リバプールFWロベルト・フィルミーノの経歴・プレースタイルを解説

洗礼された戦術、チーム全員が高いインテンシティーで統率され、ヨーロッパサッカーを席巻しているリヴァプールFC。そのチームの最前列に君臨し、大きな影響力から絶対に欠かすことのできない男、ロベルト・フィルミーノ。
毎シーズンのように2桁得点を挙げながら、アシストも多くこなす彼は、2019-20シーズン 9得点8アシストを記録し、シーズンを通じ重要な役割を果たして、30年振りとなるリーグ優勝に貢献した。サッカー王国であるブラジルの選手で初となるプレミアリーグ通算50得点を達成した選手もフィルミーノだけだ。
今回は、ロベルト・フィルミーノが歩んできたキャリアからプレースタイルや挙げた成績まで彼の全てに迫りたい。

ロベルト・フィルミーノのプロフィール

生年月日 1991年10月2日
国籍 ブラジル
出身 ブラジル マイセオ
身長 180㎝
体重 76㎏
利き足
ポジション CF、ST、OMF
背番号 リヴァプール:9
ブラジル代表:9
タイトル (クラブ)リヴァプールFC
UEFAチャンピオンズリーグ : 2018-19
UEFAスーパーカップ:2019
FIFAクラブワールドカップ:2019
プレミアリーグ:2019-20
(代表)ブラジル代表
コパ・アメリカ : 2019

また、風貌から日系ブラジル人との憶測もあるが、確かな情報ではなくブラジル人の両親から生まれた純水なブラジル人だ。

ロベルト・フィルミーノの経歴

貧しい環境でも腐ることなく、フィゲイレンセでプロデビューしたモハメド・サラーの幼少期から今に至るまで!

幼少期

ブラジルの港町で非常に治安の悪いマセイオで生まれた彼は、決して恵まれた環境とはいえない中でも、思いやりのある謙虚な性格で育った。

幼少期の頃は、地元のサッカークラブであるCRBの下部組織に所属。当時のポジションはボランチで、今のように攻撃を牽引するのではなく、どちらかというと守備に重心を置いた役割を担っていた。

フィゲイレンセFC

17歳になった2008年にフィゲイレンセFCに加入すると、攻撃的なポジションにコンバートされ才能が開花。2009年にプロとしてデビューを果たす。

2010年にはレギュラーに定着し、リーグ戦36試合8得点という成績でセリエBに所属していたフィゲイレンセをセリエA昇格に大きく貢献した。

ホッフェンハイムで自身のスタイルを確立し活躍

ブラジルでの活躍が認められ、2010年12月 ドイツ・ブンデスリーガのホッフェンハイムに移籍。

加入当初、ドイツでは無名の選手であったが、シーズン途中に加入したのにもかかわらず、抜群のサッカーセンスですぐさまチームにフィット。

2011年4月には初ゴールを決めチームでの絶対的な地位を築く。

ブラジル人特有のテクニックを持ちながら、幼少期にボランチで培った献身的な守備、戦術眼をいかんなく発揮し、ストライカーとしての役割だけではなくプレーメーカーとしても抜群の能力を見せ、2013-14シーズンには背番号10を背負い、強豪とは言えないチームでも孤軍奮闘の活躍を見せた。

このころからビッグクラブが注目する存在になった。

リヴァプール移籍。チームの主力として攻撃を牽引

2015年6月24日。イングランド・プレミアリーグの名門リヴァープールFCに加入。5年契約で移籍金は4100万ユーロ(約57億円)であった。当初はプレミアリーグ特有のフィジカル重視の環境に慣れず、高額な移籍金に見合う活躍は見せられずにいたが、10月9日にドイツの名称ユルゲン・クロップが監督に就任すると、ストライカー兼チャンスメイカーとしての役割が明確に与えられ才能が開花。

モハメド・サラーが加入した2017-18シーズンからは、マネ、フィルミーノ、サラーの強力な3トップを形成し、相手チームに猛威を振るった。自身も10得点を記録。初挑戦となったUEFAチャンピオンズリーグでは11試合に出場し10ゴールを記録し、その実力を証明した。準決勝のローマ戦では2得点を決めチームの決勝進出に貢献し、決勝戦ではレアルマドリード相手にに1-3で敗れたが、欧州の舞台でも活躍できる実力を示した。

2018-19シーズンも破壊力抜群の3トップの心臓部として活躍。ケガに苦しむ時期もあったがチームにとって重要なピースであり続け、シーズン勝点97に大きく貢献した。例年であれば優勝できる成績ではあったが、マンチェスター・シティーとのハイレベルな優勝争いでわずか1ポイント届かず、2位に終わってしまう。

一方UEFAチャンピオンズリーグでは2年連続の決勝進出。決勝戦のトッテナム戦でも先発しチームにとって14年ぶりの欧州王者に貢献した。

2019-20シーズンは、開幕から圧倒的な強さを見せ独走で優勝。実に30年ぶりのリーグ優勝だった。12月に開催されたクラブワールドカップでは準決勝のモンテレイ戦で決勝ゴール。決勝のフラメンゴ戦でも延長戦に決勝ゴールを決め世界王者に輝く。44試合無敗という驚異的な記録をつくったシーズンでも中心選手としてプレーした。

2020-21シーズンも怪我人が続出しているチームにおいても好調を維持。2020年冬に加入したタイプの似ている南野拓実とも抜群の連携を見せ、共存できることを証明した。

サッカー王国ブラジル代表。カナリア軍団で南米王者に貢献。

ここまでクラブチームでのキャリアを言及してきたが、フィルミーノはブラジル代表としても重要な選手である。当初は無名の存在であったため、アンダー世代での代表歴はなくブラジル代表に初選出されたのは2014年10月23日だった。

その後は主力として代表の常連となり、2018年ロシアワールドカップのメンバーにも選出。

チームは準々決勝敗退に終わるが、自身はトルコ戦でワールドカップ初得点となる1得点を記録する。

代表での初タイトルとなったのは、2019年地元ブラジルで開催されたコパ・アメリカだ。

この大会ではリヴァプールと同様、チャンスメイカーとしての役割を与えられ、準決勝のアルゼンチン戦では1得点1アシストと全得点に絡む活躍を見せる。

決勝までの全6試合すべてでスタメンとして起用され、地元開催で優勝が必須のプレッシャーを背負ったブラジル代表の優勝に大きく貢献した。

また、ブラジル代表の絶対的選手であるネイマールとのコンビは抜群で、果敢にドリブルを仕掛けるスタイルのネイマールのサポート役として支え、ネイマールに相手ディフェンダーが注目した隙を見ては自らシュートを狙うプレーは、相手チームにとって脅威となった。

ロベルト・フィルミーノのプレースタイル・特徴

フィルミーノの適正ポジションはCF。基本的に3トップの中央を務める。
試合の展開を見て、攻撃が行き詰っている時には中盤まで降りてきてパスを散らし、相手の守備陣のギャップを作る役割も担う。RWGのサラーとLWGのマネとは流動的にポジションを入れ替え、両サイドバックが高い位置でボールを保持した際には、絶妙なポジショニングでフリーの状況を作り出し、相手の脅威となる。

味方を生かすプレーメイク

フィルミーノといえば、ゲームメイクをしながら自らもゴールを狙うというスタイルだが、絶妙なタイミングで中盤に下がって、ボールを受けてはスピードが持ち味のサラーとマネが飛び出すスペースを作り出すなど味方の特徴を生かす能力にも長けている。

往年のストライカーに求められていたのは得点のみだったが、なんでも高いクオリティーでこなすそのスタイルは、“フィルミーノロール”と称され現代サッカーのFWのロールモデルになりつつある。

前線からの守備

献身的なチェイシングを怠らない彼は、ゲーゲンプレスと呼ばれるクロップ監督が得意とする守備においても重要な存在となっている。ゲーゲンプレスとは相手がボールが保持している場面、全体の選手の距離感をコンパクトにし、中盤から前線の選手がボールホルダーに連続的にプレスをかけボールを奪うスタイルだ。このスタイルには豊富な運動量とハードワークが要求されるが、フィルミーノのタックル数とインターセプト数はFWの中でもトップクラスである。

相手のパスコースを限定しながら寄せていき相手の選択肢を消していくプレーも得意で、絶妙なポジショニングから相手のDFとアンカーのコースを切り攻撃の芽を摘む重要な役割を担っている。

ストライカーとしての決定力

チャンスメイカーとしての役割もあることから、純粋なストライカーとしては得点が少なく思われがちだ。しかし、決定力そのものは決して低いわけではない。

右足、左足、ヘディングと得点パターンは豊富にあり、自らドリブルでコースを作りシュートを打ったり、サイドからのセンタリングに正確にミートする技術も高くある。

また、クラブワールドカップの決勝や、UEFAチャンピオンズリーグなどの大舞台、引き分け、敗戦濃厚な終了間際など ここぞという場面での得点も多くチームの得点源としても活躍している。

ブラジル仕込みのテクニック

ボールテクニックの高さも特筆すべき点だ。
ブラジル人特有のストリートサッカーで磨かれたそのテクニックは、プレミアリーグの屈強なDFたちをも翻弄する。最前線でボールを受けては、細かいボールタッチで抜群のキープ力を見せ味方の押上げを待ち、攻撃に厚みを持たせる。
また振りの小さいアウトサイドで繰り出されるパスは相手の意表を突き一気にチャンスに直結させる。

ロベルト・フィルミーノの今後について

ロベルト・フィルミーノは今後、どこまで上り詰めるのか。プレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、クラブワールドカップと数々のタイトルの獲得に貢献してきたフィルミーノは今後どこまで上り詰めるのだろうか。

自身のスタイルを残しつつ、さらなる進化へ

これまで、ストライカーでありチャンスメイカーでもあるフィルミーノ独自のスタイルを武器に常に重要なピースであり続けてきたが、好調なリヴァプールの裏でひとつの欠点が生まれつつある。

それは、両WGであるサラーとマネの得点に依存している点だ。

抜群のスピードを武器に得点を量産してきた2人は、そのスピードを生かすべく、ある程度広いスペースが必要である。

しかし、近年リヴァプールと対峙する相手チームはその対策のためにチーム全員が自陣に引き、スペースを埋めることでリヴァプールの攻撃を停滞させる戦術を取るようになった。

チーム最大のストロングポイントである飛車角を封じられたリヴァプールは、攻撃にリズムが生まれず、攻めあぐね相手のカウンターやセットプレー一発で得点を許し、勝ち点を取りこぼす試合が増えるようになった。

そんな状況を打開できる存在こそフィルミーノなのだ。高い技術で狭いエリアでもボールをコントロールできる彼は、相手の密集した守備網をも突破できる。黒子に徹することの多かったフィルミーノ自身が得点を量産することができれば、チームはさらなる段階へレベルアップできるだ。

また2020-21シーズンに新加入したMFチアゴ・アルカンタラも同様、密集地でのテクニック、意表を突くショートパスに定評がある。

この2人がうまくかみ合えばチームの新たな武器として多くの栄光を掴み取ることができるのだ。コパアメリカ2021のブラジル代表としての結果にも期待が高まる

新型コロナウイルスにより、2021年6月に延期が発表されたコパアメリカ2020。グループBでコロンビア、カタール、ベネズエラ、エクアドル、ペルーと対戦するブラジル代表は比較的突破が容易だと予想されているグループとなっている。2019年コパアメリカの時の優勝メンバーをベースに、欧州の舞台でブレイクしているヴィニシウスジュニオールといった新たな戦力を加え盤石の布陣で臨むことができる。

お互いの良さを出し合うネイマールとのコンビにも大きな期待が寄せられる。

再び南米の頂きに向かうカナリア軍団。

フィルミーノはブラジル代表として2つ目となるビッグタイトルを勝ち取ることができるのかにも期待したい。

移籍情報

抜群のセンスと技術の高さからどのチームにもフィットが可能であろうフィルミーノには、過去に、レアルマドリード、バイエルンミュンヘンからのオファーの報道があった。結局この移籍は実現せず、2021年1月時点でもリヴァプールに留まっている。

“ボビー”の愛称でファンからも親しまれ、ユルゲン・クロップのチームで絶対的なタレントとして君臨しているフィルミーノをリバプールが安易に放出するとは考えにくい。2023年6月までの契約を締結していることもあり、手放すとしても、相応の見返りを求めるはずだ。

まとめ

次世代に求められるマルチな活躍を見せるフィルミーノ。無名のサッカー選手から欧州王者、世界王者まで上り詰めた彼にはチームの勝利のためにスタミナが切れるまで走り続け、味方の為に黒子に徹するなど 常に重要なピースであり続けられる重要な要素があった。持ち前のテクニック、戦術眼、サッカーIQの高さを武器に個人としてチームとして文字通り「世界最高」となれるか。これからもビックタイトルを掲げ続ける絵を夢に見ながら、これからも彼の活躍を目に焼き付けていきたい。