クロアチアの天才マテオ・コヴァチッチのプレースタイル徹底解剖

若くして活躍を見せクロアチアの天才と呼ばれたチェルシーFC所属、クロアチア代表のマテオ・コヴァチッチ。若くして才能を開花させた彼は16歳でプロサッカー選手としてデビューを果たした。ビッグクラブを渡り歩き活躍してきた彼にはどのような特徴があるのか。今回は、そんなマテオ・コヴァチッチの生い立ちから歩んできたキャリア、クロアチア代表としての活躍、プレースタイルまで徹底的に解剖していく。

マテオ・コヴァチッチのプロフィール

 

生年月日 1994年5月6日
国籍 クロアチア、オーストリア
出身 リンツ(オーストリア)
身長 176㎝
体重 77㎏
利き足
ポジション MF
背番号 チェルシー:17
クロアチア代表:8
タイトル ・NKディナモ・ザグレブ
プルヴァHNL:2回 (2010-11, 2011-12)
クロアチア・カップ:2回 (2010-11, 2011-12)
・レアル・マドリード
UEFAチャンピオンズリーグ:3回 (2015-16, 2016-17, 2017-18)
UEFAスーパーカップ:2回 (2016, 2017)
FIFAクラブワールドカップ:2回(2016, 2017)
プリメーラ・ディビシオン:1回(2016-17)
スーペルコパ・デ・エスパーニャ:1回(2017)
・チェルシーFC
UEFAヨーロッパリーグ :1回(2018-19)
・個人
クロアチア年間最優秀若手選手:1回 (2011)

マテオ・コヴァチッチの経歴

今やチェルシーFCに欠かせないし選手となったマテオ・コヴァチッチだが、どのようなサッカー人生を歩んできたのか。彼ののキャリアを追っていく。

サッカーに夢中な少年時代。運命を変える出来事が起こる

1994年5月6日オーストリアのリンツで誕生したマテオ・コヴァチッチ。サッカー好きであった母親の影響でサッカーを始めると、日に日にサッカーに夢中になり、いつしかヨーロッパのビッグクラブでプレーすることを夢見るようになった。

6歳の時に地元のLASKリンツのアカデミーに所属しサッカーと真剣に向き合う毎日を過ごす。ある時、チャンピオンズリーグの試合でリヴァプールFCが彼の地元で試合をすることになった。当然試合を観戦した彼は、チャンピオンズリーグの試合後、当時リヴァプールFCのレジェンドであったスティーブン・ジェラードに手を振りアピール。しかし大勢の人ごみの中、気づいてもらうことが出来ず幼いマテオ・コヴァチッチはショックを受けてしまう。この出来事以来、マテオ・コヴァチッチはプロになり、スティーブン・ジェラードとの再会を望むようになった。その決意は固く、プロサッカー選手を目指し、より一層努力をすることとなる。

NKディナモ・ザグレブ加入、すぐにその才能を見せつける

真剣にサッカーに取り組むマテオ・コヴァチッチはその才能を順調に伸ばしていき、2007年13歳になったころには、アヤックスやインテル、ユベントス、バイエルンミュンヘンといったビッグクラブが興味を示す選手までになった。しかし、父親の仕事の都合により、クロアチアへ引っ越すことになると、クロアチアの名門、NKディナモ・ザクレブのユースチームへ加入。ユースチームで3年間を過ごし、その才能を見せつけると、2010年正式にプロ契約。当時の監督は元日本代表監督のヴァヒド・ハリルホジッチであった。

この年の11月にプロデビューを果たすとなんとこの試合で先制点を挙げる。当時16歳だったマテオ・コヴァチッチはリーグの最年少出場と最年少得点 2つの記録を更新する。プロとして2年目となった2011-12シーズンにはレギュラーとしてリーグ戦24試合に出場し4得点を挙げるなど全世界が注目する若手選手となった。

UEFAチャンピオンズリーグでは、レアル・マドリード戦に先発出場。続くオリンピック・リヨン戦では得点を挙げるなど活躍。マテオ・コヴァチッチが在籍した2シーズンの内にリーグ戦、カップ戦2連覇という素晴らしい成績に大きく貢献した。

インテル・ミラノ移籍。ヨーロッパ中へその名を轟かせる

NKディナモザグレブでの活躍が認められると、2013年イタリア セリエAの強豪インテル・ミラノへの移籍が実現する。4年契約で移籍金は1500万ユーロ。19歳であったマテオ・コヴァチッチに与えられた背番号は10番。大きな期待を寄せられていた。

加入後すぐに主力に抜擢されると、コンスタントに試合に出場。持ち前のテクニカルなプレーで攻撃を引っ張り、当時FWを務めていた同年代のマウロ・イカルディと共にインテルの希望と称された。

インテルでは2013-2015の2年間在籍。80試合に出場し、5ゴールを挙げるなど、ヨーロッパのトップリーグでも十分に活躍できる能力を証明した。

インテルで順調にキャリアを積んでいたかに思われたが、チームはUEFA既定のプロサッカークラブの財政健全化を整備するためのファイナンシャル・フェアプレー制度により、マテオ・コヴァチッチの売却を余儀なくされる。

スペインの巨人レアル・マドリード移籍。チーム黄金期の一員に

新天地はスペインの巨人、レアル・マドリードに決まる。新たな環境での挑戦には同じくレアル・マドリードで活躍していたクロアチアの同胞ルカ・モドリッチの後押しがあったと言われている。

加入後は各国の代表選手がひしめく強豪チームがゆえに熾烈なポジション争いがありなかなか出場機会を掴めず、先発出場は8試合に留まるが、出場した試合ではパフォーマンスを見せ、チームのUEFAチャンピオンズリーグ優勝に貢献。自身もマルメFF戦で移籍後初得点を挙げた。

迎えた2016-17シーズンは中盤の怪我人が続出したこともあり出場機会が増えると、ハイパフォーマンスを見せ評価を上げていく。

怪我人の穴を埋める活躍を見せ、UEFAチャンピオンズリーグ連覇を達成。またリーグ優勝も果たし、チームのタイトル活躍に大きく貢献した。2017-18シーズンも開幕から試合に絡むと、中盤のセンターで活躍。

しかし、中盤の怪我人が復帰すると徐々に序列は下がり、モドリッチやクロース、カゼミロといったワールドクラスの選手たちの活躍により、UEFAチャンピオンズリーグ前人未到の3連覇。他、数々の栄光を勝ちとり黄金時代を築くチームとは裏腹にマテオ・コヴァチッチの出場機会は減っていくのだった。

チェルシーFC加入。欠かせない選手へ

レアル・マドリードで3シーズンを過ごしたマテオ・コヴァチッチは、2018年さらなる出場機会を求めプレミアリーグの強豪チェルシーFCへ1年間のレンタル移籍を決断。すぐに定位置を掴むと、中盤の要として欠かせない存在となる。1シーズン目でリーグ戦ほとんどすべての試合の32試合に出場。UEFAヨーロッパリーグの優勝にも大きく貢献し個人としては4年連続でのUEFAクラブ大会優勝を果たした。この活躍が認められ2019年チェルシーFCへ完全移籍したことを発表。

以後、成長著しいヤングチェルシーの中盤を支える重要な選手として活躍を続けている。

クロアチア代表としても中心選手に。2018W杯では大きなサプライズ

若くしてその能力の高さを評価されていたマテオ・コヴァチッチは、U-14のクロアチア代表から各年代の代表に選出されつづけている。

A代表デビューとなったのは2013年のセルビア代表戦。以後クロアチア代表の常連となる。2014年のFIFAワールドカップブラジル大会にも選出されると、チームはグループリーグ敗退に終わってしまうが全3試合に出場した。

迎えた2018年FIFAワールドカップロシア大会でも主力として活躍。グループリーグ突破を達成すると、決勝トーナメントではデンマーク、ロシア、イングランドを撃破すると史上初となる決勝へ進出。決勝ではフランス相手に敗れ準優勝に終わってしまうものの、モドリッチ、ラキティッチらと組んだ中盤は抜群のコンビネーションを見せ下馬評の高くなかったクロアチア代表の決勝進出は大きなサプライズとなった。

マテオ・コヴァチッチのプレースタイル・特徴

どのチームでも活躍を見せてきたマテオ・コヴァチッチ。彼はいったいなぜこれほどまで重宝されるのか。彼のプレースタイルを解剖していく。

最大の特徴であるドリブル

マテオ・コヴァチッチの特徴の一つに高いドリブル能力がある。

中盤のセンターを得意としている選手はどちらかというとパスの能力が重視されドリブラーはサイドを主戦場とするのが一般的ではあるが、ピッチの中央からどんどん前線にボールを運ぶことのできるマテオ・コヴァチッチのプレースタイルは相手チームを混乱に陥れるのだ。

2019年にはデータ上プレミアリーグでもっともドリブルの成功率が高い選手に選ばれその成功率は10回のうちに8回は相手選手をかわすという驚異的なデータを記録した。

 

チームを救う優れたゲームメイク能力

また、キックの精度も高いものがあり、試合の状況に応じたゲームメイクにも定評がある。

視野が広く、サイドチェンジやロングスルーパスが得意で、スペースを見つけては一気にサイドチェンジをしたり、スピードのあるティモ・ヴェルナーなど前線の選手に正確なパスを供給し一気にチャンスを演出する。

得意のドリブルで相手選手を引き付けることで、味方のスペースを作ることもでき、味方を生かす能力も非常に高い。

 

豊富な運動量は大きな武器

マテオ・コヴァチッチは、無尽蔵のスタミナも持っている。

攻撃ではドリブルでボールを運び、時には味方選手のサポートを怠らない。

常に味方選手のパスの選択肢に入るようなポジションに付き、スムーズなボールポゼッションを作り上げる。

守備では、相手選手へのプレスを連続して行うことができ、プレスバックしボールを奪う意識も非常に高い。

ポジション柄、運動量が多く求められるということはあるが、試合終盤までそのクオリティが落ちず、毎試合チームトップクラスの走行距離を記録するマテオ・コヴァチッチは攻守ともに重要なピースなのだ。

 

高い対人能力で守備面でも貢献

対人能力もピカイチだ。

テクニックに優れたマテオ・コヴァチッチだが、中盤での守備でもチームを支える。

強靭なフィジカルを持っているわけではないが、読みを利かせたインターセプトでボールを回収したり、

抜群のタイミングで仕掛けるタックル、決してさぼらないプレスバックでの守備など、

身体能力に頼らない守備でクリーンにボールを回収してみせるのだ。

マテオ・コヴァチッチの今後について

それではここで選手として中堅に差し掛かったマテオ・コヴァチッチの今後について考えていきたい。

目に見える結果を増やし 目指すはチェルシーFCのレジェンド

主に中盤としてピッチ中央でプレーするマテオ・コヴァチッチ。ゲームの組み立てや、味方選手を生かす役割が主なタスクではあるが、試合の出場数の割にゴール、アシストといった試合に直結するデータが少ない傾向にある。

彼が得点数を増やすことが出来れば、自身の評価を高めるだけではなく、チームとしても大きなバリエーションとなる。

また、強烈なミドルシュートでゴールを狙えるようになれば、同じポジションでチェルシーFCのレジェンドであるフランク・ランパードのように更に特別な選手となれるのだ。

クロアチア代表としてヨーロッパ王者へ導けるのか

クロアチア代表としては2021年6月に開催される予定のEURO2021での活躍が期待される。

準優勝に輝いた2018年ロシアワールドカップのメンバーを中心に戦うことが予想されるクロアチア代表は、グループステージはイングランド、スコットランド、チェコと同じグループに入った。

本命はイングランドではあるものの実力は拮抗しており十分グループリーグの突破を狙えるクロアチア代表。

チェルシーFCでさらなる実績を積んだマテオ・コヴァチッチはクロアチア代表をヨーロッパ王者に導くことが出来るのか期待したい。

移籍情報

チェルシーFCとの契約を2024年まで残しているマテオ・コヴァチッチは2021年2月現在、移籍の噂はなく 直近の移籍の可能性は低い。

現状、コンスタントに起用されていることからチェルシーFCにおいても重要な戦力となっている。

 

まとめ

今回は、クロアチアの天才 マテオ・コヴァチッチについて迫ってきた。

若くして活躍を見せて来た彼にはライバルとなる同じポジションの選手と比較しても珍しい独特な個性を持っていることがわかった。

キャリアも中盤に差し掛かったマテオ・コヴァチッチ。ビッククラブへの移籍やワールドカップなどさまざまな経験を積んだ彼の今後の活躍から目が離せない。