世界に羽ばたくメイソン・マウントの経歴・プレースタイルを徹底解剖

チェルシーのレジェンド フランク・ランパードの後継者として注目されている選手をご存じだろうか。

エデン・アザールという絶対的エースの移籍、補強禁止処分、監督交代、様々なアクシデントが重なり先行きを不安視されていた2019-20シーズンのチェルシーにおいて、大車輪の活躍を見せ、プレミアリーグ4位フィニッシュ、来季のCL権獲得という下馬評を覆す結果に貢献したのがメイソン・マウントだ。

ダイナミックなプレーと中盤でのゲームメイク、得点能力を高いレベルで兼ね備えた、まさにランパードを彷彿とされる選手だ。

そして、ブレイクシーズンのチェルシーを指揮していたのが選手を引退したばかりのランパードだったということも、運命的なものを感じる。

続く2020-21シーズンは成績不振もありランパード監督はチェルシーを去ったが、世界屈指の監督であるトーマス・トゥヘル監督の就任が決まっている。

トゥヘルの下でも着実に出場機会を得ており、高い評価を得ていることが伺える。

今回の記事では、チェルシーの将来を担う中盤アタッカーメイソン・マウントのこれまでのキャリアとプレースタイル、特徴、さらには今後の展望についても考察を交えて紹介していく。

本記事を通してマウントについての理解を深め、今後の活躍にも注目して見てほしい。

メイソン・マウントのプロフィール

生年月日 1999年1月10日
国籍 イングランド
出身 ポーツマス
身長 178㎝
体重 70㎏
利き足
ポジション MF
背番号 チェルシー:19
イングランド代表:20、19、18、17等
タイトル ・チェルシーユース
U18プレミアリーグ:2016-17
FAユース杯:2015-16, 2016-17
UEFAユースリーグ:2015-16
・チェルシー
FA杯準優勝:2019-20
・イングランドU19
UEFA U19欧州選手権:2017
・個人
チェルシー年間最優秀アカデミー選手:2016-17
UEFA U19欧州選手権ベストイレブン:2017
UEFA U19欧州選手権ゴールデンプレイヤー:2017
エールディヴィジ月間最優秀選手:2018/1
フィテッセ年間最優秀選手:2017-18
エールディヴィジ年間ベストイレブン:2017-18

メイソン・マウントの経歴

本章では、フランク・ランパードの後継者として注目が集まるメイソン・マウントのプロ入り前から現在までの軌跡を振り返る。現在チェルシーの中盤を支える若手MFはどのようなキャリアを歩んできたのか。ぜひ注目して見てほしい。

地元ポーツマスで育った幼少期

メイソン・マウントは1999年1月10日、イングランドのハンプシャー州南部ポーツマスで生まれた。ポーツマスはイングランド有数の港湾都市で貨物船や旅客船等が盛んに行き交う商業都市だ。また、イギリス海軍の拠点でもある。

マウントの父親は地元のアマチュアクラブで選手権監督をしていた。父の影響もあり、マウントは4歳の頃から地元の6歳以下のリーグでサッカーを始めた。また、同時にポーツマスとチェルシーのアカデミーにも週1日通い、トレーニングを行うというサッカーの英才教育を受けてきた。

そして、2005年6歳の時に、イングランドの強豪チェルシーアカデミーへの入団を決意した。

チェルシーユースを駆け上がる

幼少期から非凡な才能を持っていたマウントは、チェルシーのアカデミーでも存在感を見せつけ、順調にユースカテゴリーを駆け上がった。

14歳からチェルシーU18の試合に出場し、ユースでのキャリアを歩む。2016-17シーズン、17歳でチェルシーU18とU21の両チームでプレーし、公式戦30試合に出場10ゴールを挙げた。同シーズンの活躍を受け、2017年7月にマウントはチェルシーと新たに4年契約を結んだ。

オランダでの武者修行

競争の激しいチェルシーユースでも中心選手として活躍し、チェルシーと4年の長期契約を結んだマウントは、よりハイレベルな環境でのプレーを求めてオランダ1部リーグのフィテッセへのローン移籍を選択。フィテッセでの背番号は19を選んだ。

フィテッセ加入後、8月のAZアルクマール戦で後半途中に投入され、プロデビューを飾った。同シーズンの10月にはユトレヒト戦でプロ初ゴールを記録した。

2017-18シーズン終盤のエールディヴィジ欧州プレーオフ準決勝1stレグADOデンハーグ戦では自身初となるハットトリックを達成。

フィテッセでは、シーズン序盤こそ出場機会を得られずに苦しんだが、徐々にチームの信頼を獲得しレギュラーを勝ち取った。

最終的には公式戦39試合に出場し14ゴール10アシストを記録し、クラブの年間最優秀選手賞とエールディヴィジの年間ベストイレブンを獲得。プロデビュー1年目からセンセーショナルな活躍を見せた。

“監督”フランク・ランパードとメイソン・マウントの共演

2018年夏、フィテッセで充実したシーズンを過ごし、ローン期間を終えたマウントに声をかけたのが、当時イングランド2部のダービーカウンティで監督キャリアをスタートさせたチェルシーのレジェンドフランク・ランパードだった。

フランク・ランパードは自身の監督キャリア1年目を、自身の後継者として期待されているメイソン・マウントと歩みだすことを熱望した。

マウント自身も、尊敬するクラブレジェンドからの声掛けということもあり、2018-19シーズンの活躍の場をイングランド2部ダービーカウンティに移すことを決意した。

ダービーカウンティでは、ランパード監督の下、レギュラーとして起用された。背番号もランパード監督がチェルシーでの現役時代に着けていた8番を着用。

2018年8月のレディング戦で約60分間プレーし、チームデビューを果たし、2-1の勝利に貢献した。同シーズンのチャンピオンシップボルトンワンダーランズ戦では自身2度目となるハットトリックを達成。

シーズン中盤にハムストリングを負傷し、長期離脱を強いられたが、最終的には、公式戦44試合に出場し11ゴール4アシストを記録した。

チームはイングランド2部リーグを6位で終え、昇格プレーオフ決勝まで進出する活躍を見せた。残念ながらプレーオフ決勝で敗れ、1部リーグ昇格は叶わなかったが、ランパード監督1年目としては上々の結果を残した。そして監督が求めるサッカーの重要なピースとしての役割を果たしたのが、ランパードの後継者として期待されているメイソン・マウントだった。

チェルシーでレギュラーを掴む

2019-20シーズン開幕前のチェルシーは多くの問題を抱えていた。

それまでチームを牽引してきた絶対的エースエデン・アザールの退団、成績不振によるサッリ前監督の解任、移籍規約違反によるFIFAからの補強禁止処分。

このようなアクシデントが多発していた状況下、チェルシーがチームの立て直しのために声をかけたのが、前シーズンに監督デビューを果たし、ダービーカウンティを昇格プレーオフ決勝まで引き上げた、チェルシーのレジェンドフランク・ランパードだった。

そして、ダービーカウンティでランパードの下、中心的な役割を担っていたマウントもチェルシー復帰を果たした。ローン先での活躍もあり、2019年7月には新たに5年間の長期契約を結んでいる。チェルシー復帰後の背番号は、フィテッセでも着用していた19番を選択した。

マウントは、2019-20シーズン開幕戦アウェイのマンチェスターユナイテッド戦で早速チェルシーデビューを飾る。残念ながらチームは0-4で敗れたが、続くレスターシティ戦ではチェルシーでのホームデビューを飾り、チームのシーズン初ゴールを記録、その次のノリッジ戦でもゴールを挙げるなど、マウント自身はチェルシーで鮮烈なスタートダッシュを見せた。

コロナパンデミックでのシーズン中断もあり、難しいシーズンだったが、補強禁止処分の中若手の躍進もありチェルシーはプレミアリーグを4位で終え、来季のチャンピオンズリーグ出場権を得た。チェルシーデビューシーズンから公式戦53試合に出場し、8ゴール6アシストの記録を残した。マウントはチェルシーアカデミー出身でデビューシーズン50試合以上出場を果たした最初の選手となった。

続く2020-21シーズン、FIFAからの補強禁止処分が明けたチェルシーは、約362億円をつぎ込んでティモ・ヴェルナーやカイ・ハフェルツ、ベン・チルウェル等の大型補強を実行した。マウントは競争が激化した今シーズンもレギュラーとして定着し、出場機会を確保している。さらに、1月のFA杯ではキャプテンマークを巻いてプレーするなど、チームでも中心的な選手となった。

シーズン途中には成績不振やクラブ上層部との衝突もあり、ランパード監督がチームを離れたが、チェルシーは後任として世界屈指の実力者トーマス・トゥヘルを招聘した。監督交代後も、着実に出場機会を獲得し、徐々に新監督の信頼も獲得している。

ここまで公式戦に34試合に出場し5ゴール6アシストを決め、昨年のデビューシーズンを上回るペースで得点に関与している。今後も活躍からも目が離せない。

イングランド代表でもこれからの活躍に注目が集まる

ここまでは、メイソン・マウントのクラブでの活躍について言及してきたが、最後にクラブでの活躍についても触れていきたい。

幼少期からの非凡な才能とアカデミーでの努力が実り、順調にスター街道を歩んでいるマウントにはもちろんイングランド代表も注目している。

イングランドU17からU19までのそれぞれのユースカテゴリーにも選出されるなど、若い時期から代表でも活躍を続けてきた。2017年のUEFA U19欧州選手権にも出場し、決勝でのゴールをアシストする等、イングランドU19の欧州選手権制覇に大きく貢献した。自身はこの大会で、UEFA U19欧州選手権ベストイレブンとUEFA U19欧州選手権ゴールデンプレイヤーに選出されている。

続く、2019UEFA U21欧州選手権でも代表に選出されている。

イングランドA代表のサウスゲート監督は、2018年W杯に向けたトレーニングに、フィテッセでブレイクしていたマウントを招聘した。

その後の2018年UEFAネーションズリーグでは、初めて代表に選出される。そして、2019年9月EURO予選のブルガリア戦に後半途中出場でA代表デビューを飾った。続く11月のコソボ戦で代表初ゴールもマークしている。

近年のイングランド代表ではアタッカーのタレントが充実しており、マウントはマディソン(レスター)、グリーリッシュ(アストンヴィラ)、フォーデン(マンC)、デレアリ(トッテナム)等のワールドクラスの選手とポジションを争っている。

サウスゲート監督からの評価は高く、EURO予選では出場機会を獲得しているが、ライバルとの競争次第では、その地位は絶対的なものではない。

ただし、ここまで述べてきた通りマウントはイングランドのレジェンドフランク・ランパードの後継者としても注目を集めるほどのポテンシャルを秘めている。

今後もクラブで活躍を続け、成長していくことでイングランド代表にとっても欠かせない選手になっていくだろう。

なにより、マウントはまだ22歳と若い。今後の成長にも注目だ。

メイソン・マウントのプレースタイル・特徴

チェルシーアカデミーでの下積み、オランダリーグ、イングランド2部でのローン時代での飛躍を経てチェルシー復帰を果たしたメイソン・マウント。チェルシー復帰後も中心的な活躍を見せ、チームを牽引しているこの選手の強みは何なのか。

本章では、メイソン・マウントのプレースタイルや特徴について、3つの視点から紹介していく。
この章を読めば、メイソン・マウントがランパードの後継者と評される理由が理解できるだろう。

非の打ち所がない万能型MF

メイソン・マウントは攻撃的MFを主戦場としているが、両ウイングやCMFとしても高い能力を見せている。178cm、70kgというイングランド人としては一般的な体型ではあるが、プレミアリーグでも当たり負けしないフィジカルも兼ね備えており、攻守でのフィジカルを活かしたプレーも多い。

ドリブル、パス、シュートすべての能力が高く、豊富な運動量で攻守に絡む。非の打ち所がない万能型のMFだ。そのプレースタイルは、まさにチェルシーで長年活躍したランパードのものと類似している。

高い攻撃センスからのチャンスメイク

メイソン・マウントの1番の強みは抜群の攻撃センスとチャンスメイクだ。

トップ下やインサイドハーフでの起用がメインだが、その攻撃センスからより攻撃的なウイングでの起用にも応えている。

正確なパスと創造性を駆使した中盤でのゲームメイク、前線への決定的なラストパス、ボックス外からのミドルシュート、2列目からの飛び出し、的確なポジショニング等、様々な武器を駆使して相手ゴールに襲い掛かる。

ウイングで起用されれば、精度の高いドリブルとフィジカルを活かしてサイドを突破し、パスやクロスで決定的なシーンを演出する。積極的な攻撃が魅力な選手だ。

プロデビューのフィテッセでは14ゴール10アシスト、イングランド2部のダービーカウンティでは11ゴール4アシストと、MFとしては十分すぎるほどに得点に絡んでいる。

シンプルで精度の高いプレー

上記でも述べた通り、メイソン・マウントの魅力は、パス、シュート、ドリブル等、すべての精度が高い点である。ただし、テクニックはあるものの、派手なプレーを好むタイプではない。

マウントのプレースタイルは基本に忠実でシンプルだ。

両足から繰り出される正確なキックを活かして、中盤でのゲームメイクや、前線でのチャンスメイクを行っている。また、的確なポジショニングで味方からボールを受ける機会も多く、チームの中心的な役割を担う。

派手さは少ないが、マウントのプレーに集中すればその技術力の高さがわかるだろう。

メイソン・マウントの今後について

最後に、メイソン・マウントの今後の展望について、クラブ、代表、移籍情報それぞれについて考察していく。有望な若手だけに、将来の可能性は広い。ぜひ、一緒にマウントの今後について考えてみてほしい。

チェルシーの逸材、メイソン・マウント

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チェルシーの下部組織出身で、長年クラブで活躍を続けたのは、黄金期のDFジョン・テリーくらいだろう。これまでのチェルシーと言えば若手の育成よりも、他クラブから完成された選手を引き抜いて強いチームを作るイメージが強い。そんなチェルシーにおいて、生え抜きでトップチームの中心選手に成長したマウントに対するファンの期待は大きい。

フィテッセ、ダービーカウンティでの活躍を評価したチェルシーは2019年夏にマウントと5年間の長期契約を結んだ。これは、クラブの同選手に対する期待の証だろう。

多くのファンはそのプレースタイルから、同クラブのレジェンドフランク・ランパードのように、今後のチェルシーの象徴となる選手に成長することを期待しているのではないだろうか。

マウントの将来性については、サッカー界の各方面からも色々な声が上がっている。

歴代最多となる6回のバロンドール受賞を誇るリオネル・メッシは、英メディア『デイリー・メール』のインタビューで、世界最高になれる選手の1人として、マウントの名を挙げている。

インタビュー内でメッシは、「彼のプレーを見たが、彼は世界最高の選手の一人になる可能性を秘めている」というコメントを残した。

現世界最高が認める選手。将来的にバロンドールの候補に名を挙げる可能性も十分にあるだろう。

イングランド代表について

マウントはイングランドの各ユースカテゴリーでも選出されており、2019年のEURO2020予選でA代表デビューを飾った。A代表でのキャリアはまだまだ少なく、定位置を確保できているわけではない。

さらに、近年イングランド代表はタレントの宝庫となっており、攻撃的な中盤で言えば、マディソンやグリーリッシュ、デレ・アリ、フォーデンらがいる。ウイングではスターリングやラッシュフォード、サンチョ等のタレントを抱えており、ポジションを争うライバルが多い。

今後控えるEURO2020やW杯での出場についても、今後のクラブでの活躍が大事になってくる。

クラブでは主力として活躍しており、将来性も申し分ないだけに、代表で活躍する姿を期待するファンも多いだろう。

移籍などの情報

マウントは2024年までの契約を残しており、年齢も若く、チェルシーのアカデミー出身ということもあり、市場価格は非常に高い。移籍を考えるのであれば、チェルシー以上のビッククラブになるだろうが、現状他のクラブからの獲得の噂は聞こえてこない。おそらくチェルシーとしてもこのタレントを手放すつもりはないだろう。

2020年の夏に大型補強を実行し、ティモ・ヴェルナーやカイ・ハフェルツ、ハキム・ツィエフ等の攻撃的な選手を加えた際には、マウントの出場機会減少が懸念され、一部のメディアではチームの姿勢に不満を持っていると報道されたが、マウント自身がそれを否定している。

さらなる競争の激化にもポジティブな姿勢だ。世界屈指の実力者達との競争に勝てるか、トゥヘル新体制でも信頼を勝ち取ることができるか、今シーズンはマウントの真価が問われるだろう。

ぜひ、今後のチェルシーとマウントの活躍に注目してほしい。