シウヴァ・ディオゴ・ジョッタ・ペドロ・ネトはクラブで印象的なプレーを見せており、メンバー入りとなるか注目されています。
これまで招集の多かった選手と近年ブレイクしている選手の入れ替えがあるのか、最終的に監督がどのような決断を下しどの選手が落選してしまうのか気になるところです。
ポルトガル代表EURO2020の展望
予選グループと対戦日程についてみていきましょう。
【グループステージ】
グループF:ポルトガル・フランス・ドイツ・ハンガリー
第1戦 6/16 ポルトガルVSハンガリー
死のグループに入ったグループFのポルトガルの初戦はプレーオフを勝ち進んで本戦出場を決めたハンガリーとの対戦です。前回2016大会でも同組となった対戦国で前回はグループリーグ最終戦で対戦して引き分けという結果に終わりました。
ポルトガルにとっては同じグループに入ったドイツ・フランスに比べ戦力の劣るハンガリー戦で大量得点して幸先の良いスタートを切りたいところではないでしょうか。
初戦で勝ち点を取りこぼすようなことがあれば、ポルトガルにとって2戦目以降の試合にプレッシャーがかかる為、勝ち点3を必ず手にしたいところです。
第2戦 6/20 ポルトガルVSドイツ
2戦目は、2014年W杯チャンピオン、前回のEUROではベスト4のサッカー大国ドイツとの対戦です。過去の対戦成績を見るとポルトガル代表はドイツに大きく負け越しており苦手としている国との対戦となります。
ドイツ代表の現在は世代交代によって若い選手に様変わりしており、若手のオフェンス陣には勢いを感じます。組織的なサッカーで相手を崩していくドイツ代表に対して、ポルトガル代表の守備陣がどのように対応するか注目です。
優秀なゴールキーパーとディフェンダー陣を多く揃えるドイツ代表との対戦ですので、多くの得点を挙げることは期待できないかもしれません。できるだけ失点を抑えながら接戦に持ち込む戦術が必要となるのではないでしょうか。
第3戦 6/24 ポルトガルVSフランス
グループリーグ最終戦の対戦国は、前回大会ファイナルで対戦したフランス代表です。
各ポジションに主力を多く残しているフランス代表の戦術に大きな変更はありませんが、前回大会で活躍した怪童キリアン・エムバペがワールドクラスの選手に成長して、更に攻撃力が上がった印象です。
変幻自在に戦い方を変えてくる個性派集団に対して前回の決勝同様にしっかりブロックを固めてチャンスを窺う展開になるかと思います。
前回大会は決勝でフランス相手に1975年以来の勝利を挙げたポルトガル代表。現在対戦成績6勝18敗と苦手としている対戦国に変わりはありませんが、少ないチャンスを活かして勝利に繋げてほしいです。
決勝トーナメント「対戦国未定」
グループF1位通過の場合 : グループABCいずれかの3位チームと対戦
グループF2位通過の場合 : グループD1位チームと対戦
監督や戦術について
ポルトガル代表が入ったグループFは「死の組」で今大会最も注目を集めるグループとなっています。どの国が決勝ラウンドに進むのか予想が難しいです。
また、今回のEUROは史上初の12カ国による分散開催で行われます。
同じグループに入っているドイツ・ハンガリーはホスト国の為自国のスタジアムで試合ができるアドバンテージがあります。ポルトガルにとってはフランス戦以外はアウェイでの2試合となるので不利な状況で試合に望まなくてはなりません。
厳しいグループを戦うポルトガル代表にとってハイレベルな短期決戦が待っており、消耗の激しい試合が続きます。監督は招集する選手を上手く使いながら試合に臨むのではないでしょうか。
チームの貫くサッカースタイルをピッチで全員が表現できれば前回同様、良い結果に繋がると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は「EURO2020ポルトガル代表の戦力と注目選手を解説」と題してお伝えしました。
今回ご紹介した選手以外にもバルセロナに所属する期待の若手フランシスコ・トリンコン、前回大会最年少で代表選出され印象的なプレーを見せ優勝に貢献したレナト・サンチェス、スピードのあるドリブルを武器に幅広く動けるアタッカーのゴンサロ・ゲデスなどがおり、彼らが最終メンバーに選出されるかも注目されます。
ディフェンディングチャンピオンとして大会2連覇に挑む現在FIFAランキング5位のポルトガル代表が今回のEUROの優勝候補にチームの一つであることは間違いありません。
最強軍団と近年現れた新スター候補の華麗なプレーに世界中から注目が集まることでしょう。今後長期離脱の怪我人などが出ず、本戦には是非ベストメンバーが選ばれることが望まれます。
エキサイティングな試合と感動を与えてくれるEURO2020で「セレソン・ダス・キナス」がどのようなプレーで世界のサッカーファンを沸かせてくれるか開催が待ち遠しい限りです。