異次元の男・マンUポール・ポグバの経歴・プレースタイルを解説

マンチェスター・ユナイテッドの下部組織からは、デイビッド・ベッカムやライアン・ギグス、ポール・スコールズなどのレジェンドはもちろん、他にも欧州トップリーグで活躍するような選手を数多く輩出している。ポール・ポグバもマンチェスターユナイテッド下部組織出身の選手の一人だ。
2009年16歳の時にマンチェスターユナイテッドの下部組織に入団し、2011年18歳でトップチーム昇格を果たした。翌年、出場機会を求めてフリーでイタリアの競合ユベントスに移籍。イタリアでその才能を開花させた。ユベントスで4シーズンを過ごし、世界最高レベルの選手に成長したポール・ポグバは、2016年に当時のサッカー界移籍市場史上最高額となる1億1000万ユーロ(約140億円)でマンチェスターユナイテッドに戻ってきた。
類まれなフィジカルと繊細なボールタッチを活かした中盤でのボールキープと自陣深くから敵陣ゴール前までボールを運ぶ推進力、両足から繰り出される創造性溢れるパス、強烈なミドルシュート等で存在感を発揮し、チームをけん引してきた。ブルーノ・フェルナンデスが2020年の冬の移籍市場で加入するまでは、ユナイテッドはポール・ポグバに依存し過ぎていると言われるほどにチームに欠かせない選手となっていた。ポグバは2021年現在、28歳とキャリアのピークに差し掛かっている。
本記事を通して、ポール・ポグバの経歴や特徴についてより詳しく理解し、ぜひ今後の活躍を注目してほしい。

ポール・ポグバのプロフィール

 

生年月日 1993年3月15日
国籍 フランス・ギニア
出身 ラニー=シュル=マルヌ(フランス)
身長 191㎝
体重 84㎏
利き足
ポジション CMF
背番号 マンチェスターユナイテッド:6
フランス代表:6
タイトル ・マンチェスターユナイテッド
プレミアリーグ(2011-12)
フットボールリーグカップ(2016-17)
UEFAヨーロッパリーグ(2016-17)
・ユベントス
セリエA(2012-13, 2013-14, 2014-15, 2015-16)
コッパ・イタリア(2014-15, 2015-16)
スーペルコッパ・イタリアーナ(2012, 2013, 2015)
・フランス代表
FIFA U-20ワールドカップ(2013年)
FIFAワールドカップ(2018年)
・個人
FIFA U-20ワールドカップ 最優秀選手(2013)
ゴールデンボーイ賞(2013)
FIFAワールドカップ ベストヤングプレイヤー(2014)
FIFA/FIFPro世界イレブン(2015年)
UEFAヨーロッパリーグ最優秀選手(2016-17)
PFA年間ベストイレブン(2018-19)

※ポグバには3歳年上の双子の兄、フロランタン・ポグバとマティアス・ポグバがいる。
兄が生まれた後に両親がギニアからフランスに移住したため、ポグバはフランス生まれ。両兄はギニア代表のサッカー選手。

ポール・ポグバの経歴

マンチェスターU

2009年16歳でマンチェスターユナイテッドの下部組織に加入。その才能は当時指揮を執っており、数々の名選手を輩出してきたアレックスファーガソン元監督も認めるものだった。

そして、2011年18歳でトップチームに昇格。9月のリーグカップリーズユナイテッドとの試合でプロデビュー、翌年1月のストークシティ戦でプレミアリーグデビューを飾った。背番号は42番を着用していた。

当時のユナイテッドはファーガソン元監督のもと隆盛を極めている最中で、若手を慎重に起用する方針もありポグバに試合出場の機会はあまり訪れなかった。

トップチーム昇格シーズンの出場試合数は3試合のみ。得点は0に終わった。

ファーガソン元監督とポグバの代理人を務めるライオラ氏との確執もあり、ポグバはマンチェスターユナイテッドとの契約延長を拒否。出場機会を求めて新たな移籍先を探した。

ユベントス

ファーガソン元監督と代理人のライオラ氏の確執、当時のチームで出場機会が得られていない状況もあり、ポグバはマンチェスターユナイテッドとの契約延長を拒否。

フリー移籍でイタリアの競合ユベントスに加入した。

もともと破天荒な性格のポグバだったが、ユベントスでは選手の個性を引き出すのがうまいアッレグリ元監督の指導方針やピルロ、ブッフォンといったレジェンドのおかげでのびのびとプレーし、自身の才能をいかんなく発揮。

3センターの左インサイドハーフを主戦場とし、積極的な攻撃参加と安定的なハイパフォーマンスを見せた。

ユベントス加入初年度の10月、ナポリ戦で移籍後初ゴールおよびプロ初ゴールを記録した。加入初年度から公式戦37試合出場5得点を記録し、ユベントスのリーグ制覇に貢献。その名を世界に知らしめた。

加入2年目の2013-14シーズンからはスタメンに定着し、公式戦51試合9得点1アシスト、2014-15シーズンは公式戦41試合10得点11アシストを記録。世界レベルのミッドフィルダーに成長した。

2015-16シーズンからはそれまでの背番号6から背番号10に変更。ロベルトバッジョやデルピエロ等のクラブレジェンドが着用した背番号を受け継ぐ形となった。

背番号を10に変更した2015-16シーズンも安定的なパフォーマンスを維持し、公式戦49試合10得点13アシスト。ユベントスに欠かせない選手としてセリエA4連覇に貢献した。

マンチェスターU

ユベントスでの4年間を経て世界屈指の選手に成長したポグバに対して、サーアレックスファーガソン勇退後に低迷期に陥っていたマンチェスターユナイテッドが興味を示した。

ポール・ポグバ自身も元々マンチェスターユナイテッドの下部組織出身でユナイテッドへの愛も強かったこともあり、古巣への復帰を決意。

当時サッカー界史上最高金額となる移籍金1億1000万ユーロ(約140億円)でユナイテッドへの復帰を果たした。

しかし、ユヴェントスでの公式戦178試合で34ゴール40アシストというミッドフィルダーとしては規格外の成績を引っ提げてユナイテッドに帰還したポグバだが、背番号6を着けた同選手のパフォーマンスからはユベントス時代のような躍動感は感じられなかった。

低迷を続けるチームの雰囲気にのまれ、ポグバ自身のパフォーマンスも期待に応えるような内容ではなかった。

当時マンチェスターユナイテッドを指揮していたジョゼ・モウリーニョ監督の守備的な戦術もあり、得意な攻撃よりも守備面でのタスクが大きかったことも起因していただろう。

そんな状況が続き、モウリーニョ政権3年目には監督との確執も顕著になり、副キャプテンの地位もはく奪されてしまった。

その後、低迷を続けていたモウリーニョ監督が解任され、現在のスールシャール政権に交代。スールシャール就任後は、モウリーニョのような選手を過度に縛る方針とは真逆のある程度の自由を持たせる方針を取ったことから、チーム全体が息を吹き返し、7連勝を飾った。ポグバ自身も生き生きとプレーし、ユベントス時代のような躍動感あふれるプレーを時折見せていた。

チームと自身が低調の際には、レアルマドリ―やユベントスといったチームへの移籍報道が度々為されていたが、怪我やコロナの影響もありチーム残留を選択。

スールシャール政権3年目となる2020-21シーズンでもチームの中心選手として活躍を続けている。

ユナイテッド復帰後の成績は、2016-17シーズンに公式戦51試合出場9得点、2017-18シーズンに公式戦35試合出場7得点、2018-19シーズンは公式戦35試合出場16得点を記録している。

2019-20シーズンは足首の怪我による長期離脱もあり、出場機会を減らしたが、コロナによるリーグ中断再開後にはチームに復帰し、同冬に加入したブルーノフェルナンデスとの相乗効果もありチームの快進撃の立役者として、リーグ3位および翌年のCL権獲得に貢献した。

2020-21シーズン開幕直後は新型コロナウイルスへの感染もありスタートから出遅れたものの徐々にフィットし、安定的なパフォーマンスを発揮している。

フランス代表

ここまでは、ポール・ポグバの経歴について、クラブでの活躍に焦点を当てて紹介してきたが、フランス代表での活躍についても言及したい。

ポグバはU16からフランス代表に選出されてきた。フランス代表としてU17欧州選手権2010にも出場。その後、2013FIFAU20ワールドカップではチームキャプテンとして優勝に貢献。大会の最優秀選手にも選出されている。

2014年FIFAワールドカップヨーロッパ予選ジョージア戦でついにA代表デビューを飾り、デビュー戦から先発フル出場を飾った。

本大会でフランス代表は優勝国ドイツに1-0で敗れ、ベスト8に終わったが、ポグバ自身は大会の最優秀若手選手賞を受賞する程の存在感を見せていた。

その4年後の2018FIFAワールドカップロシア大会では、ムバッペ(PSG)やグリーズマン(バルセロナ)、カンテ(チェルシー)、ヴァラン(レアルマドリ―)などの豪華なタレントを揃えて前回大会のリベンジを狙うフランス代表の不動の中盤選手としてチームを主導。グループステージのデンマーク戦以外のすべての試合に出場し、決勝のクロアチア戦ではチーム3点目となる豪快なミドルシュートを決めるなど、フランス代表の優勝に大きく貢献した。

フランス代表では国際Aマッチに通算で67試合出場、11得点を記録している。

今後もフランス代表をけん引する選手となるだろう。

ポール・ポグバのプレースタイル・特徴

ポール・ポグバのプレースタイルとは、どんなものか。

繊細なボールタッチ

ユベントス時代やフランス代表では主にセントラルミッドフィルダーを主戦場としており、マンチェスターユナイテッド復帰後はCMFだけでなくトップ下や両サイドでの起用も増えている。

様々なポジションでも高レベルなパフォーマンスを見せるポグバだが、その特徴が繊細なボールタッチだ。

191cm、84kgの大柄な体型にも関わらず、そのボールタッチは驚くほど繊細だ。

両足から繰り出される正確無比な長短のパス、相手DFを翻弄するドリブル、相手の虚を突くトリッキーなプレーなど、すべてが高精度である。

また、逆サイドへの豪快な展開、相手DFへの裏へ通すピンポイントのロングパスも魅力的で、一本のパスで試合を大きく動かすことができる。

身体能力を生かしたボールキープ

前章で取り上げたように、正確無比なパス、相手を翻弄するドリブルテクニック、予測不能なトリッキーなプレー等の繊細なスキルを有しているが、それだけではないのがポグバの異次元たる所以である。

高度なスキルとともに、恵まれた体格による身体能力を活かしたボールキープもポグバの強さだ。

191cm、84kgの恵まれた体型と、アフリカ特有の長い手足、しなやかでバネのある筋肉に繊細なボールスキルが合わさればどんな選手でもポグバからボールを奪うことは難しい。

フィジカルを活かした強引な仕掛けによって局面を打開するシーンは何度も見てきた。

さらに、ハイボールの対応にも優れており、GK等のロングパスの受け手としても重要な役割を担っている。

まさに唯一無二の存在である。

試合を決めるミドルシュート

ポグバの凄さは中盤でのハイレベルなボール捌きだけではない。

中盤の選手にもかかわらず、ゴールに直結するような活躍も見せる。

特に見るものを魅了するのが、試合を決める豪快なミドルシュートだろう。両足から繰り出される強力かつ正確なミドルシュートは相手からしたら驚異となる。

さらに、高い技術力から豪快なボレーシュートを決めることも可能だ。

中盤での展開力、フィジカルを活かしたボールキープ、高度なテクニックを活かしたドリブルに得点力も兼ね備える選手は歴代の選手を振り返ってもそうそういないだろう。

コンディションさえ整えば、ポグバはサッカー史上に残る名選手になれる器だ。

髪型について

プレースタイルと同様にポグバ自身のキャラクターもとにかく派手だ。

世界的なスター選手ということもあり、ピッチ外での豪快な私生活や奇抜なファッションもさることながら、ピッチ内での遊び心のある髪型でファンを魅了している。

髪型は坊主やモヒカンなどを愛用しているが、特徴的なのが奇抜なポイントカラーや剃り込みである。黒の地毛にド派手な金髪や赤髪等のポイントカラー。大ファンであるポケモンのモンスターボールをモチーフにした剃り込みやシマウマ柄、星柄、社会的メッセージを取り入れたこともある。

ちなみに、ユベントス時代に指揮していたアッレグリ元監督は、ポグバのヘアースタイルについて記者に尋ねられた際に、「そもそも私にはそんなことをする十分な毛がない。このような少年(ポグバ)は、7つか8つの美容院を行ったり来たりするのだろう。私の日常生活には合わないよ」と答えていた。

魅力的なプレーはもちろんだが、その奇抜な髪型にも注目して見るのも楽しいかもしれない。

ゴールパフォーマンス

豪快なゴールを決めることが多いが、その後のゴールパフォーマンスにも注目してほしい。

仁王立ちやヒップホップの振り付けを模したDABポーズ、独特なダンスなど観客を魅了するゴールパフォーマンスも特徴となっている。

ポグバのゴールパフォーマンスはサッカー界にも普及して多くの選手が彼を模したセレブレーションを披露している。

ファッション界だけでなく、サッカー界でも流行を作り出す男だ。

今後どのようなゴールパフォーマンスを披露してくれるかも注目していきたい。

PKについて

2020年冬の移籍市場でブルーノフェルナンデスが加入するまでは、ポグバが度々PKキッカーも務めていた。

スールシャール政権では正PKキッカーにも任命される等、チームからの信頼度も高い。

そして、PKについても例に漏れず独特のスタイルを持っている。

2018年のプレミアリーグエバートン戦で見せた26歩もの助走を取ったPKは世間を賑わせた。

そのほかにも度々15歩以上もの助走を伴うPKを見せており、その独特のPKスタイルは物議をかもしている。

あるメディアでは、「ポグバのPK助走はボルトの100m走よりも長い」と比較動画を交えた紹介をしており、その動画はSNS上でも拡散され話題となった。

ポール・ポグバの今後について

ポール・ポグバにどのような活躍が期待できるのか。

マンUに関して

ユナイテッド復帰後5年目となる2020-21シーズンはマンチェスターユナイテッドもここまで好調を維持しており、プレミアリーグの優勝争いを繰り広げている。

ポグバ自身はシーズン開幕当初の新型コロナ感染もあり、スタートは出遅れたが、徐々にコンディションもフィットしており、序盤戦以降はこれまでのユナイテッドのキャリアを通して最も安定的なパフォーマンスを維持している。

これまでは、中盤の底での起用が多かったが、今シーズンは両ウイングやトップ下での出場も増えており、チーム内でより攻撃的なタスクを任されるようになっている。

ユナイテッドOBのギャリーネビル氏は今シーズンのユナイテッドのキーマンとしてポグバを挙げており、「ポグバがトップフォームを維持できれば、マンチェスターユナイテッドにもタイトルが期待できるだろう」と語っている。

アレックスファーガソン監督勇退以降続いていた低迷期脱出のキーマンとして、今シーズンのポグバの活躍に期待したい。

フランス代表に関して

前章でも言及した通り、ポグバは既にフランス代表の中心的選手だ。

2018年FIFAワールドカップロシア大会でもチームの中心選手として、フランスの優勝に貢献した。

そして、次なる目標はEURO2020だろう。従来通りのスケジュールで開催されていれば、長期離脱明け直後だったポグバはコンディション面で出場が不安視されていたはずだったが、コロナの影響で2021年開催に延期となった。

ポグバが万全の状況で大会に挑むことができれば、フランス代表としては大変心強い。

間違いなくチームの中心選手としてフランス代表をけん引していく存在になるだろう。

移籍の噂に関して。レアル・マドリード/ジダン

ポグバについては、移籍の噂が絶えない。

代理人のライオラ氏の策略もあって、移籍市場に定期的に名前が挙がっており、レアルマドリ―やユベントスといった他国のビッグクラブが獲得を狙っているとされている。

ユベントスからは、ポグバの帰還を望む声が上がっており、レアルマドリ―を率いるジダン監督はポグバの獲得を熱望していると報道されている。

実際に、2018年夏の移籍市場ではジダン監督がポグバ獲得に向けてクラブ上層部と話し合いをしていた。

また、ポグバ自身もフランス代表の先輩でもあるジダンとは交流が深く、同氏との共演もウェルカムな姿勢だ。

また、「レアルマドリ―はサッカー選手にとって夢だ」という発言もしており、レアル移籍に前向きな姿勢を示している。

ただし、コロナパンデミックにより、各クラブ財政状況が厳しく、ポグバを獲得できるほどの資金を確保できるかが問題となっている。

ポグバとユナイテッドの契約は2021-22シーズン終了までとなっている。

今後も赤い悪魔でキャリアを続けていくのか、活躍の場を他に移すのか、ポグバの今後の去就に注目が集まる。