最高のオールラウンダー・ファンデベークのプレースタイルを徹底解剖

2018-19シーズン、アヤックスの大躍進を覚えている人も多いのではないだろうか。この年、アヤックスはオランダエールディヴィジ優勝、国内カップ制覇、CLではレアルマドリ―、ユベントスを下してベスト4の結果を残した。当時のアヤックスにはフレンキー・デ・ヨング(現バルセロナ)やマタイス・デ・リフト(現ユベントス)、ハキム・ツィエフ(現チェルシー)等の才能あふれるヤングスターが数多く在籍しており、メディアではヤングアヤックスという呼び名で賞賛を浴びていた。そして、今回取り上げるのは、ヤングアヤックスで重要な役割を担い、2020年夏に満を持してマンチェスターユナイテッドへの移籍を果たしたオランダ代表MFドニー・ファン・デ・ベークだ。現在マンチェスターユナイテッドでは、ブルーノフェルナンデスが絶対的司令塔として同じポジションに君臨しており、なかなか活躍の機会を得られていないが、その実力は折り紙付きだ。今後のチームの躍進において、ファンデベークが担う役割は大きいだろう。そこで、今回の記事では、今後の活躍に期待が集まるファンデベークについて、基本情報と経歴、プレースタイル、今後の展望を徹底的に解説していく。

ファン・デ・ベークのプロフィール

 

生年月日 1997年4月18日
国籍 オランダ
出身 ネルケイク
身長 184㎝
体重 74㎏
利き足
ポジション MF
背番号 マンチェスターユナイテッド:34
オランダ代表:20
タイトル エールディヴィジ (2018-19, 2019-20)
KNVBカップ (2018-19)
ヨハン・クライフ・スハール(2019)

ファン・デ・ベークの経歴

2021年2月現在23歳とまだまだ若いファンデベークだが、ここではこれまでの経歴についてまとめていく。

幼少期・生い立ち、プロ入り前

ファンデベークはオランダのヘンダーラント州ネイケルクのネイケルフェーンという地域で生まれ育った。畜産業や農業が盛んな自然豊かな土地で育ち、幼いころから地元のVeensche Boysでサッカーを始めた。

そして7歳の時にオランダの名門アヤックスの下部組織に入団。アヤックスのアンダーカテゴリーを順調に駆け上がり、2014-15シーズン中盤からアヤックスのリザーブチームにあたるヨング・アヤックスでオランダ2部リーグデビューと果す。

ヨング・アヤックスでのデビューシーズンでは6試合に出場、翌2015-16シーズンでは13試合に出場し2得点を挙げた。同シーズン途中からはトップチーム昇格。

アヤックス

若手の育成に定評のあるアヤックスアカデミーで順調に成長を遂げたファンデベークは、2015-16シーズンから活躍の場をトップチームに移した。

デビューシーズンは公式戦10試合出場、翌2016-17シーズンはさらに出番を増やし公式戦32試合出場。

2017-18シーズンからはスタメンに定着し、公式戦39試合出場13得点6アシストをマークし、オランダエールディヴィジ2位の成績獲得に貢献した。背番号もそれまでの30番から6番に変更し、チームの中心選手として活躍した。

そして、2018-19シーズンには、のちに欧州のビッククラブに移籍するファンデベークやデリフト、デヨング、ツィエフ等のヤングスターを揃えたヤングアヤックスがサッカー界に旋風を巻き起こした。

同シーズンのエールディヴィジ、国内カップの2冠を獲得。UEFAチャンピオンズリーグでは、下馬評を覆して、レアルマドリ―やユベントスといった並み居る競合を打ち破ってベスト4進出の大躍進を見せた。

ファンデベークも中心選手としてチームの躍進に貢献。公式戦57試合出場17得点10アシストという見事な成績を残した。

当然、サッカー界に鮮烈なインパクトを残したヤングアヤックスのメンバーには、欧州の強豪クラブからの熱視線が集まる。デヨングはバルセロナ、デリフトはユベントスへの移籍が決定。ファンデベークにもレアルマドリ―との接触が報道されていたが、最終的に残留を決意した。

アヤックスでの最後のシーズンとなる2019-20シーズンには、怪我もあり出場時間を減らしたが、それでも公式戦37試合出場10得点6アシストを記録し、2シーズン連続となるエールディヴィジ優勝に貢献した。

マンチェスター・ユナイテッド

2020年夏、ユベントスやレアルマドリ―との競争を制し、マンチェスターユナイテッドがファンデベークを獲得。ユナイテッドOBであるアヤックスCEOファンデルサールやチームの先輩であるブリントの後押しもありファンデベーク自身としても前向きな移籍となった。当時の移籍金は3900万ポンド+500万ポンドのボーナス(総額約66億円)。

ブルーノフェルナンデスに依存していた中盤に厚みを加えたいマンチェスターユナイテッドとしては、ファンデベークの獲得は大きい。また、トップ下だけでなく中盤の低い位置でもプレーできるため、去就が不安定なポグバの代役としても貴重な戦力となる。

余談だが、ファンデベークの恋人の父親はアーセナルにも所属した母国オランダのレジェンドデニス・ベルカンプだ。ライバルチームへの移籍に反対するのではないかと噂されていたが、その心配はなかったようだ。

マンチェスターユナイテッドでは、背番号34を背負っている。これは、アヤックス時代の親友で現在脳の損傷を負って闘病中のアブドゥルハーク・ヌーリ背番号である。サッカーを続けることが難しくなった親友とその家族のために、親友が着用していた背番号34を新天地で背負い、活躍することを胸に誓ったのだ。

マンチェスターユナイテッドには、ファンデベークと同じポジションに絶対的な活躍を見せるブルーノフェルナンデスがいるため、現状満足な出場機会を得られていない。これまで公式戦に26試合出場しているがそのほとんどが試合終盤からの途中出場だ。プレミアリーグでの13試合中スタメン出場はわずか1試合で、合計でも311分のプレー時間しか与えられていない。

ただ、プレミアリーグはそのテンポの速さやフィジカルコンタクトの多さから国外から加入する選手の適応に時間がかかることが多い。

まだ23歳と若く、ポテンシャルも十分に備えている。不動のエースブルーノフェルナンデスもシーズンを通して好調を維持できるとは限らない。また、現在中盤で重要な活躍をしているポグバについても、パフォーマンスの波が激しく、来季以降の去就も不透明だ。もし、ブルーノフェルナンデスが調子を落とし、ポグバが移籍するようなことがあれば、ファンデベークの出場機会も必然的に増えていくだろう。今後、赤い悪魔で重要な役割を担う日もそう遠くない。

オランダ代表

ここまでは、ファンデベークの経歴について、クラブでの活躍に焦点を当てて紹介してきたが、オランダ代表での活躍についても言及していく。

ファンデベークは、2013年9月のドイツ戦でU-17オランダ代表デビューを果たした。UEFAヨーロピアンU-17チャンピオンシップでも主力の一人としてプレーし、チームの決勝進出に貢献。残念ながら、決勝でイングランドに敗れたが、オランダの躍進の立役者となった。

その後、2017年11月ルーマニア戦に出場し、19歳でオランダ代表デビューを果たした。

UEFAネーションズリーグ2018-19では、途中出場が多かったが、主力の一人としてチームの決勝進出に貢献。続く2020-21大会では、トップ下のスタメンに定着し、予選グループアウェイのイタリア戦で貴重なゴールを挙げる活躍を見せた。残念ながらオランダ代表は僅差でグループステージ突破は叶わなかったが、チームの中心選手としてプレーした。

ファンデベークは、国際Aマッチでこれまで17試合に出場し、2得点を記録している。今後も順調に活躍を続けることができれば、代表に定着していくだろう。オランダ代表の攻撃の中心として、オランダのレジェンドヨハン・クライフやセードルフのような活躍を期待したい。

ドニー・ファン・デ・ベークのプレースタイル・特徴

ここからは、ファンデベークのプレースタイルや特徴について詳しく紹介していく。今まで、ファンデベークを見たことがない方や、今後の彼の活躍に注目して見たいと思っている方には必見の内容だ。

万能型のミッドフィルダー

ファンデベークは、ゴールもアシストも決められるプレーメーカーだ。さらに、高いボールテクニックと的確なポジショニング、豊富な運動量を併せ持つオールラウンダー型の選手だ。アヤックスやオランダ代表ではトップ下を主戦場としているが、時にボランチの位置でもプレーすることも可能。

豊富な運動量を活かしたボックストゥボックス、正確なボールテクニックを駆使したゲームメイク、高い得点能力、守備意識の高さ。MFに必要な能力をすべて兼ね備えている。

かつてACミラン黄金期に活躍した元オランダ代表セードルフにその姿を重ねている人も多い。「最高のオールラウンダー」と評されたセードルフになれる資質を持っている選手だ。

ゲームコントロール能力

オランダの名門であり若手の育成に定評のあるアヤックスのアカデミー育ちということもあり、ファンデベークはサッカーIQが高い選手でもある。

スペース、味方、相手の動きを把握する空間認識能力が高く、パスやドリブルからのチャンスメイクができる。また、自らが空いたスペースに入り込んでボールを受けることも得意としている。

ファンデベークのゲームコントロール能力が発揮されるのは攻撃面だけではない。豊富な運動量で、積極的に守備に戻ることも厭わない選手だ。体格も良く、当たり負けしないフィジカルも兼ね備えている。今後プレミアリーグのリズムに順応できれば、十分に活躍できるだけのポテンシャルは持っている。

高い得点能力

ファンデベークの大きな魅力は、その得点能力だろう。ド派手なゴールを決めることは少ないが、ゴール前のディフレクションを拾ってゴールに流し込む得点やタイミングよくゴール前に飛び出して相手ゴールを襲う能力に優れている。うまく相手のスキを突き、的確なポジショニングを行っているため、ファンデベークにはチャンスが集まる。アヤックス時代は、MFながら3シーズン連続で二桁得点を記録している。これは欧州のMFの中でもトップクラスの数字だ。

さらに、ファンデベークはビックゲームでの勝負強さも兼ね備えている。ヤングアヤックスがCLで躍進していた2018-19シーズンでは、CL準決勝1stレグトッテナム戦で決勝ゴールをマーク。UEFAネーションズリーグ2020-21予選グループイタリア戦ではアウェイで貴重な同点ゴールを獲得した。

高いボールテクニック

ファンデベークはパスを出すのも受けるのもうまい。

得意のテクニックや一瞬の閃きで決定的なラストパスを出すことができる。相手DFラインの裏に抜けた選手に合わせるスルーパスやロブパス、サイドからのクロスなどで決定機を演出する。

また、ボールコントロール能力が高く、難しいバウンドのボールを処理する能力にも長ける。精度の高いボレーシュートやワンタッチパスも魅力的だ。

独力で展開を打開するというよりは、チームメイトとのコンビネーションで力を発揮するタイプのため、今後チーム内で信頼を勝ち取り、より深い連携が取れるようになれば、さらに恐ろしい存在になるだろう。

ドニー・ファン・デ・ベークの今後について

ここまでは、ファンデベークの経歴やプレースタイル、特徴についてご紹介してきた。最後に、クラブ、代表それぞれでの今後の展望についても触れたい。また、移籍の噂についてもご紹介していくので、ぜひ参考にしてみてほしい。

マンチェスターユナイテッドについて

2020年夏に、約66億円という高額な移籍金でマンチェスターユナイテッドに加入したが、これまでのところ移籍金に見合うほどの活躍を見せることができていない。

というのも、ユナイテッドのトップ下には絶対的司令塔のブルーノフェルナンデスが君臨している。さらにボランチのポジションでもポグバやフレッジ、マクトミネイ等の実力者が揃っているため出場機会を得るのは難しい。スールシャール監督は4-2-3-1を基本フォーメーションにしているため、出場機会を獲得するためには、これらのライバルたちとの競争は避けられない。

ただし、現在好調を見せつけ、マンチェスターユナイテッドの躍進を演出しているブルーノフェルナンデスもシーズンを通してコンディションを保つのは難しいだろう。さらに、ポグバについても今後の去就が不透明だ。チームメイトの状況次第では近い将来に重要な役割を担う可能性もある。

選手による個人差もあるが、通常国外リーグからプレミアリーグに参入してきた選手は環境に順応するのにある程度の時間が必要になる。まず1年目はプレミアリーグのスタイルに慣れることに専念してもらいたい。そして、来シーズン以降、その実力をいかんなく発揮してほしい。

オランダ代表について

ファンデベークがオランダA代表に選出されたのは2017年からであり、まだ代表経験は少ない。若手の育成に力を入れているオランダからは、数多くのタレントが輩出されてきているが、その中でもファンデベークのようなあらゆるプレーをハイレベルで行えるオールラウンダーMFの存在は貴重だろう。実際、UEFAネーションズリーグやEURO2020予選でも主力として活躍している。

まだ23歳と若いため、今後のさらなる成長にも期待が集まる。オランダ代表の活躍とファンデベークの今後の成長から目が離せない。

移籍などの情報

ファンデベークは2020年の夏にマンチェスターユナイテッドに加入し、5年契約を締結している。移籍間際ということもあり、獲得に動き出すようなクラブの情報は出ていないが、移籍が決まる前にはユベントスやレアルマドリ―といった競合クラブも獲得に乗り出していた。

もし、マンチェスターユナイテッドで不遇の時が続けば、これらのクラブが獲得に乗り出してくる可能性もあるだろう。