マンUの10番マーカス・ラッシュフォードの魅力・経歴を徹底解説!

世界中からトップレベルの選手が集う欧州サッカーリーグで、現在市場価値が最も高い選手は誰かご存じだろうか。2021年1月、国際スポーツ研究所(CIES)が発表した市場価値ランキングでは、マンチェスターユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードが1位に輝いた。その市場価格は1億6500万ユーロ、日本円にして約210億円だ。

1878年創立から長い歴史を有するマンチェスターユナイテッドには、サッカー界の歴史に名を刻む名選手が数多く在籍していた。そして、その中でもひときわ輝きを放っているのが、チームのエースナンバー10番である。背番号固定制が採用されてからは、デビッドベッカム、ファンニステルローイ、ウェインルーニー、ズラタンイブラヒモビッチ等の名だたる選手が10番を着用してきた。2018年、イブラヒモビッチ退団後にエースナンバーを託されたのが、当時20歳だったラッシュフォードだ。

若くしてビッグクラブのエースの重圧を背負ったラッシュフォードだが、周囲の期待に応えシーズンを重ねるごとに頼もしく成長している。2019-20シーズンではリーグ戦17ゴールを挙げ、自身最多かつチーム最多得点を記録する等、まさにエースの活躍を見せている。イングランド代表にも18歳から選出され、数多くの国際Aマッチに出場している。現在23歳という年齢を考えれば、まだまだ成長していくはずだ。このまま成長を続けて、将来的にバロンドールを獲得することも夢ではないだろう。

今回の記事では、今最も市場価値が高い男マーカス・ラッシュフォードのプロフィール、経歴、プレースタイル、特徴、今後の展望などを詳しく紹介していく。本記事を通してラッシュフォードへの知識を深め、今後の彼の活躍に注目していってほしい。

マーカス・ラッシュフォードのプロフィール

 

生年月日 1997年10月31日
国籍 イングランド・セントクリストファーネイビス・ガーナ
出身 ウィゼンショー(イングランド)
身長 187㎝
体重 70㎏
利き足
ポジション FW
背番号 マンチェスターユナイテッド:10
イングランド代表:11
タイトル マンチェスターユナイテッド
FAカップ(2015-16)
コミュニティー・シールド(2016)
フットボールリーグカップ(2016-17)
UEFAヨーロッパリーグ(2016-17)
個人
ジミー・マーフィ年間最優秀若手選手賞(2015-16)
PFA月間最優秀選手賞(2019年1月)

マーカス・ラッシュフォードの経歴

マーカス・ラッシュフォードの幼少期から今に至るまで迫る。

幼少期・生い立ち、プロ入り前

ラッシュフォードは1997年10月31日、ハロウィンの日にマンチェスター南部のウィゼンショーに生まれた。5人兄弟のひとりとして育った彼は、5歳の時に地元サッカークラブ、フレッチャーモスレンジャーズでサッカーを始めた。

サッカーを始めた当初、フレッチャーモスレンジャーズではGKとしてプレーしていたという。ラッシュフォード自身も、幼少期の憧れの選手として、2003年から2007年にマンチェスターユナイテッドで活躍したアメリカ代表GKティムハワードの名前を挙げている。

地元クラブで早々に才能を示したラッシュフォードは、7歳でマンチェスターユナイテッドのアカデミーに入団。恵まれた身体能力とサッカーIQを兼ね備えた少年は、アカデミーでも評価を得て、ユースチームへの昇格を果たした。U16時代は、中盤のサイドやトップ下でのチャンスメーカー的な位置でプレーしていたが、当時の監督・コーチ陣にストライカーとしての才能を発掘され、FWとしての才能を磨いていった。

そんな彼に大きなインスピレーションを与えた人物が、ユナイテッドで大ブレイクしスペインのビッグクラブレアルマドリ―のエースとして活躍したクリスティアーノロナウドだ。若くしてユナイテッドに加入して以来、ハードなトレーニングを続け、ピッチでも結果をだし、世界一の選手になりたいという目標を懸命に追い続けている大先輩の背中に感銘を受けたという。

2014-15シーズンはU18チームの主将として、25試合に先発し、13ゴールを獲得。UEFAユースリーグでの大活躍を背に、2015-16シーズンにトップチームへ活躍の場を移した。

マンチェスター・U

2015年にユースチームから昇格し、毎年、結果を残し続けているマーカス・ラッシュフォード。1シーズンごとに詳しく解説していく。

2015-16シーズン

18歳でユースチームからトップチームに昇格し、2015年11月のワトフォード戦で初めてベンチ入りを果たした。その試合で出番はなかったが、翌年2月25日UEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦、FCミッティランとの2ndレグでは、スタメン予定選手の負傷もあり、急遽スタメンに抜擢された。1stレグを1-2で落としていたチームは序盤から攻勢を仕掛け、勝利を収めたが、この試合で大活躍したのがトップチームデビュー戦だったラッシュフォードである。自身で2ゴールを挙げ、チームの5-1の勝利に貢献した。

その後、アーセナル戦でプレミアリーグデビューを果たしたが、この試合でも2ゴール1アシストで3-2の勝利の立役者となる。さらに同年3月のマンチェスターダービーにも出場し、この試合唯一の得点となる決勝点をマーク。マンチェスターダービーでの最年少ゴール記録を塗り替えた。ラッシュフォードの活躍により、マンチェスターユナイテッドは5試合ぶりとなるマンチェスターダービー勝利を収めることができた。

同シーズンはトップチーム公式戦18試合に出場し、8ゴール2アシストとデビューシーズンとしては見事な成績を残した。アレックスファーガソン元監督の勇退後調子を落としていたマンチェスターユナイテッドに彗星の如く現れ、センセーショナルなデビューシーズンを果たした新星に対し、チームは2020年までの長期契約を結んだ。

2016-17シーズン

2016-17シーズンからは、デビューシーズンに着用していた背番号39から19に変更。当時マンチェスターユナイテッドを指揮していたモウリーニョ監督の信頼も得て19歳ながら公式戦53試合に出場。11ゴール4アシストを記録した。

UEFAヨーロッパリーグ準々決勝RSCアンデルレヒト戦2ndレグでは1ゴール1アシストでチームの勝利に貢献。続く準決勝セルタ・デ・ビーゴとの1tレグ・2ndレグでのそれぞれゴールとアシストを記録し、チームの決勝進出に貢献。大一番での勝負強さも見せつけた。

2017-18シーズン

続く2017-18シーズンもモウリーニョ監督の下、着実に成長を続けた。公式戦53試合に出場し、13ゴール8アシストを記録。

同シーズンはUEFAチャンピオンズリーグでもデビューを飾る。デビュー戦となったグループステージ第1節のFCバーゼルとの試合で早速CL初ゴールをマーク。グループステージで3ゴールを挙げ、チームの決勝トーナメント進出に貢献した。

2018-19シーズン

当時チームのエースとして君臨したイブラヒモビッチの退団に伴い、今シーズンからエースナンバーの背番号10を背負った。生え抜きの選手が10番を受け継ぐのは1996-97シーズンのベッカム以来だ。

シーズン後半からスールシャール監督に代わり若き10番はスタメンに定着した。1月にはプレミアリーグ4試合連続得点を挙げ、自身初のプレミアリーグ月間最優秀選手賞を獲得。公式戦47試合に出場し13ゴール7アシストを記録。自身初のプレミアリーグ二桁得点を達成。チームのエースとしての重圧に応えた。

2019-20シーズン

スールシャール監督の信頼を勝ち取ったエースは、シーズン開幕戦となるチェルシー戦で2ゴール、リバプールやマンチェスターシティとのダービーマッチでも貴重な得点を獲得する等、頼れるエースとしてチームをけん引した。

1月に背中の負傷で長期離脱を強いられたが、コロナによる中断も重なりシーズン終盤に復帰。公式戦44試合に出場し、22ゴール8アシストを記録。プレミアリーグでは17得点を挙げ、チーム最多得点を獲得。来季のCL権獲得に貢献した。

2020-21シーズン

ラッシュフォードは、スールシャール政権3年目となる2020-21シーズンでもエースとしてピッチに君臨している。カバーニの獲得により右WGでの起用も増えたが、逆サイドでも違いを見せつけている。

3シーズンぶりのCLグループステージ第2節ライプツィヒ戦では後半63分から出場し、自身初のハットトリックを達成。チームの5-0大勝を演出した。これは、現在の指揮官が1999年に達成して以来の快挙である。

残念ながらCLはグループステージで敗退してしまったが、プレミアリーグでは好調を維持。ここまで公式戦37試合に出場し、17ゴール9アシストというハイペースで得点に絡んでいる。エースの活躍もあり、好調を維持したユナイテッドは、アレックスファーガソン監督時代ぶりの首位でシーズンを折り返した。

イングランド代表

ここまでは、ラッシュフォードの経歴について、クラブでの活躍に焦点を当てて紹介してきたが、イングランド代表での活躍についても言及したい。

2016年にセンセーショナルなデビューを飾ったラッシュフォードはその勢いのままイングランド代表にも選出され、2016年5月の国際親善試合オーストラリア戦で当時最年少記録となる代表初ゴールを獲得した。2018年UEFAネーションズリーグスペイン戦では1ゴール1アシストを記録し、スペイン代表への17年ぶり勝利に貢献した。イングランド代表では国際Aマッチに通算37試合出場し、10ゴールを記録。タレントの宝庫であるイングランド代表でも着実にキャリアを積み重ねている。

マーカス・ラッシュフォードのプレースタイル・特徴

周りを魅了するマーカス・ラッシュフォードのプレースタイルとは。

DFを置き去りにしてしまうスピード

ラッシュフォードの魅力は何といってもそのスピードに乗ったドリブル突破だ。スピードを活かした緩急で一瞬にして相手DFを抜き去り、爆速で相手ゴール前までボールを運ぶ姿はかつてユナイテッドで活躍した大先輩クリスティアーノロナウドを彷彿とさせる。

ユナイテッドでは主に左WGで起用されることが多く、スピードに乗ったドリブル突破と左サイドからのカットインでゴールを量産。相手DFとすれば一瞬のスキを見せればゴールに直結してしまう厄介な選手だ。

観客を魅了するテクニック

ラッシュフォードはただのスピードスターではない。スピードの緩急だけで相手DFを抜き去るだけでなく、巧みな足技を駆使して狭いスペースを打開することもできる。速いだけでなく、トリッキーなフェイントも駆使して相手DFを手玉に取る。跨ぎフェイント、ルーレット、エラシコ等のトリッキーな仕掛けは見るものを魅了する。自ら仕掛けに出る積極性も魅力だ。

攻撃的なポジションはどこでもできる

ユナイテッドでは左WGを主戦場としているが、チームの人選に合わせて右WGやワントップでも起用されている。デビュー当時は線の細さを指摘されていたが、トレーニングに励み、プレミアリーグでも当たり負けしないフィジカルに成長した。どこのポジションで起用されてもスピードとテクニックを活かしたドリブル突破、強烈なシュート、裏への抜け出しなどで違いを見せつけている。まさにエースとしてチームに欠かせない選手になっている。

土壇場で魅せる決定力

華麗なドリブル突破でチャンスを量産するラッシュフォードだが、ゴール前での落ち着き、シュート精度にも年々磨きがかかっている。デビュー当時から8ゴール、11ゴール、13ゴールと得点数を上げ、2019-20シーズンでは22ゴールを達成している。デビュー戦でのゴールや、マンチェスターシティ、リバプール等とのビッグマッチでも貴重な得点を挙げてきた。

積極的な仕掛けでチャンスを量産するため、まだ決定機を外す機会も多いが、経験を積むことで決定力のさらなる向上も期待できる。年齢的に成熟する今後数シーズン安定したパフォーマンスを発揮できれば世界有数のアタッカーとしてさらに名を轟かせるだろう。

圧倒的なシュート力

ラッシュフォードのシュート力も魅力だ。左サイドからのカットインや右サイドからの縦への抜け出しでゴール前に迫る動きも魅力的だが、時折見せるペナルティエリア外からのミドルシュートでも違いを見せつけている。

FKキッカーを務めることも多く、得意のシュート力を活かしたキックは相手の脅威となっている。2019-20シーズンのFAカップチェルシー戦では2回曲がる無回転シュートを決め、そのゴールはまるでクリスティアーノロナウドのようだと称賛されるほどだった。

自他共に誇るキャプテンシー

サッカー界では若くして活躍し巨万の富を得ることで傲慢になる選手も多い。だがラッシュフォードについてはその心配もない。ピッチ内での活躍もさることながらピッチ外でもその人間性が高く評価されている。

2020年新型コロナウイルスによるロックダウンの最中、貧困層家庭を救済するための無料給食制度が夏休み期間中停止する予定だった。自身も貧困層の育ちであり、幼いころに無料給食に助けられた経験を持つラッシュフォードは、この政府の方針に対して公開書簡を提出。ボリスジョンソン英首相との電話会談も行い、無料給食制度の継続を取り付けた。これによりおよそ130万人の子供たちが夏休み中も無料で給食を受け取ることができるようになった。この行動が世界中から注目され、マンチェスター大学はラッシュフォードに対して最年少の名誉博士号を授与。大英帝国勲章も受賞した。

心優しく、規律を重んじ、ユナイテッドへの高い忠誠心を示すラッシュフォードは、時折ゲームキャプテンを務めることもある。そのキャプテンシーは同僚の現キャプテンであるマグワイアも認めるものである。

マーカス・ラッシュフォードの今後について

23歳という若さでありながらキャプテンシーのあるエースストライカー、マーカス・ラッシュフォードの今後により期待したい。

マンチェスターユナイテッドについて

若くしてユナイテッドのエースナンバーを背負ったラッシュフォードには大きな期待が寄せられている。そのプレースタイルからは偉大な先輩であるクリスティアーノロナウドと、背番号10としてはユナイテッドの歴代得点記録を保持するウェインルーニーと比較される。

デビューから着実にゴール関与数を増やすなど、大きな重圧にも耐えて成長を続けている。今、世界中のファンが期待しているのは、マンチェスターユナイテッドの完全復活だろう。ファーガソン監督が勇退して以降7シーズンプレミアリーグの優勝争いから遠ざかっている。今シーズン、スールシャール監督の下優勝に最も近づいていると言っても過言ではない。そしてそのチームのエースは生え抜きのラッシュフォードだ。エースとしてユナイテッドの完全復活を先導してほしい。そして、その後の黄金期の中心選手として、偉大なレジェンドたちと肩を並べる存在になることを期待したい。

イングランド代表について

18歳でのセンセーショナルなデビューの勢いをそのままにイングランド代表でも着実に出場機会を増やしている。A代表ではすでに37試合に出場し、10得点を記録。

近年のイングランド代表は若手タレントの宝庫でポジションを争う選手にはスターリング(マンC)、マウント(チェルシー)、サンチョ(ドルトムント)、グリーリッシュ(アストンビラ)等の名だたる選手がいる。これらのライバルを差し置いて定位置を獲得するためにはさらなる成長が不可欠だ。

また、代表には他のポジションにも有望な若手選手が揃っており、今後の活躍に注目が集まっている。2021年に開催されるEUROでの優勝も夢ではないだろう。ラッシュフォードにはマンチェスターユナイテッドのエースとしてだけでなく、イングランドサッカー界もけん引する活躍も期待されている。

移籍などの情報

世界的に注目を集めるラッシュフォードには他のビッククラブも興味を示している。2019年にはバルセロナが1億ユーロ(約125億円)でラッシュフォードの獲得に動き出した。さらに翌年には、PSGが1億ポンド(約135億円)のオファーを考慮していたと報道されている。

このような移籍報道が取り沙汰される中、ラッシュフォードはメディアのインタビューに対して、幼いころから自身に居場所を与えてくれたユナイテッドへの熱い想いを語っている。将来的に他クラブからオファーが来たとしてもマンチェスターを離れる意思がないということを公言した。

同クラブのレジェンドであるギグスやスコールズのように、ワンクラブマンとしてユナイテッドの新しい未来を築いてほしい。