マンチェスター・シティに移籍してきた時まだ若武者だったラヒーム・スターリング。現在イングランド代表とマンチェスター・シティの顔になる存在。あのグアルディオラ監督が信頼しているスピードスターです。マンチェスター・シティ移籍後、イングランドで裏切者と揶揄されたが、いまや実力でイングランド国内絶賛されています。今回はイングランドの10番ラヒーム・スターリングを紹介します。
目次
ラヒーム・スターリングのプロフィール
生年月日 | 1994年12月8日 |
国籍 | イングランド |
出身 | キングストン |
身長 | 170㎝ |
体重 | 65㎏ |
利き足 | 右 |
ポジション | FW |
背番号 | マンチェスター・シティ:7 イングランド代表:10 |
タイトル | ・リヴァプール EFLカップ:1回(2011-12) マンチェスター・シティ 2019年 プレミアリーグ、FA杯、リーグ杯 プレミアリーグ:2回(2017-18, 2018-19) EFLカップ:3回(2015-16, 2017-18, 2018-19) コミュニティ・シールド:2回(2018, 2019) FAカップ:1回(2018-19) ・個人 ゴールデンボーイ賞(2014年) プレミアリーグ月間最優秀選手(2016年8月) PFA年間ベストイレブン(2018-19) PFA年間最優秀若手選手賞(2018-19) FWA年間最優秀選手賞(2018-19) |
ラヒーム・スターリングの経歴
ラヒーム・スターリングはジャマイカで生まれ今はイングランド代表の10番です。数奇な快速ウインガーの経歴はいかなものか生まれてからを辿っていきましょう。我がリヴァプールからは移籍していきましたけど。
ジャマイカでの幼少期からロンドンへ
スターリングは、ジャマイカの首都であるキングストンで生まれます。
生後3年間をそこで過ごし、7歳の時に母親と共にロンドンへ移住。
父親は2歳の時にジャマイカで射殺されています。今や陸上王国ですね。
ラヒーム・スターリングのスピードはそんなところからきているのでしょう。
リヴァプールで飛躍、若手有望株から裏切者へ
父親の死後、母と共にロンドンへ移住します。
そこで2003年にクイーンズ・パーク・レンジャーズでキャリアをスタート。
2010年の15歳で早くもイングランドの名門リヴァプールに移籍します。
2011年、16歳でFAユースカップのサウスエンド・ユナイテッド戦で5ゴールを記録。才能に満ち溢れていますね。
2012年ウィガン戦でプロデビューを飾ります。17歳と107日はリヴァプールで2番目に若いデビューとなりました。
当時の監督は現レスターのブレンダン・ロジャーズ。2013-14シーズンには早くもポジションを確保します。
ルイス・スアレス、ダニエル・スタリッジとラヒーム・スターリングはSSSトリオと呼ばれゴールを量産、チームの優勝争いに貢献します。
リーグ戦3人で62得点しています。恐ろしい数字です。
当時の印象はルイス・スアレスとダニエル・スタリッジ+若武者といった感じでしたね。
また、ルイス・スアレスというスーパーなワールドクラスの選手に出会って彼の意識はより上がります。
しかし、スアレスは、リヴァプール暗黒の2014-15シーズン中に契約延長のオファーを二度拒否し、ついには2014-15シーズン終了後の移籍を希望しました。
リヴァプールはラヒーム・スターリングの価値をわかっていたので20歳では破格の年棒を用意していました。
しかしラヒーム・スターリングには野心があって、プレミアのタイトルやチャンピオンズリーグを取りたかったのです。
アーセナルやチェルシー、バイエルン、レアル・マドリードなどが獲得に興味を示したと報じられていました。
イングランドは忠誠心を大事にするお国柄です。お金に目がくらんでというイメージがついてしまいます。
怒り心頭の一部のリヴァプールサポーターによって、スターリングやそのファミリーへの脅迫や人種差別が相次ぎ、警察が捜査に乗り出す事態に発展しました。
しかも、リバプールだけでなくイングランドにまで波及、当時のチェルシーファンに人種差別を受けているほどでした。
結局マンチェスター・シティの移籍がラヒーム・スターリングにダークな印象を与えることになりました。
それでも、ラヒーム・スターリングはインタビューでもリバプールには特別な思いがあることを語っています。
マンチェスターC マンチェスターCでペップに出会う
紆余曲折がありながらも2015年7月、プレミアリーグのマンチェスター・シティへ完全移籍することが発表されます。
契約期間は2020年6月30日までの5年間で、ユニフォームナンバーは7番。
英紙『ロンドン・イブニング・スタンダード』によると、ボーナスを含めた移籍金は4900万ポンド(約94億2000万円)と報道。
これは当時のイングランド人史上最高額です。
ダークな印象がつくことでプライベートもマスコミにたたかれはじめます。
それでも2015年10月、第7節のAFCボーンマス戦でデビュー後初のハットトリックを達成。
しかし、プレーの内容は芳しくなく移籍金の額に見合う働きを見せられないまま2015-16シーズンを終えます。
リバプール時代よりパフォーマンスが落ちているように見えていました。
そして、当時の監督ペジェグリーノ監督は2016年2月、シーズン中にも関わらず契約満了をもっての退任が決定してしまいます。
ラヒーム・スターリングにとって監督解任が大きな転機となりました。
後任のグアルディオラ監督が指導しているエピソードを本人が語っている。
その最たる例は、スペイン人指揮官が導入した細かすぎる罰金制度だという。
「以前から聞いてはいたけど、ペップが持ち込んだ罰金の習慣は本当に事細かなところにまで及んだ。それらすべてをここで話すわけにはいかないけど、あの厳しい規律によってメンタルが鍛えられた部分が多分にあるし、日々の生活のなかでなにが大事で、チームの一員としてなにが求められているのかをよく理解した。練習やミーティングに遅刻しちゃいけない。当たり前のことだけど、そこの価値観をチームのみんなで共有して正しい方向に向かわせる。そうそうヘマはできなくなったよね、カッコ悪いから(笑)」
ラヒーム・スターリングが曰くに8歳からの練習ぐらいのことを細かく指導をされていると語っています。
細部まで細かく突き詰めることがラヒーム・スターリングにとってもワールドクラスへの階段となっていきます。
ラッキーチャンスや簡単なゴールを外す事が改善され完全に一皮むけていきます。
2017年11月、第14節のサウサンプトン戦では終了間際に得点を決めて12連勝に貢献、プレミアリーグでは18ゴールを決めるなどシティの優勝を助けました。
2019年、シーズンの活躍が評価になり、FWA年間最優秀選手賞を受賞しています。
またFAカップ決勝のワトフォード戦では2ゴールの活躍で優勝に貢献、リーグ、リーグカップ、FAカップと国内3冠獲得に貢献します。
国内のタイトルはすべて獲得することになり、イングランド国内でもラヒーム・スターリングは実力で否定的な意見がなくなっていきました。
2019-20シーズンの初戦となったウェストハム戦でハットトリックを達成しチームを勝利に導き、CLのアタランタ戦でもハットトリックの活躍で5-1での勝利に貢献します。
しかし、準々決勝のリヨン戦では、1-2とリードを許す中、がら空になっていたゴールに触るだけのイージーなシュートを外してしまい、チームはCL敗退してしまいます。
しかし、ラヒーム・スターリングの評価は上がり続けています。
ペップとの出会いでもはやリバプール時代の快速ウインガ―から万能なアタッカーになりました。
イングランド代表 スケープゴートからヒーローへ
イングランド代表として各年代でプレーし、2011年FIFA U-17ワールドカップに出場。
2012年11月のスウェーデン戦で17歳の若さでA代表初出場を果たしました。順調な代表経歴だといえます。
しかし、2016年EURO残念な結果になります。
マンチェスター・シティ移籍の悪いイメージ故か、ラヒーム・スターリングはスケープゴートにされてしまいます。
一例として右足のふくらはぎに施された、多くの誤解を生んだカラシニコフ(銃)のタトゥー。
しかし、ラヒーム・スターリングにとっては、父親を殺した銃には絶対に触れないという決意の現われであり、非常に意味のあるものです。
2018年FIFAワールドカップでは6試合に出場したが、度重なる決定機にも1ゴールも奪えず批判を受けます。
しかし、彼のプレイは対戦相手には脅威を与えていたのは明らかでした。
2019年3月、UEFA欧州選手権2020・予選のチェコ戦で代表では初のハットトリックを達成。
今やイングランド代表のワールドクラスの一人であり、ハリー・ケインとの2トップは脅威になっています。
ラヒーム・スターリングのプレースタイル・特徴
高速ドリブラー‘ラヒーム・スターリング‘
ラヒーム・スターリングの特筆すべき点は高速ドリブルです。
狭いスペースを切り裂くスピードのあるドリブルや細かいタッチのテクニカルなドリブルなどで相手をかわしチャンスを作ることに加え、裏への抜け出しも秀逸です。
抜け出してしまえばラヒーム・スターリングのスピードにはついていけません。
ボールを持つときと持たないときどちらも怖い存在です。対戦相手からすると非常に厄介な選手に成長しました。
最近のスターリングはSBと対面した時、右にカットインとはちょっと違う、右から完全にかわし切ってエリア内に入っていくドリブルが見られるな。相手SB棒立ちで見てて気持ちが良い。
— メガネな鬼 (@Mr_JaLittmncity) February 22, 2021
最近のスターリングはSBと対面した時、右にカットインとはちょっと違う、右から完全にかわし切ってエリア内に入っていくドリブルが見られるな。相手SB棒立ちで見てて気持ちが良い。
— メガネな鬼 (@Mr_JaLittmncity) February 22, 2021
ポリバレントな選手に。万能なポリバレントなアタッカー
ラヒーム・スターリングは攻撃的なポジションを複数できる選手でありながら、ゴール前でのポジショニングの良さも光る選手。
敵陣深い位置での攻撃ではゴール前にフリーでポジションをとり、味方のパスに合わせるワンタッチゴールも目立ちます。
味方を追い越す動きであったり、空いたスペースへの的確なランニングでボール受けゴールを奪うシーンもあり、受ける位置を考えながらプレーができます。
もともとオフザボール時のポジショニングは良い選手でしたがグアルディオラ監督になってからより向上しました。
前線であればウイングはもちろん、トップ、トップ下と全てにおいて機能する選手です。
スターリングみたいな高レベルでポリバレントな選手いるかなと思ったらリバポにGK以外全てのポジションでプレー可能な期待の若手がいたのを思い出した
— ちーろ (@CitizenGabi09) September 6, 2019
スターリングみたいな高レベルでポリバレントな選手いるかなと思ったらリバポにGK以外全てのポジションでプレー可能な期待の若手がいたのを思い出した
— ちーろ (@CitizenGabi09) September 6, 2019
カットインからのシュート、その名もスターリングゾーン
何といってもラヒーム・スターリングは、特にサイドから内側に切り込んでからのシュート(カットインシュート)はスターリングの得意なプレーです。
左ウイングで起用された場合は聞き足である右足を振り抜き、高い精度のシュートを放ちます。
またサイドからペナルティーエリアの深い位置に切り込んでゴール前の味方にパスを出し、ゴールをアシストするシーンも見られます。
選択肢のあるスターリングゾーンといえるでしょう。
スターリングはほんとあのボディフェイント入れながらのカットイン上手いよな
— 一般しちずん (@maszoe_) February 21, 2021
スターリングはほんとあのボディフェイント入れながらのカットイン上手いよな
— 一般しちずん (@maszoe_) February 21, 2021
守備での献身性
攻撃において魅力が満載のスターリングですが、守備においてもハードワークできる献身性もしっかり備えています。
フォワードなので、基本的には攻撃時に敵陣のゴールライン際まで進入し、なおかつ、チームがボールを失った後は自陣の深い位置までボールを奪い返しに戻る選手です。
豊富なスタミナがあるからこそ可能なのでしょうが、なにぶん足が速いラヒーム・ス
ターリングですからカウンターする相手も追いかけられて嫌でしょう。
(失点は明らかにトーレスの守備意識なんだよなぁ…スターリングやと引いてくれてるよな…ってよぎったでしょシチズンもシティファンも)
— パピコ (@PapicooJP) February 27, 2021
(失点は明らかにトーレスの守備意識なんだよなぁ…スターリングやと引いてくれてるよな…ってよぎったでしょシチズンもシティファンも)
— パピコ (@PapicooJP) February 27, 2021
特徴的な走り方 おかま走りなスターリング
ラヒーム・スターリングは抜群のスピードを持っているのはご存じの通りです。
リバプール時代はプレミアリーグで最も速い選手でした。
それ以上に特徴的な走り方(おかま走り)をすることで有名です。
余談ですがおかま走りで似ているのは元オランダ代表ロッベン選手ですね。
また、あまり見かけないハンドバックを持ちながら走っているようにも見えます。
ラヒーム・スターリングが自身の走り方について答えています。
昔、弟の運動会で母親が走る姿をみて、自分のルーツが分かったそうです。母親の走り方と非常に似ていると。
ちなみにラヒーム・スターリングのお母さんはジャマイカの陸上チームに所属していて、遺伝をいうことが推測できます。
このおかま走りはまさしくスターリング
— あいすまん🦈 (@kriceman4_cccj) September 13, 2017
このおかま走りはまさしくスターリング
— あいすまん (@kriceman4_cccj) September 13, 2017
ラヒーム・スターリングの戦術理解度アップについて
ラヒーム・スターリングはペップ監督の指導でさらに1段階上の選手になりました。その要因の一つに戦術理解度が挙げられます。ここではそこを掘り下げていきましょう。
ラヒーム・スターリングはペップ監督に指導を受けたことでドリブラーからアタッカーに変わっています。
リバプール時代に現レスター監督ブレンダン・ロジャーズも「優れた学習能力が彼の武器だ」と評価されています。
実際リバプールでスアレスと一緒にプレイしてその違いを学んでいます。
当然グアルディオラ監督の緻密な指導を吸収していったのは明白です。
グアルディオラ監督はヨハン・クライフのサッカーを継承し、もはやクライフのサッカーを超えて美しい。
グアルディオラ監督にとってウインガ―はそういう意味で非常に思いのあるポジションなのです。
ウインガ―はタッチライン際でスパイクが真っ白になるまで何度も開くことが必要だと答えています。
そしてラヒーム・スターリングのフィジカルや、ポリバレントな能力、賢さはペップの緻密な戦術理解に専念できる事も要因でしょう。
だからラヒーム・スターリングほど様々なポジションでグアルディオラ監督に起用されてはいない事実があります。
2017~18年シーズンに彼はスターリングを右ウィングで25回起用し、左ウィングで10回起用。
2018~19年になると、左サイドが22回、右が15回、トップ下と中盤が1回ずつとなり、センターフォワードでは8回。
グアルディオラが戦術を準備する際の異常な細心さを考慮すれば、彼はスターリングの戦術理解力に最大限の信頼を置いていると言えます。
その戦術理解度アップすることによってペナルティエリア内での選択肢が増えていることがわかります。
カットインからシュートだけでなくそこからアシストややり直し変幻自在になりました。
ラヒーム・スターリングの今後について
最後にスターリングの未来について述べていきます。マンチェスターシティでビックネームになった彼の今後はどうなっていくのでしょうか?
マンCでの今後の活躍
2021年3月現在圧倒的な強さでプレミアリーグ首位に位置しています。おそらく、プレミアリーグ5回目の戴冠は近いといえます。
ラヒーム・スターリングに関して言えば、チャンピオンズリーグを何としても取りたいのではないでしょうか。
プレミアリーグ、リーグカップ、FAカップはシティで優勝しています。
しかし、チャンピオンズリーグをもしとった場合、彼自身移籍を考えてもおかしくない。
彼のクラブキャリアとして事は非常に大事な年です。
イングランド代表での今後の活躍 イングランド代表でのワールドカップ優勝へ
今やイングランドが世界に誇る25歳のアタッカーは、圧倒的な加速力と抜群のボールテクニックを武器に守備者を翻弄し、何でもないところから決定機を数多く作り出せる存在。
近年はオフザボールの動きに磨きがかかり得点力も著しく向上するなど、いよいよ手が付けられなくなってきた。
2012年にイングランド代表デビューを果たしており、まだ25歳ながら通算50試合以上に出場しています。
ロシアワールドカップでは不発に終わったものの、EURO予選ではその鬱憤を晴らすかのように7試合で8得点6アシストと爆発。
攻撃のすべてを司る万能なアタッカーになりました。
今後ロナウドやメッシクラスの選手になるか期待です。
移籍の噂・ステップアップについて マンチェスター・シティにいつまでいるのか?
2021年3月現在契約は2023年夏まで残っています。
今や名実ともにビックネームになったラヒーム・スターリング。
ちなみにラヒーム・スターリングは以前スポーツメーカーのナイキと契約を結んでいるが、新たにアディダスと契約。
アディダスとの契約受けてイングランドでは、ラヒーム・スターリングが今後スペインへ渡る可能性があると報じてます。
そのアディダスはレアル・マドリードのユニフォームも務めています。
2003年にマンチェスター・Uから移籍したベッカムの契約にも関係していた模様です。
当時、ベッカム個人もアディダスと契約を結んでおり、ラヒーム・スターリングもベッカムと同じ道を辿るのではないかと噂されています。
この流れで行くとレアル・マドリードがなんてこともありそうですが、コロナで移籍市場自体が大きく変わってしました。
2022年の契約残り1年になったときもっと具体的な答えがみえてくるでしょう。
マンチェスター・シティ残留かレアル・マドリ―ドへ行くかです。
余談ですが、ちなみに彼のアイドルはクリスティアーノ・ロナウドです。
今後のラヒーム・スターリングの移籍情報に期待です。