2019年に歴代最高額である6200万ユーロの移籍金でトッテナムと契約したタンギ・エンドンベレ。移籍当初こそチームに馴染めずに期待外れの活躍に終わったものの、2021シーズンからはチームの司令塔としてトッテナムの攻撃を牽引しています。対人守備の強さに推進力のあるドリブル、豊富な運動量と中盤の選手に必要な要素を兼ね備えているエンドンベレですが、彼はどんな経歴を歩んできたのでしょうか。ここではタンギ・エンドンベレの経歴とプレースタイルについて詳しく解説します。
目次
タンギ・エンドンベレのプロフィール
生年月日 | 1996年12月28日 |
国籍 | フランス |
出身 | ロンジュモー |
身長 | 181㎝ |
体重 | 76㎏ |
利き足 | 右 |
ポジション | MF |
背番号 | トッテナム:28 フランス代表:6 |
タイトル | UNFP年間ベストイレブン:1回 UEFA CLベストチーム:1回 |
タンギ・エンドンベレの経歴
屈強なフィジカルと華麗なテクニックで中盤を支配するタンギ・エンドンベレは、これまでにどのようなサッカー人生を歩んできたのでしょうか。タンギ・エンドンベレのこれまでの経歴についてみていきましょう。
幼少期・生い立ち、プロ入り前
エンドンベレは1996年12月にフランスのロンジュモーという場所で生まれました。
両親は中央アフリカのコンゴ出身でしたが、安定した生活と子供の未来のためにフランスに移住してきたとのことです。
エンドンベレはフランスですくすくと成長し、6歳にはパリ郊外の地元サッカークラブに入団しました。これが彼のサッカー人生の第1歩となります。
その後は2011年に現在フランス2部のクラブチームであるEAギャンガンの下部組織に入団。コーチが「9年ぶりに見た才能」と言わしめるほどのプレーを見せていたようでしたが、度重なる遅刻や体重オーバーなどが原因でトップチームでの出番は来なかったようです。
アミアンSC
ギャンガンのトップチームに上がれなかったエンドンベレは、2014年に同じくフランス2部のアミアンSCに加入。最初は5部リーグに所属していたアミアンの下部チームでプレーをしていたものの、そこでの活躍が認められて2016年にトップチームデビューを果たします。
そのままエンドンベレはトップチームへ定着。2016/17シーズンにアミアンで30試合に出場し2得点、7アシストを決めるなど活躍し、チームのリーグ・アン昇格に大きく貢献しました。
オリンピック・リヨン
アミアンでの活躍を高く評価されたタンギ・エンドンベレは、2017年8月にリーグ・アンの強豪チームであるオリンピック・リヨンに800万ユーロの移籍金で入団します。
エンドンベレはリヨンでも主力選手として活躍。加入初年度から32試合に出場しその実力を見せつけました。
そして2018/19シーズン、この年はエンドンベレにとって飛躍の年となります。
初出場したUEFAチャンピオンズ・リーグではマンチェスター・シティやバルセロナ相手に印象的な活躍を見せ、リヨンはベスト16で敗退したもののリオネル・メッシやケビン・デ・ブライネなどの名だたるスター選手とともに2018/19のCLベストチーム20人に選出されます。
さらにエンドンベレはリーグ・アンでもシーズンベストイレブンに選出。リヨン移籍当初は700万ユーロだった自身の市場価値も2019年の6月には6500万ユーロにまで急上昇し、欧州移籍市場の人気銘柄となりました。
トッテナム・ホットスパー
2018/19シーズンに印象的な活躍を見せたタンギ・エンドンベレは、2019年7月、マンチェスター・シティやユベントスなどとの争奪戦の末トッテナム・ホットスパーが獲得を発表します。
移籍金はトッテナムのクラブレコードである6200万ユーロ。当時のトッテナムの獲得最高額だったダビンソン・サンチェスが移籍金4000万ユーロだったので、トッテナムがエンドンベレに注いだ熱意の高さがわかります。
鳴り物入りで入団したエンドンベレですが、移籍当初は初のプレリアリーグへの適応に苦労することになります。
2019年11月にモウリーニョが監督に就任してからもエンドンベレの低調なパフォーマンスは変わらず、2020年3月7日のバーンリー戦ではモウリーニョが「中盤の選手がいなかった」と名指しはしなかったもののエンドンベレを酷評。
エンドンベレとモウリーニョの確執が噂され、エンドンベレは1年でトッテナムを去るのではないかとも言われました。
しかし翌2020/21シーズンは昨シーズンとは打って変わって見違えるようなパフォーマンスを発揮します。2020年9月18日のELロコモティフ・プロヴディフ戦で逆転ゴールを挙げるなど徐々にモウリーニョの信頼を勝ち取ると、今までトッテナムの主力選手だったデレアリからポジションを奪取。
主にトップ下のポジションで出場し、司令塔としてチームを牽引しています。
フランス代表
2018年10月、エンドンベレは負傷したトリッソの代役としてフランス代表に初召集されると、2018年10月11日のアイスランド戦で代表初出場を果たしました。
しかし、その後は自身の不調や新型コロナウイルスの感染もあり、出場は6試合にとどまっています。
タンギ・エンドンベレのプレースタイル・特徴
トッテナムではトップ下を主戦場としながら、CDMやインサイドハーフなど幅広いポジションでプレーできるタンギ・エンドンベレ。守備ではハードなタックルでボールを奪い、攻撃では奇抜なアイデアや高い推進力で前線を活性化させるなど攻守にわたって高いレベルでのプレーが行えます。ここでは、タンギ・エンドンベレのプレーをより具体的に解説していきますね。
創造的なチャンスメイク
タンギ・エンドンベレの魅力の一つはチャンスメイクの上手さです。
強靭なフィジカルを持ちながらテクニックにも非常に優れており、密集地帯でボールを受けても足裏でのボールコントロール、ダブルタッチやシザーズなどを駆使して巧みに前を向きます。
まさに創造的、という言葉が似あう選手で、ひとたびボールを持てばまるでボールに魔法がかかったかのような予想外のプレーで我々を魅了してくれるのがエンドンベレの持ち味と言えるでしょう。
またエンドンベレはドリブルだけでなく、あっと驚くキラーパスも出すことができます。
ワンタッチでリズムを作るようなパスはあまり多くないですが、敵のブロックをパス1本で剥がすサイドチェンジなど、「そこを通すのか」と思ってしまうようなパスを1試合で何本も見せてくれます。
とにかくスケールの大きい選手で、ボールを持てば豊富なアイデアと華麗なテクニックで我々を楽しませてくれるのがエンドンベレの大きな魅力でしょう。
エンドンベレの嗅覚やっぱ天才だわ。
ボールに触れるだけでワクワクする。
フランスの選手は創造性があって凄く良い。— ソヌフヌミヌ (@s__o__n____) November 8, 2020
ソンフンミンの決定力とエンドンベレの創造力だけで完結してるな!
— 雨降り△ (@Mob_Character_A) November 22, 2020
豊富な運動量
タンギ・エンドンベレはまさにボックストゥボックスという言葉が似あう運動量が豊富な選手です。
彼が出ているトッテナムの試合を見ていると、相手のペナルティエリアから自陣のペナルティエリアまでいたるところに顔を出しているのがわかります。
守備的MFで出ている試合はもちろん、トップ下のポジションで出ているときでも自陣のバイタルまで戻ってハードなタックルを仕掛け、ロングカウンターの時は全速力で相手のゴールに向かうのだから対峙している相手にとっては非常に厄介な存在でしょう。
豊富な運動量で攻守にわたって大きな貢献をしてくれるのもエンドンベレの大きな特徴です。
エンドンベレの攻守どちらにも貢献するところ、、、、、つよいわ、怖い
— 肉まん @低浮上 (@E6OioiSOYeuLCo8) February 13, 2021
ボールの推進力
タンギ・エンドンベレの1番の特徴といってもいいのが強靭なフィジカルとテクニックを活かしたボール運びです。
自陣の低い位置からでもフィジカルの強さと手足のリーチを活かしてしっかりとボールをキープ。そして華麗な足技を駆使しながらボールを前進されることができます。
ビルドアップに苦労する試合でもエンドンベレがボールを強引に運んで前線にボールを届けてくれるので、チームにとっては非常に頼りになる選手でしょう。
ドリブルの確実性が高いのもエンドンベレの特徴で、2020/21シーズンのエンドンベレは64回のドリブルを行いながらドリブル成功率は76.5%。
この数値は2020/21シーズンにプレミアリーグで50回以上のドリブルを行った選手の中では断トツでトップの数値となっており、いかにエンドンベレが確実性の高いドリブルを数多くこなしているかがわかります。
自陣からボールを強引に運びながらも、ロストが少ないのがタンギ・エンドンベレの大きな特徴です。
エンドンベレの推進力すごかったな
— 白湯(ぱいたん)🌈🐈 (@km_stsbl) January 28, 2021
CAMからCDMまでこなせる万能性
中盤のポジションであれば幅広くこなせるのもタンギ・エンドンベレの特徴。
足下のテクニック、リーチを活かしたクレバーな守備、強靭なフィジカルとどの能力もハイレベルで、トップ下で起用された時は華麗な足技を駆使して前を向きますし、守備的MFで起用されればハードなタックルで守備に貢献し高い推進力でボールを運んでくれます。
実際の試合でも前半はトップ下起用、後半からは守備的MFなど2つのポジションで使われることも多く、どちらのポジションでも素晴らしい活躍を見せてくれるので監督の立場としてもありがたい選手なのではないでしょうか。
タンギ エンドンベレ
フィジカル強いし、独特のタイミングからのドリブルも良いし、なんて言ったって鋭い縦パス。これで一気にチャンスの局面にしてくれる。ミドルも打てるから得点も期待できる。こんな万能MFいないぜ #俺のUCL神推し— UC (@UCOYSpurs) September 12, 2019
タンギ・エンドンベレの今後について
攻守に絶大な存在感を見せてくれるタンギ・エンドンベレは、まだ24歳になったばかり。今後よりプレーの精度が上がってくれば、世界有数のMFになることも夢では無いでしょう。タンギ・エンドンベレは、今後どのようなキャリアを歩むことになるのでしょうか。
トッテナムについて
タンギ・エンドンベレは2019年にトッテナムにやってきて、6年の契約を交わしています。
移籍初年度である2019/20シーズンはリーグ・アンとプレミアリーグとの試合の激しさに戸惑い、適応に苦しんだようですが、翌2021年にはプレミアリーグの激しさにも適応。
今までデレアリが担っていた攻撃にアクセントを加える役割をこなし、モウリーニョからの信頼を勝ち取りました。
こうしてトッテナムの主力選手となったエンドンベレですが、彼はまだ24歳。秘められたポテンシャルは絶大で、よりスケールの大きい選手になる可能性を秘めています。
これからエンドンベレに求められるものはパス、そしてフィニッシュの精度を向上させることでしょう。
特に現在のトッテナムは攻撃の最後の部分をケインとソンフンミンに依存しており、この2人の調子が試合の出来を左右します。
ケインとソンフンミンの次に得点を挙げているのはエンドンベレですが、21試合3得点と数字は少し物足りません。
エンドンベレがパスとフィニッシュの精度を向上することができれば、現在9位に沈んでいるトッテナムを浮上させるきっかけになりますし、エンドンベレとしてもより驚異的な選手へと進化することができるでしょう。
現在もスケールの大きいプレイを見せてくれるタンギ・エンドンベレ。今後の進化にも期待です。
フランス代表について
2018年10月にフランス代表に初召集されたタンギ・エンドンベレですが、世界屈指の層の厚さを誇るフランス代表の中盤になかなか割って入ることが出来ず、新型コロナウイルスの感染なども重なって6試合のみの出場にとどまっています。
しかしいくらフランス代表といえども、エンドンベレほどのスケールの大きい選手をほおっておくことはできないでしょう。
現在の活躍を継続して見せることができれば、再びフランス代表に呼ばれる日も遠くないはずです。
まずは2021年6月に行われるEURO2020で自分の実力を証明し、1年後の2022年W杯には主力選手として出場することを目指したいところです。
移籍などの情報
タンギ・エンドンベレはトッテナムと2025年までの契約を結んでおり、今のところ具体的な移籍情報は出ていません。
しかし2021年2月、トッテナムの前監督であるマウリシオ・ポチェッティーノが監督をしているPSGへ、将来的に移籍する可能性を示唆しました。
パリ郊外出身のエンドンベレにとって、PSGは地元クラブとも言える存在。
今後数年はトッテナムでプレーすると思いますが、再びリーグ・アンに戻る可能性は高いのではないでしょうか。