司令塔ブルーノ・フェルナンデスの経歴・プレースタイルを解説

2008年クラブW杯。当時私は中学1年生だった。それまでサッカーなんて全く見てこなかったが、なんとなくテレビをつけたところ、ガンバ大阪対マンチェスターユナイテッドの試合が放送されていた。試合の詳細はあまり覚えていないが、後半途中までガンバ大阪がいい勝負をしていたと記憶している。しかし、後半途中からイングランド代表FW、背番号10の赤いユニフォームを着た選手が交代で入ってきてから流れが変わった。マンチェスターユナイテッドは5分程で3点を決めて、ガンバ大阪を粉砕した。これが、私とマンチェスターユナイテッドの出会いだった。
鉄壁の守備陣、流動的に波状攻撃を繰り広げる攻撃陣、中盤から放たれる美しいパス、背番号7をつけた大エース・クリスティアーノロナウドの美しいドリブル、すべてに魅せられた。
残念ながらサーアレックスファーガソンが勇退してからは、見るからに低迷期に突入していたが、スールシャール監督の基、徐々にチーム状況は改善の兆しを見せている。
特に20-21シーズンは、ファーガソン監督勇退以降最もリーグ優勝に近づいていると言っても過言ではない。そして、その攻撃の中心に君臨するのがブルーノフェルナンデスだ。

本記事を通して、ブルーノフェルナンデスについてより詳しく知り、彼の今後の活躍を見届けてほしい。

ブルーノ・フェルナンデスのプロフィール

 

生年月日 1994年9月8日
国籍 ポルトガル
出身 マイア(ポルトガル)
身長 179㎝
体重 69㎝
利き足
ポジション CAM
背番号 マンチェスター・ユナイテッド:18
ポルトガル代表:16
タイトル プリメイラ・リーガ年間最優秀選手賞 2017-18, 2018-19
プレミアリーグ月間最優秀選手賞 2019-20(2月, 6月)、2020-2021(11月, 12月)
プレミアリーグ月間最優秀ゴール賞 2019-2020,(6月30日、第32節ブライトン戦のゴールによる)
UEFAヨーロッパリーグ得点王:2019-20

ブルーノ・フェルナンデスの経歴

ポルトガル出身のブルーノ・フェルナンデスのサッカー人生はいかに。

ノヴァーラ

マンチェスターユナイテッドで活躍したポルトガル人と言えばクリスティアーノロナウドやナニという大先輩がいるが、ブルーノフェルナンデスは彼らのような華々しいキャリアを送ってきたわけではない。

ブルーノフェルナンデスのキャリアはイタリア2部のノヴァ―ラから始まった。

17歳で母国の親や恋人と離れてイタリアでの武者修行を決意したが、当初は環境の違いに戸惑い、ホームシックになっていたという。

しかし、並々ならぬ努力でイタリア語を習得し、新しい環境にも重農していった。

サッカー面でも大きな進歩を見せ、加入シーズン後半からはスタメンに定着し、23試合出場4ゴールの活躍を見せ、リーグ5位獲得に貢献した。

当時の背番号は32。17歳で新天地に挑戦し、1年目からチームの主力に定着した経験はブルーノフェルナンデスに大きな自信を与えたはずだ。

ウディネーゼ

イタリア2部で好調だったノヴァ―ラの攻撃の中心に君臨していたブルーノフェルナンデスには、ユベントスやインテルといったセリエAの競合クラブも興味を示していた。

ところが、ブルーノフェルナンデスは育成に定評のあるウディネーゼへの移籍を選択。

ノヴァ―ラとの共同保有という形でウディネーゼに加入したブルーノフェルナンデスは、背番号8を付け、加入1年目から24試合の出場、2、3年目には31試合に出場し、チームに貢献した。

当時のウディネーゼのエースディナターレからは、「とんでもない才能をもった若者」と称賛されていた。

しかし、当時のブルーノフェルナンデスは、現在のような得点に直結するプレーは少なく、3シーズンで10得点12アシストというアタッカーとしては物足りない数字に終始した。

サンプドリア

その後、ブルーノフェルナンデスは活躍の場を同じセリエAのサンプドリアに移す。

背番号10を任されるほどに期待を背負って加入したサンプドリアだったが、ウディネーゼ時代の課題は解決されておらず、33試合出場5ゴール2アシストという結果に終わった。

スポルティング

わずか1シーズンでサンプドリアを離れることになったブルーノフェルナンデスだが、次の活躍の場として、母国ポルトガルの名門スポルティングリスボンを選んだ。

スポルティングリスボンでは背番号8を付けたブルーノフェルナンデスだが、母国ポルトガルではプレースタイルに大きな変化が訪れた。

イタリア時代は、中盤の低い位置で攻撃を組み立てることが多かったが、ポルトガル時代はより攻撃的なポジションで得点に直結するプレースタイルに変更し、得点能力を開花させた。

1年目はクラブで52試合に出場し16得点13アシスト。2年目は41試合に出場し13得点、14アシストを記録。2年連続のリーグMVPを受賞。

ちなみにサンプドリアからスポルティングへの移籍金は850万ポンド(約10億円)だったことを考えると、とてもお得な買い物であったことは間違いないだろう。

マンチェスター・ユナイテッド

ブルーノフェルナンデスは、スポルティングリスボン3年目の2019-20シーズンでも好調を維持しリーグ前半戦で8得点7アシストを記録。

その後、冬の移籍市場で約5500万ポンド+2500万ポンドのボーナス(合計約100億円)の高額移籍金でマンチェスターユナイテッドに加入した。

マンチェスターユナイテッドでは背番号18を着用。これはマンチェスターユナイテッドのレジェンドポールスコールズが着用していた背番号と同じだ。

ブルーノフェルナンデスは加入してすぐにファンを虜にした。

それまでユナイテッドに欠けていた、中盤での創造性、ゴールに直結するラストパス、自身もゴール前に飛び出してゴールを奪う得点能力。

加入直後の試合からトップ下のファーストチョイスとなり、リーグ戦14試合に出場して8得点7アシストを記録した。

ブルーノフェルナンデスの加入もあり、マンチェスターユナイテッドは調子を上げ、最終的にはリーグ3位。CL出場権を獲得し、リーグ開幕前の下馬評を覆す結果を残した。

2020-21シーズンでは、公式戦29試合に出場し16得点10アシストを記録。

シーズン前半戦を終えた段階でリーグ首位に立っている。

ブルーノフェルナンデスが加入してからの1年間ではプレミアリーグのどのチームよりも勝ち点を稼いでいる。さらに、アウェー戦では1年間負けていない。

自身は加入後1年間で4度のプレミアリーグ月間最優秀選手賞を獲得した。これは史上初の快挙である。

サーアレックスファーガソン勇退後、最も優勝に近づいているシーズンと言っても過言ではない。その中心にいるのがブルーノフェルナンデスだ。今後のユナイテッドとブルーノフェルナンデスの活躍に注目したい。

ポルトガル代表

ここまでは、クラブでの活躍にフォーカスしてきたが、代表での活躍についても言及していきたい。

各年代別の代表にも選出されており、2016年は背番号10を背負い代表をけん引していた。

A代表デビューは2017年11月。背番号は主に16を着用している。17試合に出場し、2得点2アシストという記録を残している。

A代表歴はまだ浅いため、そこまで大きなインパクトは残せていないが、間違いなく今後のポルトガル代表をけん引していく選手になるだろう。

ブルーノ・フェルナンデスのプレースタイル・特徴

ブルーノ・フェルナンデスのプレースタイルについて、詳しく解説していく。

磨かれたシュートセンスと決定力

マンチェスターユナイテッドでは、4-2-3-1のトップ下を主戦場としている。

ブルーノフェルナンデスの特徴は、ゲームメイク、視野の広さ、決定力、献身性だ。

まさに現代のトップ下として必要な能力をすべて兼ね備えている。

両足から繰り出される正確無比なパスで中盤の底まで下りてきてボールを捌くこともあれば、高い位置から決定的なラストパスも出せる。

ポルトガルでリーグMVPを獲得した2018-19シーズンでのパス成功率は約75%となっており、決してパス成功率が高いわけではないが、その理由は、ゴールに直結するようなチャレンジングなパスを選択することが多いからだ。

無難なパスに終始するわけではなく、ゴールに直結するようなパスを選択する。

ブルーノフェルナンデスのゴールへの意識が高い証拠だろう。

また、高精度のパスでゲームを組み立てるだけでなく、自身でもゴールを狙える。

強烈なミドルシュートやゴール前への飛び出しで、再三ゴールを狙っている。

ブルーノフェルナンデスはMFであるにもかかわらず、マンチェスターユナイテッド加入後公式戦44試合で26得点16アシストを記録している。

これは、世界最高と評されるマンチェスターシティのデブライネにも勝る活躍だ。

これまでは、攻撃面での特徴に言及してきたが、実は守備面での貢献も大きい。

前線からの積極的な守備や自陣ゴール前での守備もこなす。

走行距離も1試合で10km後半を記録しており、チームのために走ることを厭わない。

まさに「完璧」だ。

マンチェスターユナイテッドのPK職人

ブルーノフェルナンデス加入以前のマンチェスターユナイテッドは、PKキッカーに悩まされていた。

攻撃陣は相手ペナルティエリア内での積極的な仕掛けも多いため、PK獲得数は多いものの、決定率は決して高くなかった。

ブルーノフェルナンデス加入により、PKキッカー問題も即座に解決してしまった。

キャリアを通して、33本中31本のPKを決めており、その成功率は驚異の94%だ。

愛娘に向けたゴールパフォーマンス

ゴールを決めることも多いため、ブルーノフェルナンデスのゴールパフォーマンスにも注目が集まっている。

膝を曲げて滑りながら耳を塞ぐゴールパフォーマンスを度々見せているが、これは愛娘に向けたものだそうだ。

愛娘が喋り始めたころ、ブルーノフェルナンデスが声をかけると娘が良くこの仕草を見せていたことから、ゴールを愛娘に捧げるためにこの仕草を真似しているそうだ。

ピッチ内での活躍もさることながら、家庭では家族想いで献身的な父である。

ブルーノ・フェルナンデスの今後について

ブルーノ・フェルナンデスにどのような活躍が期待できるのか。

マンチェスター・ユナイテッドに関して

ブルーノフェルナンデスは、インタビューで「マンチェスターユナイテッドへの加入は夢だった」と語った。

同国の偉大な先人、クリスティアーノロナウドが活躍していた時代からユナイテッドのことを好きになったという。

現在、ブルーノフェルナンデスは、赤い悪魔をけん引している。

スールシャール監督の基、サーアレックスファーガソン勇退以降最もチーム状況もよく、リーグ優勝も見える位置に付けている。

また、チーム全体の平均年齢も若く、ブルーノフェルナンデス自身もまだ26歳と若い。

マンチェスターユナイテッドは、2020-21シーズン夏の移籍市場でブルーノフェルナンデスと同じポジションのオランダ代表MFファンデベークを獲得したが、依然としてトップ下のポジションを譲る気配はない。

プレミアリーグ史上初となる1年間で4回の月間最優秀選手賞を獲得するなど、間違いなく今プレミアリーグで最も優れている選手の一人だ。
ユナイテッドの完全復活の時期は近い。目指すは悲願のリーグ優勝。
その時は、立役者としてブルーノフェルナンデスがクラブレジェンドに名を刻むことになるだろう。

ポルトガル代表に関して

前章でも言及した通り、ポルトガル代表デビューは2017年と、まだキャリアは長くない。
クリスティアーノロナウドやジョアンフェリックス、ベルナウドシウバ等の多くのタレントを要するポルトガル代表だが、近年のスポルティング時代やユナイテッド加入後の活躍を見れば彼らに引けを取らない活躍を見せている。
クラブ同様、代表でもチームの中心を担う時も近いだろう。
EURO2021での活躍にも期待したい。

まとめ

イタリアでの4年間の下積み時代、ポルトガルでの開花、そして今世界最高峰と評されるプレミアリーグでもその実力を示している。マンチェスターユナイテッドの偉大な先人たちに比べれば決して順風満帆なキャリアを歩んできたわけではないが、そのインパクトはレジェンド達にも引けを取らない。
マンチェスターユナイテッドがリーグ優勝を果たし、黄金期の再来を期待するファンも多いだろう。
そしてその未来の中心にはブルーノフェルナンデスがいる。そう思わせてくれる選手だ。
今後のマンチェスターユナイテッドとブルーノフェルナンデスから目が離せない。