ソンフンミン徹底解剖・これを読めば世界最高峰ドリブラーのすべてがわかる!?

ソンフンミンがイングランドの地に降り立ってから早6シーズン。移籍当初こそその実力を疑問視する声もあったかもしれないが、今ではそんな声を耳にすることはないだろう。類まれなるスピードとキレのあるドリブルで数多のDF陣を翻弄し、5シーズン連続でプレミアリーグ2桁得点を達成。2020/21シーズンはわずか18試合で12ゴール6アシストを記録する(2020年1月20現在)など、今やプレミアリーグはおろか世界最高峰のドリブラーにまで上り詰めた。今回は「ソンフンミン徹底解剖」と称し、ケビンデブライネのキャリアからプレースタイル、残してきた成績など彼の全てに迫っていく。

ソンフンミンのプロフィール

 

生年月日 1992年7月8日
国籍 大韓民国
出身 江原道春川市
身長 183㎝
体重 77㎏
利き足
ポジション FW
背番号 トッテナム・韓国代表:7
タイトル ブンデスリーガ前半期最優秀若手選手 : 1回(2010-2011)
AFCアジア年間国際最優秀選手:3回(2015、2017、2019)
AFCアジアカップ ベストイレブン : 1回(2015)
FAカップ 得点王 : 1回(2016-17)
トッテナム・ホットスパー年間最優秀選手賞 : 2回(2018-19、2019-20)
トッテナム・ホットスパー年間最優秀ゴール : 3回(2017-18、2018-19、2019-20)
プレミアリーグ年間最優秀ゴール :1回(2019-20)
FIFAプスカシュ賞 :1回(2020)

ソンフンミンの経歴

幼少期から今に至るまでのソンフンミンに迫る。

幼少期・生い立ち、プロ入り前

1992年7月、ソンフンミンは韓国の春川市という場所で生まれた。父親はKリーガーやU-23サッカー韓国代表としての経験もあるソン・ウンジョン。ソンフンミンは中学、高校時代はサッカー部に所属せず、父親の元で直接指導を受けることになったのである。父のウンジョンは韓国で当時主流だった結果重視の指導とは異なり、パスやドリブルなどの基礎的な動きをひたすら磨かせる練習をソンフンミンに課したのだ。そんな父親のユニークな指導の甲斐もあり2008年、東北高校在学中にKFA主導の優秀選手海外留学プログラムでハンブルガーSVのU17 チームに加入。シーズン終了後には一旦母校である東北高校に戻ったものの、ハンブルガーSVのUカテゴリーでの目覚ましい活躍が評価され、2010年1月にハンブルガーSVと正式に移籍することになる。ここからソンフンミンの欧州での華々しいキャリアが始まることになった。

ハンブルガーSV

ハンブルガーSVでの初年度はU-21チームでの出場とトップチームでの出番はなかったが、2010年10月30日のFCケルン戦にてブンデスリーガ初出場、初スタメンで初ゴールを記録するなど衝撃的なデビューを飾る。その後は徐々に頭角を現し、ハンブルガーSVの最終年である2012/13シーズンには先発に定着。リーグ33試合で12ゴールを挙げるなど飛躍の年になった。

レバークーゼン

2013年、ソンフンミンは1000万ユーロの移籍金でブンデスリーガの強豪、レバークーゼンへと移籍した。ちなみにこの時に7の背番号を与えられて以降、クラブと代表で7番を背負っている。同年にチェルシーFCに移籍したFWアンドレ・シュールレの代役を任された形になったが、彼はドイツ代表選手が抜けた穴を十分に埋めて見せたのだ。主に左ウイングで起用されたソンフンミンは当初こそ強豪チームの複雑な戦術システムに戸惑いを見せたものの、持ち前のスピードとキレのあるドリブルを遺憾なく発揮。2シーズン連続で2桁得点を達成するなど、レバークーゼンでも中心選手の1人へと成長した。

兵役について

ところで、韓国には19歳から30歳までの間に母国で2年間の兵役業務を行わなければならない義務があり、ソンフンミンも例外ではない。しかし2020年時点でソンフンミンはキャリアの絶頂にあり、キャリアに大きく響くであろう兵役業務がどうなるのかがサッカーファンの間で話題になっていた。結論から言うと、ソンフンミンは新型コロナウイルス感染拡大の影響によるプレミアリーグ中断を受けて2020年の3月に韓国へ帰国。その期間を利用して兵役業務に参加し、2020年の5月に無事終了した。ソンフンミンは2018年の第18回アジア競技大会で金メダルを獲得したことによって、兵役が約2年間から大幅に短縮されて約3週間となったのだ。これにはソンフンミンが在籍するトッテナムのファンもほっと胸を撫で下ろしたことだろう。

トッテナム・ホットスパー

2015年にはプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーへ移籍する。移籍金は約3000万ユーロで、当時のアジア人史上最高額である。しかし、トッテナムでの移籍初年度はリーグ戦28試合に出場しわずか4得点。本人もドイツへの出戻りを考えていたと語るなど、プレミアリーグへの適応に苦労したシーズンとなった。だが、2016/17シーズンにはチームのエースであるケインの離脱に伴い出場機会を与えられると、しっかりと結果を残して定位置を奪取。ドイツ時代からの武器であったシュートやドリブルにさらに磨きをかけ、5シーズン連続2桁得点とチームの中心選手に成長して見せた。チーム自体もソンフンミン加入以降は強豪がひしめくプレミアリーグの中で安定してチャンピオンズ・リーグ圏内の順位を残し、2018/19シーズンにはチャンピオンズ・リーグの決勝に駒を進めた。ソンフンミンもチャンピオンズ・リーグの決勝でスタメン出場。惜しくもリヴァプールに敗れてしまったものの、アジア人としてチャンピオンズ・リーグの決勝でプレーする史上2人目の選手となった。

韓国代表

ソンフンミンは韓国代表でもエースとしてチームを牽引している。18歳と5ヶ月で代表デビューを飾って以来、78試合に出場し26得点を挙げる。代表ではトッテナムの時のような輝きを見せることが少なく、起用法をめぐって度々国内で議論が沸き起こることもあるが、それでもチームを2大会連続のWカップに導くなど貢献。2018年からは韓国代表のキャプテンも務めている。

W杯

2018年のロシアワールドカップではチームは予選敗退と決勝ラウンドに駒を進めることはできなかったものの、前回王者のドイツ代表相手に大金星を挙げるなど爪痕を残した。ソンフンミンもドイツ戦で1ゴールを決め勝利に貢献。メキシコ戦でも1ゴールを決め3試合2得点と上々の活躍を見せた。

ソンフンミンのプレースタイル・特徴

世界でも名の知れたソンフンミンのプレースタイルとは、どんなものか。

シュート精度

ソンフンミンの1番の特徴は、得点能力の高さにある。それを支えるのがシュート精度の高さだ。サイドでソンフンミンがボールを持てば、スピードに乗ったまま力強いシュートがゴール隅に放たれる。シュートパターンも非常に豊富で、グラウンドでニアポストに突き刺すシュートや巻いてファーポストに入れるシュートなど、多彩なシュートを放って来るのだからキーパーは対処に苦労することだろう。サイドアタッカーでありながらコンスタントにシーズン2桁得点を重ねるのが彼の得点能力の高さを物語っている。

スピードを生かした突破

ソンフンミンのプレーはすべてがゴールに直結している。得意のスピードを活かしたドリブルでの突破もその一つだ。ボールをもらえば必ず前を向き、目の前に敵がいても強引に切り抜けて見せる。時にエゴイストとも呼ばれるそのプレースタイルだが、結果を残しているのだから誰も文句は言わないだろう。特にボールを奪ってからの素早いカウンターを戦術の一つとしているトッテナムでは、ソンフンミンの突破力の高さが必要不可欠なピースになっている。

逆足精度の高さ

ソンフンミンは、利き足が両足と呼ばれるほど逆足での精度が高い。実際に2014年から2019年までに彼がボックス外から放った92本のシュートのうち、実に47%にも及ぶ43本が左足でのシュートだ。これはプレミアリーグの選手の中でも1位の数値となっており、いかにソンフンミンが逆足でのシュートに自信を持っているかがわかるだろう。また他の主要リーグを見渡しても、これ以上の割合で逆足でのシュートを放っている選手は数人しか存在しない。ソンフンミンは、世界最高峰の両利きアタッカーと言える。

献身的な守備

現代サッカーでは前線の選手にも高い守備意識が求められている。特にトッテナムでは指揮官がポチェッティーノからモウリーニョと、守備組織を重視する監督がチームを指揮しているため、選手たちには守備面でのハードワークが不可欠だ。ソンフンミンはそんなトッテナムの守備に適応しており、トッテナムのファーストプレスの役割をしっかりとこなしている。試合の終盤でもしっかりとスペースを埋めてくれるので、監督の立場としても非常に助かる選手だろう。

ソンフンミンの今後について

ソンフンミンは現在28歳。選手として一番脂ののった時期を過ごしており、市場価値も約9000万ユーロと日本円にして100億円以上の価値があるワールドクラスのプレイヤーだ。これからソンフンミンはどのようなキャリアを過ごしていくのだろうか。トッテナムとの契約は2023年まであるが、レアル・マドリードが興味を示しているとの報道もある。このままトッテナムで絶対的な選手としてプレーしていくのか、それとも…

トッテナムについて

近年のトッテナムは毎年優勝に絡む活躍を見せているが、2008年以降主要なタイトルは獲得できていない。プレミアリーグ、チャンピオンズ・リーグとともにタイトル獲得まであと一歩と迫ったことがあるだけに、今の状況は選手たちにとっても歯がゆいだろう。2019年にはプレミア優勝経験のあるジョゼ・モウリーニョ監督が就任し、今シーズンは圧倒的強さでプレミアを席巻したマンチェスター・シティやリヴァプールも優勝したシーズンほどの勢いは見せられていない。さらにトッテナムは2020年1月20現在リーグで5位につけており、優勝は十分狙える位置にある。プレミアでも脅威的なケインとソンフンミンの2枚看板で、是非ともタイトル獲得を成し遂げたいところだ。

韓国代表について

ソンフンミンは2018年にキャプテンに就任し、韓国代表を背負っていく立場になった。韓国代表にとっての大きな目標は、W杯で好成績を上げることだろう。2010年の南アフリカW杯でベスト16になって以降、2大会連続でグループリーグ敗退という結果に終わっている。次の2022年大会は年齢的にもソンフンミンにとって最後のW杯になる可能性もあるため、是非ともベスト16以上の結果を残したい。

 

移籍などの情報

ソンフンミンはトッテナムに移籍して以降自身の価値を大きく高めた。移籍初年度には約2500万ユーロだった市場価値も9000万ユーロにまで上がっており、レアル・マドリードが獲得に興味を持っているとの報道も出ている。一方でトッテナムもソンフンミンに2026年までの契約を掲示している模様。ケインと同額の給与をオファーしていると報じられていることからも、トッテナムにとってはタイトルを狙う上でソンフンミンを不可欠な存在だと考えているだろう。

また今や世界有数のアタッカーとなったソンフンミンも自身は主要タイトルを獲得していない。タイトル獲得の可能性を考えればより大きなクラブへ移籍した方が有利かもしれないが、果たしてソンフンミンはどのような決断を下すだろうか。

まとめ

ここ数年で自身の価値を高め、世界有数のアタッカーに上り詰めたソンフンミン。一方選手としてのレベルを考えると、主要タイトルの獲得経験がないのは少し寂しくも思える。持ち前のスピードと決定力を武器に、大きなタイトルをつかむことはできるだろうか。これからの彼の活躍に期待したい。