リヴァプールの象徴としてチームを統率するジョーダン・ヘンダーソン。輝かしい英雄が経験した想像を絶する苦悩とは。戦力外通告を受けた彼の逆転人生。ジェラード退団で受けた重圧の数々。彼だからこそなし得た偉業の裏には、誰よりも努力し、乗り越えた壮絶な過去があった。そんなプレミア屈指の努力家 ジョーダン・ヘンダーソンの強さの秘密に迫る。
目次
ジョーダン・ヘンダーソンのプロフィール
生年月日 | 1990年6月17日 |
国籍 | イギリス |
出身 | サンダーランド |
身長 | 182㎝ |
体重 | 68㎏ |
利き足 | 右 |
ポジション | MF |
背番号 | リヴァプール:14 イングランド代表:14 |
タイトル | ・リヴァプール フットボールリーグカップ : 2011/12 UEFAチャンピオンズリーグ : 2018/19 UEFAスーパーカップ:2019 FIFAクラブワールドカップ:2019 プレミアリーグ : 2019/20 ・個人 FWA(イングランド・サッカー記者協会)年間最優秀選手賞 : 2019-20 |
ジョーダン・ヘンダーソンの経歴
ジョーダン・ヘンダーソンの幼少期から今に至るまで!
幼少期・生い立ち
1990年6月17日、イギリス北東部に位置するサンダーランドでヘンダーソンは生まれた。サンダーランドは海に近いこともあって、ビーチやミュージアムで有名だ。ヘンダーソンの両親は地元のクラブであるサンダーランドの熱狂的なファンで、ヘンダーソン自身もサンダーランドのスポーツ・カレッジに通っていた。彼が7歳のとき、ポジションは右WGだった。その後中央の選手に転向し、今もそのポジションで様々な功績を残し続けている。
サンダーランドAFC
ヘンダーソンはその後、サンダーランドAFCに入団。2008年にチェルシー戦でデビューを果たすとその翌年には、コヴェントリー・シティFCにローン移籍した。シーズン終了時、サンダーランドのファーストチームに戻ったヘンダーソンは早速、カーリング・シティFCでファーストチームでの初ゴールを記録した。またマンチェスター・シティ戦ではプレミアリーグ初得点を挙げた。
リヴァプール
2011年にリヴァプールへの移籍が決まったヘンダーソン。移籍金は2000万ポンド(およそ25億円)だった。ヘンダーソンにとって念願のリヴァプール移籍だったが、幾度となく怪我に悩まされ、思うように結果を残せなかった。さらにシーズン開幕前、当時のリヴァプールの監督であるブレンダン・ロジャースから「移籍先を探した方が良い」と戦力外通告を受けてしまう。それでもチームに残り、よりいっそうサッカーに打ち込んだ。
2014-2015シーズンからヘンダーソンはリヴァプールの副キャプテンとしてチームを支えた。当時リヴァプールのキャプテンだったスティーブン・ジェラードが不在のときはキャプテンも務めた。そして2015-2016シーズンからはジェラードが退団したため、正式にリヴァプールのキャプテンとなった。
2018-2019シーズン、CL準決勝のFCバルセロナ戦の2ndレグでフル出場を果たし、ディボック・オリジのゴールをアシストし、キャプテンとしてチームの勝利に貢献した。またCL決勝のトッテナム・ホットスパー戦でもフル出場、キャプテンとして最後までチームのために走り、見事CL優勝を掴み取った。
2019-2020シーズンではプレミア・リーグ第31節でチェルシーとマンチェスター・シティが対戦。2-1でチェルシーが勝利したと同時に、2位のシティと勝ち点差23点で、残り7試合を残して首位で走り抜けたリヴァプールの優勝が確定した。
一度は戦力外通告を受け、絶望の淵に立たされたヘンダーソン。その後チームの誰よりも努力し、今ではリヴァプールの欠かせない存在となった。CL優勝が確定したあの日、ヘンダーソンはクロップ監督と抱き合い、涙を見せた。彼はキャプテンとして最後まで責任を果たし、チームに優勝をもたらしたリヴァプールの英雄だ。
イングランド代表
2018年に開催されたFIFAワールド・カップでイングランド代表はスウェーデン代表を抑え、ベスト4へ駒を進めた。代表に召集されたヘンダーソンを始め、デレ・アリやエリック・ダイアーなど豪華な中盤の選手が選出された。ヘンダーソンは中盤のキーマンとして、チームを支え続けた。
ジョーダン・ヘンダーソンのプレースタイル・特徴
ジェラードの後継者といわれる由縁、リバプールのキャプテンのプレースタイルに迫る。
豊富な運動量と献身的な守備でチームに貢献
リヴァプールのキャプテンを任されているだけあって、チームの誰よりも献身的だ。その切り替えの速さは凄まじく、味方がボールをロストしたとき、すぐに奪い返しにいく姿勢がよく見られる。また182cmの体格を活かし、粘り強くタフなディフェンスも彼の持ち味で、ときにはタックルやスライディングなど熱い守備で我々を熱狂させてくれる。サボることなく試合を通してきっちり守備をしてくれるガッツのある選手だ。
ヘンダーソンはその運動量でもっとプレスかけてほしい
— わたしだ。 (@footbal1_ynwa) November 2, 2013
ジェラードの後継者と呼ばれるわけ
ヘンダーソンは前キャプテンのスティーブン・ジェラードの意思を引き継いでいる。リヴァプールのキャプテンとして2003年から12年間チームを統率したジェラード。彼の退団は多くのサポーターに不安を募らせた。そして新キャプテンのヘンダーソンにかかる重圧は並大抵のものではなかった。たがそんな重圧を跳ね除けるように、ヘンダーソンはチームをうまくまとめ上げている。先述の彼の守備からでも分かるように、彼は今やチームの誰からも慕われる存在だ。キャプテンとしての役割を着実にこなし、チームを統率する姿はジェラードの後継者と言っても過言ではない。
またこんなエピソードもある。プレミアリーグ優勝が決まった2020年6月22日。皆が優勝の喜びを分かち合う仲、一人孤立する日本人選手がいた。そう南野拓実だ。同年1月にリヴァプールにやってきた南野は少し遠慮がちにしていた。そこにヘンダーソンが近づき、優勝トロフィーを手にするよう後押しした。何気ないシーンだが、やはりここにも彼のキャプテンシーが現れていた。
リヴァプールにラモス!?
絶対にあり得ないですな。
サラーとの関係ということもあるが
僕が思うに、彼みたいなキャプテンシーあふれる選手はヘンダーソンで
満足。あとラモスのせいでリヴァプールのイメージが悪くなるかもしれない。まあとにかく信憑性はないな— K O H T O ® (@YoullNe53691033) May 27, 2019
瞬時の状況判断
ヘンダーソンは状況把握にも長けている。試合の流れを読み選手に適切な指示を出す。攻守のバランスをしっかり取り、その場に応じた最善の選択をする。攻撃時では味方に位置を常に確認し、正確無比なパスを繰り出す。攻守が変わると深い位置まで戻ってカバーに徹する。まさに万能型のMFだ。
こんな中でもやっぱりヘンダーソンは光ってる!!判断力とキックの精度は本当素晴らしい
— コグ2 (@stg92176754) January 23, 2016
正確なパスで幾度となく味方のゴールをアシスト
ヘンダーソンはパスも非常に正確だ。ショートパスはもちろん、ミドルやロングパスの精度も一級品だ。リヴァプールの両サイドバックは、頻繁にオーバーラップを仕掛ける。高いポジションをとった両サイドバックにロングパスを当てることで得点に繋がることもある。
やっぱりヘンダーソンのパスは素晴らしい👏
— 大塩平八郎はみなみ推し (@Liverpool_nogi) January 28, 2021
ジョーダン・ヘンダーソンの今後について
ジョーダン・ヘンダーソンは、どのような活躍が期待できるのか。
リヴァプールに関して
ヘンダーソンは今後もリヴァプールのキャプテンとしてチームに様々な恩恵をもたらすだろう。しかし2020年11月15日に行われたUEFAネーションズリーグ・リーグAグループ2の第5節ベルギー戦で、ヘンダーソンは交代を余儀なくされたようだ。イングランド代表監督のガレス・サウスゲートは筋肉の張りが交代の理由だと語っている。ヘンダーソン自身「足底筋膜炎」という持病を抱えており、常に左足に問題を抱えながらプレーしている。今回は選手との直接的なマッチアップによる怪我ではないが、どうしても今季のリヴァプールは負傷者の多さが目立つ。仮にヘンダーソンが離脱することとなれば、チームにもサポーターにも不安にさせてしまう。個人のスキル改善も重要だが、いかにリヴァプール全体が万全の状態で試合に臨めるかどうかの方が先決ではないだろうか。
イングランド代表に関して
今年のイングランド代表も例年通り豪華な顔ぶれだ。またリヴァプールでキャプテンを務めるヘンダーソンは、イングランド代表でも中心的な人物だ。2018年W杯ではベスト4まで上り詰めた屈指の強豪チームだが、1996年以来優勝トロフィーを手にしていない。来たる来年のW杯に向けて着々と準備を進め、2022年のW杯では悲願の優勝を成し遂げてほしい。