リヴァプールの指揮官ユルゲン・クロップの経歴から名言まで徹底解説

リヴァプールの選手以上にサポーターから愛されるユルゲン・クロップ。その秘密は彼独自のコミュニケーション術にあった。誰よりも選手を愛し、選手の声を一番に拾う。マインツ時代から試行錯誤を重ねた戦術は世界的にも大きな話題を呼んだ。自らを”普通の人”と称する彼は誰よりも素晴らしいリーダーシップを兼ね備えていた。そんなクロップ監督の魅力を余すことなく徹底解説。

ユルゲン・クロップのプロフィール

生年月日 1967年6月16日
国籍 ドイツ
出身 西ドイツ・シュトゥットガルト
身長 192㎝
体重 83㎏
利き足
ポジション DF・FW
背番号 マインツ時代:4
タイトル ・ドルトムント
ブンデスリーガ : 2010-11, 2011-12
DFBポカール : 2011-12
DFLスーパーカップ : 2013, 2014
・リヴァプール
UEFAチャンピオンズリーグ : 2018/2019
UEFAスーパーカップ : 2019
FIFAクラブワールドカップ : 2019
プレミアリーグ : 2019/2020
個人
ドイツ年間最優秀監督賞 : 2011, 2012, 2019
プレミアリーグ年間最優秀監督賞 : 2019/20
プレミアリーグ月間最優秀監督 :2016/9, 2018/12, 2019/3, 2019/8,
2019/9/, 2019/11, 2019/12, 2020/1
FIFA最優秀監督賞 : 2019, 2020

クロップは自身を「Normal One」 つまり”普通の人”と表現している。2004年にチェルシーの監督に就任したジョゼ・モウリーニョは当時自身を「Special One」(特別な人)と表現していたが、クロップは自分自身を描写することに抵抗があるようで、そのユニークなフレーズは今も彼の愛称として知られている。

ユルゲン・クロップの現役時代

今やリヴァプールの顔としてチームをまとめ上げるユルゲン・クロップ。

現役時代に残したスーパーゴール

現役時代クロップはマインツに所属していた。1990年から現役引退の2001年までおよそ11年間、マインツのFWとしてプレーした。マインツ時代11シーズンで327試合に出場、通算56ゴールもの結果を残したクロップは、自身を”平凡な選手”だと語る。そんな平凡なマインツのFWが残した素晴らしいスーパーゴールをご存知だろうか。途中交代でピッチに立ったクロップは、迎えたセットプレーで右サイドに上がったクロスをファーサイドで受け右足でトラップすると、そのままゴールへ鋭いシュートを放った。このシュートはキーパーの頭上を超え、偉大なゴラッソとなった。

ユルゲン・クロップの監督経歴

不況に陥っているクラブを次々と立て直す指揮官ユルゲン・クロップの経歴とは。

マインツ時代

2001年の現役引退後、クロップはそのままマインツ05の監督に就任した。クロップはまだ小規模クラブだったマインツ05を2004年のブンデスリーガ1部昇格に導いた。昇格後もその快進撃は止まらず、2004-2005シーズンを11位でフィニッシュし、1部残留を果たした。

ボルシア・ドルトムント時代

2008-2009シーズンからクロップはボルシア・ドルトムントの監督に就任。当時のドルトムントは不調続きだった。しかしクロップの優れた指導のおかげで最終節6位に浮上。惜しくもヨーロッパカップ戦出場の切符を手にすることはできなかったが、終盤にリーグ戦7連勝の記録を残し、見事ドルトムントの再建を果たした。

リヴァプール時代

2015年10月18日、クロップはリヴァプールFCへの監督に就任した。就任初年度から好調を見せたリヴァプールはフットボールリーグカップ、UEFAヨーロッパリーグと共に決勝進出を果たした。

2019年5月8日のUEFAチャンピオンズリーグ準決勝のFCバルセロナ戦では1stレグで0-3と大敗しながらも2ndレグで4-0での勝利を収め、決勝へ駒を進めた。決勝のトッテナム戦では後半フィルミノとオリジを交代、するとオリジが怒涛の追加点を決め、見事な采配を見せた。クロップ自身も3度目のCL決勝にして、初の優勝を手にした。

ユルゲン・クロップとドルトムント

ドルトムント時代、ユルゲン・クロップと香川真司には深い絆があった。

クロップが生み出した戦術 ゲーゲンプレス

クロップがドルトムントの監督だった頃、「ゲーゲンプレス」というカウンター戦術を考案した。クロップはこの戦術をFCバルセロナが2000年代に用いていた守備戦術から着想を得てマインツ監督時代から試行錯誤を重ね、完成させた。そもそもゲーゲンプレスとは具体的にはどういった戦術なのか。

まずあえて相手がボールを取りやすい状況を作る。チャンスだと判断した相手はすかさずプレッシングを発動する。なんなくボールを奪うことに成功した相手チームは攻撃に切り替えるが、すぐさまこちらがボールを奪い返す。前がかりになった相手チームは、一気に不利な状況に陥り、崩れたところを一気に攻め込む。これがゲーゲンプレスだ。

クロップと多彩な教え子たち

クロップはこれまで数多くの選手たちを発掘し、丁寧に磨き上げてきた。特にドルトムント時代の選手たち、香川真司やマリオゲッツェ、レヴァンドフスキはクロップ監督の優れた指導力で、爆発的な成長を遂げた。

セレッソ大阪からドイツの強豪ドルトムントに電撃移籍した香川真司。移籍後すぐに行われたリーグ戦4戦目のシャルケとの一騎打ちで2ゴールを奪い、一気に人気を獲得した。好調そのままドルトムントはリーグ優勝、翌シーズンも連覇を果たし、香川はドルトムントに欠かせない存在になった。当時の香川真司にクロップは「君がドルトムントでプレーしてくれたから僕らは優勝できたんだ。」と話している。これに対し香川は「非常に勇気づけられた言葉だった。あの瞬間を忘れることはない」とクロップ監督への思いを明かした。リヴァプールの監督に就任した後もクロップは香川真司のキャリアに注目しており、あれは最高の経験だったと話している。

幼い頃からドルトムントの下部組織でプレーしてきたマリオゲッツェは、当時監督だったクロップの元でその才能をさらに開花させた。ドルトムントのリーグ2連覇の主戦力としてチームを牽引し、W杯決勝ではドイツの優勝を決定付けるゴールを決めるなどドイツを代表する選手へと成長した。その後出場機会が減ったゲッツェに対し、「いつも通りのプレーをしていればまた昔のようなプレーが見れる」とドルトムントを去った今も、彼のポテンシャルを評価している。

レヴァンドフスキもまたクロップ指揮の元、大きく成長したスター選手の一人だ。2010年にドルトムントに加入するも、当初は思うようなプレーが出来ないでいた。しかしクロップ監督とともにキャリアを歩み、着実に成長していったレヴァンドフスキは2014年バイエルンに移籍、更なる活躍を見せた。

ユルゲン・クロップとリヴァプール

ドルトムント時代の戦術が今のリヴァプールにも生きている。

相手に自由を与えないリヴァプールの戦術

クロップ率いるリヴァプールでは依然としてゲーゲンプレスが採用されている。先述の通り相手に隙を見せ、罠にかかったタイミングで一気に崩しにかかるこの戦術。この戦術が頭に入っているリヴァプールのプレイヤーたちは、明らかに攻守の切り替えが早い。ボールを奪われた瞬間には、数人が相手にプレッシングしている。こうすることで相手から選択肢や時間を奪い、攻撃へ転じやすくしている。

リヴァプール選手との師弟関係

クロップがドルトムントを去り、リヴァプール新監督に就任後初のホーム戦。対戦相手は当時サディオ・マネが所属していたサウサンプトンだった。試合終了間際マネのゴールで試合は振り出しに戻り、リヴァプールの勝利を阻んだ。5ヶ月後の対決でも2得点を挙げ、リヴァプールを敗った。マネ活躍を間近で見たクロップはマネの獲得に踏み切った。こうしてリヴァプール加入したマネをクロップは暖かく迎え入れた。チームに加入したマネは「一緒にプレーできることになってとても幸せだ。」と語ったと同時に、「クロップは世界トップクラスの監督だ」と絶大な信頼を置いている。

アーノルドもクロップ監督下で飛躍的に成長した選手の一人だ。移籍当初MFからSBへの転向を勧められたものの見事に適応し、チームの勝利に何度も貢献している。攻撃に関しては世界でも群を抜いているが、守備面ではまだ発展途上な部分もある。そこも踏まえてクロップは戦術に組み込んでいるようで、アーノルドを信頼しピッチに立たせているようだ。

ユルゲン・クロップの特徴

紐解くことでわかるユルゲン・クロップの本当の偉大さに迫る。

ジャージと帽子がトレードマーク

ユルゲン・クロップのイメージと聞くと何を思い浮かべるだろう。ほとんどはジャージ姿に帽子というイメージではないだろうか。クロップが公の場に出るときはたいていチーム公式のアウターにキャップを身につけている。クロップは「一番に考えなくてはならないのはチームの勝利であり、自分の見た目について深く考えたことはない」とコメント。名門クラブを引っ張る監督らしい理由だった。

気迫あふれるガッツポーズ

クロップ監督といえば「情熱的な監督」としても知られている。選手がゴールを決めた時、シュートがわずかに外れた時、会場の誰よりも感情の起伏が激しい。そんなクロップ監督の誕生日に彼の熱すぎるガッツポーズを集めた動画が話題になった。選手を心から信頼しているからこそ、こんなにも熱くなれるのだろう。

平凡な選手が持つ抜群のリーダーシップ

自らをNormal Oneと称するクロップは独自のトレーニング理論を持っている。クロップはチームの「連帯感」を重視していた。チームに所属しているという意識を選手全員に持たせ、チームに何が貢献できるか常に考えさせていた。彼がマインツの監督だった頃、夏のキャンプで選手全員をカヌーに乗せたことがある。これも全員で危機を乗り越え、チームの団結力を鍛えるトレーニングの一環だった。

クロップ流コミュニケーション術

関わってきた全ての選手から尊敬され、愛されるクロップ。そのコミュニュケーションの秘密は「愛」にあった。香川真司がドルトムントに入団した時、同時に通訳も招き入れた。外国人選手のために通訳をつけるケースはさほど珍しくない。しかし驚くべきはその通訳をありとあらゆる場面に同伴させたことだ。ロッカールームや試合中のベンチに至るまで通訳を帯同することで、選手の声をダイレクトに聞くことができ、選手に対して円滑に要求することができた。「選手に少しでもいい環境でプレーしてもらいたい」とクロップは語る。誰よりも選手を愛する彼の姿勢はドイツ人最高の監督と言われる由縁だろう。

ユルゲン・クロップの名言

サッカーだけでなくビジネスシーンでも役に立つクロップの名言をご紹介。

「私の心は空っぽになっていない。常に頭はアイデアでは溢れそうになっているくらいだ。」

これまで幾度となくチームの再建を行い、選手とも良好な関係を保っているクロップ。彼の頭の中には無数のアイデアが浮かんでおり、その中からいつもベストな選択を取り続けてきた。

「このような状況の中で、彼の負傷を喜ぶようなヤツがいるとしたら、正直言ってクソったれだね。私は彼が良くなることを祈っている。」

これはマンチェスター・シティ所属のケヴィン・デブルイネが膝の負傷により「リヴァプールの優勝のチャンスが上がったのではないか」という記者への返答だ。味方選手だけでなくライバルチームのエースに対するリスペクトも持ち合わせているのはいかにもクロップ監督らしい。

「彼はイングランドで最も難しい仕事を与えられている。スティーブン・ジェラードの後継者でなければならないことだ。それは遂行するのは良い仕事ではないし、与えられて嬉しい仕事ではない。人々がそれについてあまり考えすぎないで、もっと彼を1人のファンタスティックな選手として見てくれることを祈っているよ」

リヴァプールの伝説的選手であるスティーブン・ジェラードの後継者としてキャプテンに就任したジョーダン・ヘンダーソン。偉大なるプレイヤーの光景は光栄な役割だが、かかる重圧も大きい。そんなヘンダーソンを後継者としてでなく、個人としても見てほしいというクロップへの選手愛が垣間見える名言だ。

ユルゲン・クロップの今後について

不調続きのリヴァプール、クロップ監督辞任の報道も。

今シーズン、プレミア優勝のタイトルを手にするのは

プレミアリーグでは熾烈な優勝争いが行われている。マンチェスター・シティで指揮を取るグアルディオラ、トッテナムの指揮官モウリーニョ。この3人のタイトル争いが今後のプレミアリーグの見どころといっても過言ではない。現在首位独走中のシティがこのまま制覇するのか、僅差で並ぶトッテナムとリヴァプールが追い上げを見せるのか、非常に楽しみである。

クロップ監督辞任の真相はいかに

13日に行われたプレミアリーグ第24節レスター・シティでの負けでクロップ監督就任後初の3連敗を喫した。この結果を踏まえクロップ監督の辞任や休暇の噂が報じられているが本人はそれらを全て否定した。怪我の影響でうまくチームが回らず、思うような結果が出ていないリヴァプールだが、果たしてリヴァプールはここから挽回できるだろうか。是非注目したい。